JRLテックログ

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ジャパン・リサーチ・ラボが提供する技術コンサルティング、人材育成、戦略策定、セミナー等の様々なコンテンツに関する情報を提供するブログです

間抜けな漢字間違い

 いくつかの大学で講義をさせて頂く中で、色々と面白いことがありましたのでご紹介します。なお、名誉のためにここでは大学名は伏せさせていただきます。

 

 講義をした大学は国立から私立まであり、私立もいわゆるEランク、Fランクというところも御縁あって講義に伺っています。講義の中でレポートを提出させることがあるのですが、私の場合はレポートは手書き限定にしています。今の時代に手書き、という風に考えられるかもしれませんが、学生の中にはPCを持っていない者も少なくないという現実的問題と、書くことの重要性を認識してほしいという思いからそのようにしています。

 

 そうすると、まず毎回あるのが、名無しのレポートです。毎年何人か無記名のレポートを提出して単位認定されない学生が出るので、必ず書くようにと毎回の講義で何度も言うのですが、それでもやはり毎年数人は出てしまいます。やはりこの原因は緊張感の無さ、やる気の無さにあると考えています。就活で提出する書類、例えばエントリーシートや履歴書に記載抜けをする学生は稀有です。それはやはり人生がかかっているという緊張感も手伝っていると言えます。一方で講義のレポートに人生はかかっていませんから、こんなことになるのだと思います。

 

 名前以外にも、漢字の間違いというのも定番として現れます。今まで色々な間違いあって、ある意味楽しませてもらったのですが、その一部を紹介しましょう。皆さん「度力」を何と読みますか?これだけを見ても何のことかわからないと思いますが、これはなんと「努力」と書きたかったようです。また、「想造」は何のことから分かるでしょうか。答えは、「創造」と書きたかったようです。こちらの方は何となく言いたいことは分かり、こんな言葉が有っても良いかなと思えないこともないですが。こんな風に、毎年新しい日本語が講義の中で生まれています。

 

 また、緊張感、やる気の無さという点では、字が読めないほど汚い学生も毎年必ずいます。私も字はそれほどきれいではありませんが、きれいかどうかではなく、丁寧かどうかが問題です。実は、あまりの汚さで読めなくて、当時高校生と中学生の自分の子供たちに何と読むかとレポートを見せたことがあります。その時に返ってきた答えは、「何これ、とても人に読んでもらおうという風に思えないね」、「こんな汚い字で書いて提出するなんてクズだね」というものでした。使っている言葉は褒められるものではない部分もありますが、正にその通りです。

 

 こんな風になっているのも、ネットが基本、スマホが基本となっているという背景はあると考えています。記名抜けは、ネットの入力フォームであれば抜けていれば警告が出るので自分では注意を払わなくなっているのでしょう。字の汚さや漢字の間違いも手書きではない文化に染まっているためと言えます。しかし、だからといって現在の状況を受け入れられるものでもありません。実際に、コンサルティングの中で採用に関わることも多いのですが、人生がかかったESや履歴書でも誤字脱字が散見されます。自分の人生がかかっているのにそんな書類を提出してくる人たちに重要な仕事は任せられません。

 

 こんな風に考えると、採用で今一度手書きの書類というのを見直しても良いのではないかと思います。そうすれば、とりあえずESを出すというようなやる気のない応募をスクリーニングできるのではないでしょうか。

 

 新人や若手の教育、採用でお困りの方は是非ジャパン・リサーチ・ラボにご相談ください。ご相談はこちらから。

サイエンスのミッション(役割)とは

 ジャパン・リサーチ・ラボでは技術コンサルティングや経営コンサルティング、人材育成など様々な形でソリューションを提供しています。その中で共通するキーワードの一つに「サイエンス」があります。技術コンサルティングはもちろんのこと、経営コンサルティングにおいても、戦略策定やマーケティングなどでサイエンスは存在しており、サイエンスの論理的な考え方は必要不可欠です。技術分野とは異なるように見える営業や顧客対応においても、数理解析的考え方やビッグデータの活用、そして営業サイエンスという言葉も一部では使われているなど様々な場面でサイエンスは関わってきます。

 また、人材育成においても、技術人材の育成ではサイエンスが当然重要となり、技術系人材以外においても行動心理学、認知心理学といったものを始めとして様々なサイエンスが関わるとともに、論理的な説明と教育は必要不可欠です。

 

 このように見てみると、広義の意味での「サイエンス」というものはあらゆる場面においても必要不可欠なものであると言えます。このように社会全体においても必要不可欠で重要なサイエンスですが、そのミッション、役割について考えてみたことはあるでしょうか。もう少し違う表現をすると、サイエンスを使う者の使命とも言えます。

 

