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相反するリーダーの役割の考え方(PM理論)

 現代においてはほとんどの業務は一人で行うことはなく、複数人で構成されるチーム、または、管理者とのコンビで実施されると言えます。このような場合に重要となるのが、リーダー(管理者)の役割です。旗振り役であるリーダーがその役割を十分に果たさなければ、メンバーや部下は進むべき道を見失い、路頭に迷うことになり、当然がら結果が出ないという状況を引き起こします。しかし、リーダーの役割の中には、一見相反すると思われる役割もあります。

 そこで、今回は様々なリーダーの役割の中でも、相反するものに焦点を当てて書いてみたいと思います。

  数あるリーダーの役割の中で相反すると感じられる代表は、目標の達成やアウトプットなどのパフォーマンス(Performance)に関することと、集団や関係性の維持(Maintenance)が挙げられます。これら二つの相反する関係を指して、「PM理論」などとも呼ばれています。

 

 目標達成やアウトプットを優先すれば、どうしてもメンバーや部下に負荷をかけることになります。そのような中では、厳しい指示や命令を行う必要も出てきます。もちろん、そのようなことをしなくても自律的に目標達成やアウトプットが行われていればよいのですが、人間とは弱いものでどうしても楽な方に流れてしまう、苦を避けようとしてしまうことがあるのは否定できません。また、やりたいことを自分の思う世にやりたいと思うことも人間の本質的な部分として存在しています。

 

 そのような状態にドライブをかけたり、ベクトルを合わせたりするのもリーダーの重要な役割であることは周知のことです。

 

 しかし、一方で人は多くの場合他人に命令されたり、自分の意思とは異なることをすることにはストレスを感じます。そして、それが反発や離反という形で顕在化することも少なくありません。さらにそれらが進んでしまうと、チームの崩壊や、そこまではいかないにしてもパフォーマンスの低下を招いてしまいます。このような状態にしない、または、改善して集団を維持することもリーダーの重要な役割です。

 

 ところが、集団の維持に重心を置けば、どうしても、いわゆる甘いリーダーというような状況を生んでしまい、統率力に影響が出て、最終的にはパフォーマンスも低下するという事態を招いてしまいます。

 

 パフォーマンスと集団の維持は、チームの統率というリーダーの重要な役割において相反する側面を持っています。この例以外にも、リーダーがその役割を果たしていく中では相反するものがいくつもあります。例えば、ここで上げたパフォーマンスや集団の維持と、評価もまた相反する側面を持っていると言えます。また、リーダーが日常的に出す指示もモチベーションの維持や自立性と相反性を持っていると言えるでしょう。

 

 このように、パフォーマンス(P)と集団の維持(M)によってリーダーの役割(リーダーシップ)を分類する考え方としてPM理論があります。ここで、PM理論について簡単に解説しておきます。PM理論は三隅二不二氏によって提唱されたリーダーシップの類型を定義した考え方です。この理論の中では、前述の通りリーダーシップをパフォーマンス(P)と集団維持(M)の2軸に分けて考え、PM型、Pm型、pM型、pm型の4つに分類しています。PM型は言うまでもなく、P、M共に発揮されバランスの取れた状態で理想的状態、最もその能力が発揮される状態と言えます。これに対して、Pm型はパフォーマンス特化、pM型は集団維持特化で偏りのある状態を指しています。そして、pm型はパフォーマンス、集団の維持ともに発揮されていない、言うなれば空中分解寸前で、リーダー失格状態です。

 

 これらのことから分かるのは、リーダーは特定の役割に注力するのではなく、全体のバランスを取る事が極めて重要であるということです。文字通り、全体最適でベストのパフォーマンスを出すことが求められるのがリーダーと言えます。その代表がPM理論です。

 

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