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接着不良、剥離分析の方法

 技術開発、商品開発など研究開発の中では様々な問題が起こります。その中でも、特に接着不良や剥離に関する問題は数多く見られるものの一つです。接着という言葉を広義に解釈すれば、文字通りの接着以外に、塗装や薄膜も接着技術の応用であると表現することができます。このように考えると、世の中のもので接着と無関係であると言えるものを探すの困難であるとも言えます。しかし、このように身近な技術であり、人類との関係も4000年以上にになる基本技術の接着ですが、きちんと筋道を立てて論理的にこの問題に対してアプローチできているケースが意外と少ないというのも事実です。

 そこで、今回はこのような重要技術である接着と、その対を成す剥離という現象について書いてみたいと思います。 

  接着メカニズムの解析や、接着不良、剥離の原因究明といった場合、ほとんどの場合表面分析が必要となります。これは、接着、剥離のいずれも対象物の表面が関わる現象だからに他なりません。従って、接着や剥離の解析においては、表面分析手法が主役になります。

 ここで、少し分析のことをご存知の方は、X線光電子分光法(XPS)を実施しようという流れになります。XPSとは、表面から数nmの深さ領域だけを解析することができる代表的な分析手法であり、その領域における元素組成や原子の化学状態をすることができる代表的表面分析手法の一つです。

 

 しかし、実はここに落とし穴があります。例えば、剥離問題の場合、剥離自体がどのようなパターンに当てはまるのかということを考えながら進めていかないとゴールにはたどり着けません。なぜならば、剥離にも様々なパターンがあり、一番単純な界面剥離他に、層内剥離、これらの混合状態である海島状の斑剥離などがあります。XPSでの分析における大きな目的としては、剥離界面に汚染成分が無いかや、どの剥離パターンなのかを知ることが挙げられます。しかし、前者であれば界面剥離なら解析可能ですが、そうでなければ情報を得ることは困難となります。なぜなら、XPSは数nmの深さまでだけを見る手法ですから、界面剥離の以外の場合には界面は測定範囲外となるからです。また、後者の目的であった場合、完全な界面剥離であれば情報を得ることができますが、海島状の斑剥離と層内剥離の判別は困難と言えます。そして、何よりも多くの剥離界面は、単純な界面剥離であることは少なく、複雑な状態になっています。

 従って、必要とする情報を得るためには、まず、可能な限り接着面の形態観察を実施することが望ましいと言えます。例えば、この段階で何らかの異物などが存在することが確認できた場合、そして、その形状から原因物がプロセスや原料などを考慮して予想できる時にはすぐに対策に動ける可能性があります。また、原因物の予想にまでは至らなくても、原因物が確認できるのかどうかで厚さを予想できることもあり、それによってその後の分析で候補となる手法を絞り込むことができます。例えば、異物が数百ミクロン以上の大きさであればXPSでも解析は可能ですが、それ以下の大きさの場合には顕微IRやラマン分光、TOF-SIMSなど他の手法を検討することも必要でしょう。

 さらに、表面は均一なのか、何かが斑状になっているのかという情報がわかるだけでも大きな進捗といえます。斑状の場合、状況によっては分析エリアの小さな手法、イメージングの可能な手法を選択する必要があるかもしれません。
 
 そして、次に表面全体に何かが薄い膜として存在していないかどうかを確認するというのがオーソドックスな進め方といえます。ただし、接着不良の原因が必ずしも表面汚染物というわけではなく、また、汚染物が必ずしも外来のものであるということもありません。例えば、添加剤がブリードアウトしてそれが原因となって接着不良を起こすということも良くあるパターンの一つです。

 

 また、剥離がどこで起きているかを明らかにすることが最初の目標になりますから、詳細な剥離面の観察や表面分析を中心としたアプローチが重要になってきます。ただし、ここでも検出深さや測定エリアなどに気を付けながら手法選択を行っていかないと間違った結論に達してしまう可能性があることは言うまでもありません。

 

 このように、接着、剥離解析は非常に複雑なものであり、多くの研究者が苦労している課題でもあります。

 

 より詳しくは、

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