 実は、日常生活においても電化製品を始めとして様々な技術の恩恵を受けているわけですが、それらは全て誰かが明らかにしたり、まとめたり、実現したりしてくれたもの、すなわち、サイエンスの賜物です。そして、それらの直接的に関わった人達だけで実現できたかというと決してそうではなく、先人たちの知恵と努力の成果を活用して新たなものを生み出しています。

 

 このように考えると、サイエンスとはある人だけのもの、ある時代だけのものではなく、「社会資本」であると言えます。新しい技術や製品等を始めとして、それらの実現にはそれまでに存在したサイエンス、すなわち、社会資本を利用しています。そして、その成果は新たなサイエンス、社会資本となっていきます。そうやって社会が発展しているのです。

 

 従って、サイエンスとは社会資本の利用無くして実現しないのですから、当然のこととして、その成果は社会に貢献し、還元されなければなりません。これこそが、本来あるべきサイエンスの「ミッション」(役割)なのです。このように考えると、技術開発や企業活動が目指すべき大きな方向性は社会への貢献であることは明らかです。そうすることで、誰かが喜び、その喜びが自らのうれしさとなる、まさに、win-winな状態を実現することができます。その余禄として、事業活動という金銭的報酬が与えられるのです。まさに、我が地元である近江商人の教えである、「売り手よし、買い手よし、世間よし」の「3方よし」の考え方です。

 

 皆さんも、自らのうれしさだけでなく、社会への貢献という大きな働きに目を向けていただければ、よりやりがいが強く感じられるのではないでしょうか。

 

 サイエンスのミッションを達成して、自らのミッション、目的も達成したいという時、是非ジャパン・リサーチ・ラボにご相談ください。ご相談はこちらへ。

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多分野(メタフィールド)思考が重要で有効な理由

 従来の最も一般的な技術開発は、特定の分野や技術に対する深掘りによる言わば単一分野レベルアップ型で行われてきました。しかし、単一分野レベルアップ型で成長してきた日本は新興国にその座を奪われました、そこにはいくつかの理由がありますが、その一つは、単一分野では創造、本来の意味でのブレークスルー(存在しなかったものが生まれる)には限界があることが挙げられます。

 

 このような状況で大きなブレークスルーを生むのが多分野(メタフィールド)融合です。すなわち、全く異なる分野の知識や経験を融合することで新たな技術を産み出すというものです。そして、多分野融合による多分野思考では、考える引き出し、すなわち、オプション、選択肢が多くなることから、より良い最適解が見つかる可能性が高くなり、リスク回避、リスクヘッジの確率も改善できます。

 

 このように特に技術開発においては、多分野融合、多分野思考は極めて重要なものとなっています。

 

 より詳しい解説は、こちらからどうぞ。

ベルギーでの国際会議の思い出1

 ある学会の国際会議がベルギーで開催され、発表と共同研究先(IMEC)の訪問も兼ねて参加した時の思い出を書いてみたいと思います。

 

 実は往路の乗りつぎで早速ひどい目にあいました。フランクフルト(これで利用した航空会社がバレますね)で乗りつぎだったのですが、乗り継ぎを待っていたら乗るはずの飛行機が近づいてきたと思うと急にUターンして引き返していきました。何が起きたの分からずにいると、何やらドイツ語のアナウンスが、、、。しかし、ドイツ語は得意ではないので不安がよぎっていると周りの人達がカウンターに一斉に近寄って行きました。これはと思って私も行きました。

 すると英語のやり取りがあり、聞いていると、どうも機体トラブルでしばらく待たないといけないようでした。どれぐらい待つかと聞いている人もいましたが答えはありませんでした。「とりあえず待て」、でした。

 

 しばらくすると、またアナウンスがあったのですが、またしてもドイツ語のみ。なので、みんなと一緒にカウンターに行くと6時間待ちになったと、淡々と言いました。一瞬騒然となりましたが、どうしようもありません。しかたなく、チケット(良くあるパターンですが、こういう時にお詫びも兼ねて、待ち時間の飲食等で使える小切手のようなものをくれることがあり、それでした)を受け取って、空港をプラプラをし始めました。

 

 しかし、ふと考えるとこのままいくとホテルに入るのは日付が変わりそうでした。このままだと予約を取り消されてしまう可能性もありました。実は、その時の旅程は全て個人で自分が手配していたので、全て自分でやらないといけませんでした。で、ホテルに電話して、必ず行くから部屋をキープしておいてくれとお願いし、その後、予想到着時間にブリュッセルの空港から市内に行く手段を調べたりと大変でした。

 

