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どうやって相手の意思、考えを変えるか(説得の方法)

 交渉はもちろんのこと、会議の場や日常生活においても、相手の意思や考えを変えたいと思う状況がしばしば起こります。そんな時に必要となるのが「説得」です。しかし、他人の意思や考えを変えることは容易なことではありません。無理やりに力づくで、立場を利用してという方法もありますが、これでは結論を無理やりに自分の都合の良いように決着させただけで、医師や考えを変えたとは言えません。相手に納得してもらい、好意的、自発的に協力を得ようとすれば、このような方法が適していないことは明らかです。

 そこで、今回は力づくではない方法で相手の意思や考えを変えたいときにどのような考え方をすればよいかについて書いてみたいと思います。

  相手を説得するときには、必ずこちらの考えや意思、状況等を説明することになります。そして、その説明を理解してもらって納得を得ることで相手の意思や考えを変えることを試みます。この説明の方法にはいくつかのパターンがありますが、基本となるものは3つの説明の方法があります。

 

 一つ目の説明の方法は、最も基本となるものであり、「規範的説明」と呼ばれるものです。規範とは、ルールであり、守るべきもの、従うべきものという意味になります。例えば、法律や規律などがその代表として挙げられます。具体的には、人の物を盗もうとしている人など法律に違反しようとしている人に、それは悪いことであると言うことは規範的説明と言えます。また、電車内での携帯電話や、禁煙区域での喫煙などに注意することも規範的説明の一つです。

 規範的説明は、3つの説明の中では最も説明しやすいものとも言えます。これは、説明の根拠となるものは社会的決め事であり、前述のように基本的に守るべきものであると誰もが認識しているものだからです。しかし、一方で規範的説明とはその根拠は法律や規律など自分自身とは異なるところに持っています。そのため、相手にとってあなたは当事者であるという認識が生まれない可能性があります。すなわち、あなたがその説明をすること自体に対する根拠が薄い面があります。ただ、社会全般的に見れば最も基本となるものであることも事実です。

 

 二つ目の説明の方法は、「功利的説明」です。功利的という言葉は耳慣れないものかもしれませんが、簡単に表現すれば、より利益が大きな方を取るというような考え方です。すなわち、あなたの主張よりも私の主張を選択することで、あなたの利益はより大きくなるというような説明をすることが功利的説明であると言えます。具体的には、二つの店舗において、他店よりも自分の店の方がより安価であるというようなセールストークは、まさに功利的説明であると言えるでしょう。

 このような功利的説明の基盤となるのは、「功利主義」と呼ばれる考え方です。すなわち、人間は選択を迫られたとき、自分にとってより利益が大きくなる方を選ぶものであるという前提に立っています。しかし、現実的には人の意思決定とはそれほど単純なものではありません。実際には人は感情に左右されることが多々あります。したがって、説得の内容が正しい(自分にとっては得である)と理屈では分かっていても、感情的に受け入れられないこともしばしばです。そういう意味で、功利的説明は本来は強力な説得方法のはずですが、現実には上手くいかないことも少ないと言えます。

 

 三つ目の説明は、功利的説明の最後で少し書いた感情に関わるものであり、「情緒(感情)的説明」と呼ばれるものです。これは、文字通り感情を前面に出して、情に訴えるものであり、一般的に「泣き落とし」などと呼ばれるものもこの一種であると言えます。そして、情緒的説明は三つの説得法の中では最も不安定なものであると言えます。なぜなら、この説得では感情を前面に出して、感情に訴えるということによります。すなわち、感情とは不安定であり、予測不可能なものだからです。こういった意味において、3つの説得法の中では可能な限り避けるべきものであると言えます。しかし、実際には、規範的説明や功利的説明をしていたはずが、気が付くと情緒的説明になってしまっていたということが往々にしてありますから注意が必要です。

 

 説得の方法はもちろん、この3つに限定されるわけではありませんが、重要なことは自分が何を拠り所、基盤として説得しているのかということを認識することです。そして、当然のことながら、何を基盤とするのが最も効果が高いかを判断して、選択しなければなりません。間違っても、最初から感情に任せて交渉を行ってはいけないことは言うまでもありません。

 

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