JRLテックログ

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2大PCメーカーを例とした企業スタンスの比較

 増税win7の終了に伴ってパソコンを買い替える機会があり、外資系大手通販PCメーカー2社を検討することになりました。その中で見えてきた両者の企業スタンスや課題が非常に特徴的だったので、企業文化という点も含めて考えてみたいと思います。

 

 先に申し上げておきますが、ここでは個別製品の良し悪しについては基本的に議論しません。前述の通り問い合わせに際して垣間見えてきた企業スタンス(文化)について検証します。

 

 実は現在使用しているPCのデスクトップ、ノート共にD社ばかりです。XPの時代にH社のノートを使っていたぐらいです。特段不満も無かったのでD社かなと思ってこちらから問い合わせを始めました。

 

 D社にはチャット窓口があり、これがレスポンスも良いので結構便利です。しかし、ここに落とし穴があります。D社もH社も法人と個人の二つのチャネルがあるわけですが、D社のチャットでは個人と法人で全くスタンスが異なります。最も大きな違いは、法人窓口は基本的に日本人が対応されますが、個人については基本的に外国人の方です。外国人がダメということではもちろありません。ただ、問題は日本語が不完全だということで意思疎通が困難になる状況が多発しました。また、技術知識や対応レベルにも残念ながら違いがあります。このあたりに、D社という会社が個人と法人のどちらをメインとしているかという企業スタンスが現れていると言えます。

 同様のことが製品作りにも現れています。法人向けモデル、特にワークステーションであるPシリーズは、製品化までに年単位の時間をかけて主なソフトでの動作や相性問題を検証しているそうです(オペレーター談)。これに対して、廉価製品が多い個人向けでは、CPU世代なども含めてコストダウンを優先しています。だからと言ってダメというわけではありませんが、個人と法人では製品コンセプトが全く異なるということが分かります。

 また、法人窓口の担当者の方は細かな相談にも柔軟な対応、提案をされ、おそらく購買担当の方などの評判は良いと想像されます。見積りについても、できるだけ要望を満たそうと、構成変更やモデル変更も含めて色々な提案をできるスキルを持っています。そういう意味では、D社の法人窓口は単なるオペレーターではなく、営業さんという言えるでしょう。

 これらのことを考えるとD社は法人向けをターゲットとした企業スタンスであり、顧客とのやり取りを念頭においているということになります。

 

 一方でH社ですが、混乱を招く懸念点は、ホームページと電話窓口は全く異なると考えないといけないことです。例えば、キャンペーン等についてホームページに記載のものが電話でも自動的に適用されるわけではありません。別のものだと思ってくださいという説明です(あくまでもHPの記載はHP用であるとのことでした)。このように、ホームページはホームページ、電話窓口は電話窓口というスタンスです。これは、H社という企業の組織構成から来ているものと思われます。この辺りは顧客視点とは言い難いでしょう

 では、窓口での対応についてですが、基本的にマニュアル通りの対応になるのでD社のような柔軟な対応や細やかな提案を期待することは難しいと感じました。HPと電話窓口は別物という説明ではありながら、要望を伝えて出てくる答えはHPで自分で構成を作るのと同じものです。企業の顔とも言える部門に対するウェートが低いと感じられるのは大きな問題です。おそらく、スタンスとして基本は購買部署などへの対応として窓口が必要という、文字通りのオペレーターという考え方なのだと思われます。この辺りは、企業スタンスとして中途半端と言えるでしょう。顧客は窓口オペレーターに何を求めているのかということが置き去りにされていると感じられます。少し極端に言えば、H社の窓口は単純なオペレーターであり、規定通りの見積もり作成担当者であり、HPと電話は別ですと言いながらやっていることはHPと同じとなります。

 これらことを考えると、H社もD社同様に法人向け主体という企業スタンスは同じではあるが、最も重要となる入口の部分の考え方が大きく異なると言えます。よりネット直販メーカーの色が濃いとも言えるでしょう。

 

 両社ともに法人がメインというスタンスであると言えますが、これ自体はまさに企業スタンスなので是非を問うものではありません。しかし、少なからず会社で買ったメーカーを個人でも選ぶことは多く、そこでのギャップはクレームの要因になります。また、そうやって不満を感じた方は仕事で使うPCの選択肢から外すということも考えられます。圧倒的に法人売り上げが多いことが背景にはあるでしょうが、世間から一つのメーカーである見られるということは重要なことです。

 

 今回は2大PCメーカーを例として比較してみましたが、皆さんの会社についても、例えばお客様に対するスタンスは何か、競合と比較して何が違うのか、そして何よりも重要なお客様視点に立った時にどう映るのかということを検証されることも大切です。

 

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