異物分析では、形態や色などの情報も重要ですが、やはり組成に関する情報が最も重要なものの一つになります。組成を得る事ができる分析法には様々なものがありますが、異物分析においてはある程度小さな領域に絞った分析ができるということが条件の一つになります。代表的なものとしては、以下のようなものがあげられます。
手法 | 特徴 | 課題 |
顕微赤外分光法 | ・化学構造に関する情報を得られる ・非破壊である |
・マイクロサンプリングが必要なことがある ・きれいなスペクトルを得ることが難しい |
顕微ラマン分光法 | ・顕微赤外よりは空間分解能が高い ・一部無機物も評価できる |
・測定できない試料がある(蛍光の妨害) ・レーザー照射によるダメージ |
飛行時間型 二次イオン質量分析法 (TOF-SIMS) |
・感度が高い ・化学構造も含んだ情報が得られる |
・表面感度が高すぎるために汚染に弱い ・露出している必要がある ・超高真空中で測定する必要がある |
SEM-XMA | ・元素情報が得られる ・空間分解能が高い |
・元素情報しか得られない ・軽元素は感度が低い |
X線光電子分光法 XPS |
・有機物、無機物とも分析可能 ・ある程度の化学構造情報が得られる |
・超高真空中での測定 ・表面感度が高いため汚染に弱い |
オージェ電子分光法 AES |
・空間分解能が高い ・元素情報が得られる |
・有機物には不向き ・電子線によるダメージがある |
それぞれに一長一短があるので、実際の分析ではこれらを的確に選択していく必要があります。そのためにも、本格的な構造解析に入る前にできる限りの情報を得る努力をすることが重要になります。軽い思い込みで、機械的に顕微赤外分光法を選択したりすると、十分な情報が得られない結果に終わってしまうというようなことが起こりかねません。
異物分析においては、対象物の数や量が少なく、やり直しができないことが多々あります。にもかかわらず、初期ステップではベールに包まれた状態で触れることなく、異物の素性を想像しなければならないという難しさがあります。だからこそ、材料やプロセスはもちろんのこと、分析のことも十分に把握したエキスパートに相談することも重要です。
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