 で、何とか代わりの便にも乗れて、ホテルに入れたのですが、いきなりこれですからもうクタクタでした。しかし、これにはさらに続きがあって、実は帰りもフランクフルトで乗りつぎだったのですが、フランクフルトへのEU内便が遅れて、日本行きの便にぎりぎりになってしまいました。にもかかわらず出国手続きは長蛇の列(EUなので、最後の国で出国手続きをします)で、間に合いそうもありません。で、係の人に時間が無いから先に手続してくれと言ったのですが、駄目の一点張り、同じ航空会社だから乗りつぎは大丈夫だと。でも、あなたはその会社の人じゃないよね、と不安になります。しかも、往復ともにトラブルに巻き込まれてる会社ですから、信用度は急降下中です。

 結局は、問題なく乗り継げたのですが、この時は焦りましたし、最後の搭乗口カウンターに日本人スタッフを見た時はさすがにホッとしました。

 

 この他にも色々、「思い出」に残る体験しました。それらはまた機会があれば紹介したいと思います。海外に出るといつも思います、日本ていいな、と。

 

セミナー案内(実験方法、データ解析、実験ノート 12/20)

下記セミナーを開催します。

 お申込みは、HPのお問い合わせボタンよりお願いします。

 

【タイトル】

 実験方法、データ解析と実験ノートの取り方

【概要】

 研究開発においては、適切な実験方法を考えることはもちろん、適切なデータ解析や現代では知財化、権利化が必須であり、そのためには記録が重要となることは言うまでもない。加えて、チームや社内における情報共有、開発本人の思考のためにも記録は必要不可欠である。また近年は様々な機器類の発達で実験データを得ることが容易になってきている反面、無計画に実験を行ってデータを積み重ね、日々増えていくデータに溺れてしまっている状況が生まれている。目的に合わせて実験を計画してデータを取得して解析し、それらを記録、まとめるといった様々なことを正しく行なわなければならない。
 しかし、残念ながら大部分の企業、開発現場ではこういった実験の考え方や、実験結果の解析、記録の残し方、実験のノートの書き方などの実験実務に関する教育はほとんど行われていない。そのため、各自が我流の方法に頼っており、人員間、部署間でのレベルのバラつき、共有性の欠如といった問題、そして、最悪の場合権利化におけるevidenceと成りえないような状況まで生まれている。
 本セミナー、講習会では、このような状況を打開して、確実に結果を成果へと昇華させる、より効率的な開発を実現するために必要となる、実験の考え方、実験データの解析から、記録、そして、まとめ方を、基本から様々なケース、対象について、特に実験ノートに代表される記録に重点を置いて詳細に解説する。

【開催日】

 2017年12月20日10:30~16:30

【会場】

 江東区産業会館

【主な対象】

 ・研究開発の実務担当者(若手、中堅)
 ・指導するリーダー、管理者
 ・新入社員、若手

【修得できる知識】

 ・実験の考え方
 ・実験計画の立て方
 ・実験ノートの書き方
 ・記録の使い方
 ・情報整理

【受講料】

  49,980円(税込/テキスト、昼食付)

【プログラム】

 1.イントロダクション
  1-1 実験と開発
  1-2 結果を成果へ
  1-3 魔の川・死の谷ダーウィンの海
2.実験ノート
  2-1 実験ノートとは
  2-2 Evidence
  2-3 実験ノートの意義
  2-4 実験ノートに書くこと(項目)
  2-5 実験中に書くこと
  2-6 実験後に書くこと
  2-7 書き方のルール
  2-8 実験ノート=実験の作業記録?
  2-9 記述は具体的に
  2-10 定性的情報、状態情報の記録
  2-11 リアルタイム
  2-12 データ・情報の整理、保存
  2-13 名前の付け方
  2-14 実験ノート・記録の使い方 
  2-15 修正・加筆・削除
  2-16 付箋の使用
  2-17 機器出力シート
  2-18 写真の活用
  2-19 参考資料
  2-20 アドバイス
  2-21 実験テーブルの作成
  2-22 書籍のような実験ノート?
  2-23 ちょっとしたコツ
  2-24 偉人の実験ノート
  2-25 こんな実験ノートも
  2-26 記録、証拠としての保全
  2-27 絵コンテノート
  2-28 実験シート例
  2-29 表紙とインデックス
  2-30 最初の2ページ
  2-31 ノートの例
  2-32 実験ノート ⇒ 研究ノート
  2-33 ページの使い方(改ページ)
  2-34 ノートの選択
  2-35 ノートのサイズ
  2-36 実験ノート以外の記録
  2-37 チェック
  2-38 データの保存(参考資料)
3.実験の基本と心得と実験ノート
  3-1 実験の基本プロセス
  3-2 実験を始める前のポイント
  3-3 実験中の心構え
  3-4 実験終了後
  3-5 実験が上手くいかない時
  3-6 実験の絶対的タブー
  3-7 良くあるパターン
4.実験計画
  4-1 計画の考え方
  4-2 シナリオメイク(仮説構築)
  4-3 実験条件の考え方
  4-4 実験計画法の意味
  4-5 リソースマネジメント
5.研究開発のための思考
  5-1 計画と考察のための考え方
  5-2 目的志向
  5-3 アウトプット志向
  5-4 思考のポイント
  5-5 メタフィールド思考
  5-6 逆説的思考
  5-7 イメージ化
  5-8 失敗からのリカバリ
  5-9 認知バイアスの罠
  5-10 目利き力
  5-11 ヒラメキの種
  5-12 イノベーションを生む発想と行動
6.コミュニケーションと情報発信
  6-1 コミュニケーションとは
  6-2 技術者の報連相
  6-3 ミーティング
  6-4 ノートを元に
7.仮説思考による研究開発と問題解決
  7-1 仮説が必要な理由
  7-2 課題解決・研究開発とは
  7-3 実験の本当の意味
  7-4 仮説の検証と実験
  7-5 仮説の考え方
  7-6 仮説の精度を決めるもの
  7-7 結論の条件
  7-8 仮説モデルの構築
  7-9 仮説→課題設定→計画
  7-10 2種類の事実
  7-11 ノートで区別
8.まとめ(研究者の心得)
  8-1 探究心と追求心
  8-2 技術力のポテンシャル要素
  8-3 4つの基本力
  8-4 2種類の感
  8-5 研究者の成功要素
  8-6 知識と知恵
  8-7 実験の神髄
  8-8 研究開発フロー
9.質疑

