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3種類の人事評価方法とその使い分け

 管理職には、「業務の企画・遂行・改善」などの仕事そのものにかかわって成果を出すことはもちろん、「部下の育成」などの人材マネジメント、ガバナンスなどの組織マネジメントなど様々な役割があります。そんな中で必須となるスキルの一つが、評価に関することです。最も重要な評価は言うまでもなく人材育成に関わる人事評価に関するものです。評価が間違えばモチベーションが下がり、成果が出なくなる、人材が育たなくなどの深刻な問題を引き起こします。そういう意味では、管理職、マネージャーの最も重要な役割の一つが評価であると言えます。

 そこで、今回は特に人事評価に軸足を置いて、評価に関して書いてみたいと思います。

 

  評価にもさまざまなものがあることは先に書いた通りですが、その中でも人の評価は複雑であり最も難しいもののひとつであると言えます。その最大の理由は、人が人を評価するという時点で、感情の影響がどうしても入り込んでしまうということです。客観的であるべき評価が、感情の影響を受けて相対的になることは事はもちろん、主観的になってしまうことがその原因です。

 

 このような感情の影響などの外的要因の影響を受けないようにするためには、人の評価以外も含めて、評価基準が重要となります。例えば、目標値があれば、それがクリアできたかどうかという点で判断する限りにおいては客観的な評価をすることができます。このタイプの評価を「到達度評価」、または、「絶対評価」と呼んでいます。最も客観的な評価方法であり、不平や不満が生まれにくいと言えます。

 

 しかし、一方でこの方法の難しい点は、目標の設定に関してです。目標のレベルが低すぎれば容易に達成することができ、高い評価を得ることができます。ところが、より高い目標を設定すれば完全な達成は困難となり、どうしても低い評価がついてしまいます。しかし、この両者を同じ土俵で並べてしまってよいかというと、困難であると言えるでしょう。

 

 そこで、多くの場合には絶対評価を謳いながらも、実際にはプロセスの評価などのいわゆる「総合的判断」というものが盛り込まれることが多いのも事実です。しかし、ここには客観的な判断基準は存在しないことから、不平や不満を生んでしまうこともしばしばです。例えば、スポーツ界の代表選考などでも時折問題を起こして話題になっていることは皆さんご承知の通りです。また、もっと身近な人事評価でも、目標管理やアクションプログラムなどと呼ばれるシステムが導入されていますが、いずれもあまりうまく機能していません。それは、同様に目標設定自体が不明確で裁量的であり、かつ、評価自体も感覚的であるためです。

 

 では実際の現場で、現実に最も多い評価方法は何かというと、「相対評価」になってしまいます。目標値のような絶対的な基準に沿ったものではなく、評価対象者全員を並べて眺めて、その中で、彼は頑張っているから、彼はもっとできるはずだからとような主観での評価が行われます。この背景は、前述のように基準が明確、客観的、論理的に設定されていないために、評価の段階でそれだけでは判断できないという状況が挙げられます。

 

 しかし、相対的評価では評価対象グループによって判断が変わってしまうという大きな問題があります。そのため、同じ会社であっても所属する部課によって評価が変わってしまいます。評価者たちもそのことは感じているために、多くの場合一次評価、二次評価と様なシステムが導入されて、最終的に評価者たちで合議が行われて調整が実施されることが一般的です。しかし、お気づきのようにこれでは二重三重に主観が入ってきてより混乱を深めてしまうことになります。そのため、ほとんどの企業で人事評価に対する不満が無くならないという現状をまねていると言えます。

 

 人事評価においてはもう一つの評価方法として、「個人内評価」があります。これは、各個人ごとに前回、前の段階を基準とする考え方です。一種の絶対評価ではありますが、個人のレベルにアウトプットレベルが左右されることになるという問題をはらんでいます。したがって、個人が各自の中で自分の自己成長を目指すときには適していると言えますが、組織の中での評価方法としては懸念点を持っていると言えるでしょう。

 

 実際の評価では、複数の基準、複数の方法が用いられることがほとんどであり、その意味でも評価プロセスを複雑にしています。ただ、組織としての成果、人材育成など様々な面で評価はその根幹をなすもののひとつであることは間違いありません。だからこそ、もっと時間と労力を割いて評価プロセスを改善していくことが必要不可欠です。

 

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