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学習する組織とは何か(成長する組織の条件)

 企業内には様々な組織があり、当然のことながら企業自身も組織です。そして、刻々と変化する社会の中に存在する組織は、絶えず変化、成長し続けることがその存在条件であると言えます。そのように、成長を続ける組織は絶え間ない学習の努力を行っていることから、「学習する組織」と呼ばれています。

 そこで、今回はこの学習する組織とはどのようなものなのか、学習する組織となるためにはどのような条件があるのかについて書いてみたいと思います。

  学習する組織とは、

   明確な目的を認識し、

   その実現のために組織の能力を継続的に高め、

   伸ばし続ける組織

であると表現できます。すなわち、絶え間ない努力によって成長を続けることで目的を達成することができる組織とも言えるでしょう。そして、そのバックグランドとして、環境の変化にしなやかに適応する順応力を持っている組織でもあります。このような組織の中では、個々が自発的、自律的に考え、行動することが求められることは言うまでもありません。

 

 では、そのような学習する組織となるためのは、どの条件があるでしょうか。

 

 まず基盤となるのは、明確な目的を認識し、それを共有できていることです。何のためにどこに向かおうとしているのか、これが共有できていなければ、個々のベクトルはバラバラとなって相殺し合い、学習する組織どころから、単なる組織としても成立しなくなります。これを補佐するものとして、目的のほかにも、ビジョン、価値観の共有も重要となります。これらを共有することによって、向かう方向だけでなく、何をすべきか、何を選ぶべきかという判断基準などを自動的に思考することができます。そうすることで、個々の細胞が自立的に活動して組織を形成する生物のごとく環境に対応することができます。

 

 しかし、一方で全体のベクトルを合わせる必要があるからといって全員が同じ考え方をしてしまっては組織に必要不可欠な多様性が担保されなくなってしまいます。したがって、個々のアイデンティティーの保持、すなわち、個性の維持と発揮も学習する組織においては必要不可欠ものとなります。これによって、目的、ビジョンといった統一的対象について、様々な角度から観察、思考することができ、多種多様なアイデアが創出され、それが対応力、適応力となって発現するのです。言い換えれば、一つのゴールに到達するプロセスには様々な経路があり、状況に合わせて最適解を選択できなければならないということです。

 

 ベクトルを合わせると同時に個性を発揮させながら、組織としての能力を高めるためには、それぞれの思考を共有することも重要となります。すなわち、オープンにディスカッションする文化が醸成されていなければなりません。これは、決してそれぞれが各自の考えを発言するだけでなく、他者の考えを傾聴するということも必要なことは言うまでもありません。アイデアとは個の内面からだけから出てくるものではなく、ディスカッションの中からこそ生まれてくるものです。

 

 そして、ディスカッションを行うことで様々なアイデアや可能性が生まれてきた後に必要なことは、選択です。創出されたすべてのものを現実に実行するということはリソースの浪費になることはもちろん、時にはコンフリクトが発生することもあるでしょう。そんな時に必要となるのが前述の選択です。そして、選択を行うときには順位づけ、判断の基準が必要なります。例えば、緊急性、影響度、実現可能性など様々な基準が考えられますが、それらの根本として存在しているべきことがあります。それは、全体最適という考え方です。組織の中では、個人は個別の担当領域、責任領域を持っています。しかし、しばしば判断を行うときにはそれらの領域がコンフリクトすることがあります。そんな時、誰しも自らの領域を優先したくなるものです。そこで、誤った判断をしないために必要なるのが全体最適という基準です。

 

 冒頭でも組織に必要なものとして適応力を上げましたが、変化する環境に適応するためには、組織そのものもそれに合わせて変化していくことが要求されます。組織とは、決して硬直的なものではなく、生き物のごとく環境に合わせて変化するものでなければなりません。そのためには、組織の構成、形態はもちろん、判断基準といった基盤となるものも時には変化させることも必要となります。

 

 組織とは、この集合であることは紛れも事実であることから、組織としてのパフォーマンスは必然的に個のパフォーマンスの影響を受けます。そして、このパフォーマンスに大きな影響を与えるのがやりがいやモチベーションと呼ばれるものです。人は論理的判断ということもできますが、一方で感情の生き物であることも紛れもない事実です。したがって、個のモチベーション、やりがいという側面も無視することはできません。そして、これらに大きな影響を与えるのが、実は組織の目的であったり、ビジョン、価値観といったものなのです。この点からも、組織と個は一体のものであるということが分かります。

 

 そして、最後にもう一つ上げるとすれば、いわゆるシナジー効果の発現です。前述のように組織とはこの集合であることは間違いありません。しかし、単なる足し合わせでは組織とは言えません。1+1が2よりも大きくなってこそ組織であるということも忘れてはなりません。

 

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