 

HPアップデートのお知らせ(GC検出器の種類と特徴)

 ジャパン・リサーチ・ラボのHPに以下のページを追加しました。

 

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 GCで使用する検出器の種類と特徴について解説しています。是非ご覧ください。

蛸壺からの脱出(研究開発の停滞を解消する)

 研究開発や問題解決では実験などの作業も重要ですが、やはり考える時間、悩む時間も重要で、それなりに多くなります。色々な妄想を巡らせながら、想像、予想をしながら仮説を立てて、実験でそれを検証するというサイクルを回すことになります。

 

 しかし、そういったプロセスの中で往々にして起こるのが、「蛸壺状態」です。考えに考えて、アイデアを絞り出した結果、もうそれ以上は何も考えられない状態、思考が堂々巡りに入り込んでしまっているような状態です。人は考えれば考えるほど、どうしても視野狭窄状態になってしまい、思考の幅が狭まっていってしまいます。そのような状態に陥ると新たなアイデアは出てこず、研究開発や問題解決は停滞することになります。

 

 こんな時どうすれば良いでしょうか。

 

 もっとも簡単で効果的な方法は、一旦その思考の対象から離れることです。溜まっている事務仕事や書類作成、雑務を消化しても良いでしょう。また、大抵は複数のテーマを抱えていることが多いので、別のテーマに思考を切り替えるという方法もあります。いずれにしても、一旦思考の方向をずらして、脳の違う部分を使う、違う使い方をすることで、「思考のコリ」を和らげるのです。

 

 また、お茶を飲む、散歩をするといった、いわゆる「気分転換」も非常に効果的です。日本では勤務時間中にそういったこと(特に散歩など)をするのは好ましくないという文化があるように思われますが、タバコを吸う人の喫煙所に行くという行為も同じことで、それほど後ろめたさを感じる必要はありません。この気分転換の重要性は脳科学、生理科学的にもその有効性は証明されています。

 例えば、ご存知の方もおられるでしょうが、googleのラボにはあちこちにソファーや飲食物がフリーで置いてあり、ゲーム機まであります。そうやって蛸壺からの脱出を促しているのです。ただ、googleのやり方を真似れば良いわけではありません。googleの従業員は極めて優秀な人が多いので、そういう環境に置いたとしても自律的に行動することができる、時間管理、仕事管理ができるからです。何も考えずに真似をすると失敗に終わるので、自分たちに合ったやり方を考える必要はあります。とは言え、せめて日本でも、「ちょっと煮詰まってきたので少し散歩(気分転換)してきます」と気軽に言える文化は育ってほしいとは思います。

 

 いずれにしても、どのような方法であっても、ポイントは蛸壺から意識して抜け出すということが重要です。焦る気持ちもあるでしょうが、「急がば回れ」という言葉もある通り、遠回りをしているようで、決してそんなことは無いのです。停滞しているテーマからいったん離れるというだけで、決して遊ぶということではないのですから。

 

 研究開発、課題解決で蛸壺に入り込んでしまっている、そんな方は是非ジャパン・リサーチ・ラボにご相談ください。ご相談はこちらから。

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