JRLテックログ

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リーダーのあるべき姿:リーダーシップモデル(ASPIREモデル)

 近年の業務は一人ですべてを完結することは極めて稀であり、ほとんど全ての場合チームで分担するか、少なくとも、統括者と担当者という役割分担が行われています。したがって、いずれの場合においてもリーダーの存在が非常に重要となります。しかし、リーダー不在やリーダーの迷走など、リーダーの振る舞い、行動、考え方に問題があるために業務が頓挫するケースがしばしば見られます。戦場では指揮官が愚かな部隊は必ず全滅するとよく言われますが、業務の場においても同様です。

 そこで、今回は現代の業務遂行において必要不可欠となっているリーダーにスポットライト当てて、あるべき姿、必要な資質、スキルなどについて、ASPIREモデルと言われるリーダー像をベースにして書いてみたいと思います。

  リーダーに求められることは数多くあり、多岐にわたります。リーダーに求められるしかし、それらの基盤となる最も重要なものので一つが、「目的(Aim)の設定」、すなわち、「ゴール」です。どこに向かおうとしているのか、何を達成しようとしているのか、どのような状態になろうとしているのか、それらが明確でなければ迷走が始まってしまいます。そして、この目的、ゴールという中には、当然のことながら、なぜそこを目指すのか、なぜそれがゴールとなり得るのかという背景や理由も含まれています。

 目的を設定することはリーダーの重要な役割です。リーダーとは旗振り役ともいわれることがありますが、先頭に立ってメンバーを導かなければなりません。したがって、当然自分たちがどこに向かうのかということは明確になっていなければ道に迷うことになります。また、当然のことながら、それらを自分だけが納得して知っているのではなく、メンバーと共有できていなければならないことは言うまでもありません。

 

 二つ目に上げるのは、「状況(Situation)の把握」です。状況把握にもさまざまなものがありますが、まず必要なことは、いわゆるベンチマーク、現在の状況の把握です。言い換えるならば、スタート地点を確認、定義することです。現時点で、何が分かっていて、何が分からないのか、また、何が出来そうで、何が無理そうなのかなど様々な側面から検証する必要があります。一方で、状況は刻一刻と変化していきます。したがって、状況の変化を読み取り、戦略や計画を最適化していくこともリーダーに求められることです。担当者は、自らの役割を果たすこと、役割範囲に注力します。そのため、全体の状況を把握すること難しくなります。そのようなときにこそ、リーダーが全体視点で状況を把握して対応していくことが必要となります。

 

 三つ目に上げるのは、「計画(Plan)の策定」です。時間や人員も含めて限られたリソースの中で成果を上げていくためには、適材適所、最適配置が必要不可欠となります。そのためには、全体の状況を踏まえて最適化された計画が無ければ統率された行動を取る事はできません。いくらリーダーと言えども、絶えず全体に目を配ることはできません。そんな時にリーダーの代わりとなるのが計画です。良くPDCAという言葉使われますが、P(計画)がしっかりと策定されていれば、DCAは計画で決めた通りに粛々と実施していく作業レベルに落とし込んでいくことができます。そうすれば、現場リーダーの目が途切れたとしても自動的に回っていくことができます。このような計画を立てられるのは、目的を設定して、全体の状況を把握しているリーダーしかいません。逆に言えば、リーダーの役割ということになります。

 

 四つ目に上げるのは、「示唆(Inspire)」です。良くリーダーの仕事は指示を出すものだという人を目にしますが、これは完全に間違ってはいませんが、正しいとも言えません。確かに、計画に沿って目的を達成するためにリーダーはメンバーに指示を出すことが必要となります。しかし、指示ばかりではメンバーは自立的に役割を果たすことができず、リーダーがいなければ何もできない、いわゆる指示待ち状態に陥ってしまいます。これでは、チームが大きくなった場合に破綻をきたすことは明らかです。理想の状態は、目的と理解して決めた計画に沿って粛々と役割を果たしていき、必要な情報を報告するというフローが滞りなく流れることです。そうすることで、リーダーは全体掌握に注力することができます。このような状態を実現するために必要なことが、指示ではなく、「示唆」です。求める状態を指定して、その達成のためのプロセスは共有するだけで任せることが理想であり、それには前述にように指示ではなく示唆でなければなりません。また、このようにすることでメンバー自立的に考え行動するので、育成にもなり、次期リーダー候補へと成長していきます。

 

 五つ目に上げるのは、「強化(Reinforce)」です。これには二つの意味があり、人材的な視点とプロセス的な視点での強化がリーダーには必要となります。まず、前者の人材的な視点については、人には得手不得手はもちろんのこと、スキルレベルの高いものもあれば、逆にまだ十分でないスキルもあります。これらを見極めて上で、得意、ハイレベルなものはより上位へと向上、すなわち、強化するように仕掛けていくこともリーダーの重要な役割の一つです。後者のプロセス的視点での強化とは、必要なリソースの投入や、時には鼓舞することも含めて、プロセスの回転の強化するような仕掛けを行うことです。これも、全体を掌握しているリーダーにしかできないことの一つです。

 

 最後に六つ目に上げるのは、「評価(Evaluation)」です。これも二つの意味があり、人材的側面と状況・アウトプットに対するものです。前者については、いわゆる人事評価に類することであり、プロセス面、成果面の両面において明瞭に評価することが求められます。そして、これは前述の強化にもつながります。正当な評価はモチベーションを高めて、成長を強化します。しかし、評価が正当でないと感じられてしまえば、負の影響を与えることになります。また、後者の状況・アウトプットに対する評価は、客観的、論理的に途中の状況やアウトプットについて評価し続けることもリーダーの役割であるということです。例えば、途中評価では場合にはよっては撤退の判断をしなければならない場面も生まれますが、その判断をするのは紛れもなくリーダーの役割です。

 

 今回は、ASPIREモデルに沿ってリーダーの役割を開設しましたが、もちろん、リーダーの役割はこれらにとどまるものではありません。これらはその中の特に重要なものをピックアップしています。また別の機会で残りついては書いてみたいと思います。

 

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