JRLテックログ

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創造的で有益な議論をする方法(アウトプットを生み出す議論)

 どんな優秀な人であっても、一人でできること、考えられることには限界があります。特に、現代のように複雑化が進んで、要求されることも高度化している状況では、集団知を活用することが不可欠と言えます。そして、集団で何かを生み出すときに必要不可欠なものが「議論」です。しかし、創造的な議論をすること、有益なアウトプットを生み出す議論をすることは容易なことではありません。

 議論において重要なことはたくさんありますが、その中でも今回は「触発」、別の言葉でいうならば、議論を「噛み合わせる」ということに軸足を置いて書いてみたいと思います。

  議論においては、他人の意見を聞くこと、引き出すことが重要となります。それによって、新たな知見や知識を得ることができるのはもちろん、それをもとにした新たな思考を誘発することができます。それを互いに行いあうことが議論であるとも言えます。このとき重要となるスキルが「質問スキル」です。あやふやで漠然とした質問には、あやふやで漠然とした答えしか返ってきません。必要なことは、相手の思考を刺激して、ヒラメキを誘発するような示唆に富んだ問いかけです。

 質問のテクニックには様々なものがありますが、最も基本的なものは。「オープンクエスチョン」と「クローズドクエスチョン」です。オープンクエスチョンとは、答えを限定しない、フリーに相手の考えを聞きたいときに使います。クローズドクエスチョンとは、逆に答えをyes-noなどに限定して相手の意見を聞くときに用います。この二つの中では、オープンクエスチョンが特に質問の仕方が重要になってきます。何を聞きたいのか、その聞きたいことを相手が理解できるような質問をしなければなりません。

 示唆に富んだ質問とは、相手に考える取っ掛かり、ヒントを与えるような質問であるとも言えます。

 

 二つ目の創造的な議論のポイントは、空中戦をしないということです。空中戦とは、どこか他人事で議論が進んでいく状態、参加者がみんな評論家のような状態になってしまっている議論です。このような状態になると、事実と想像の区別もなくなり、全く身のある議論が出来なくなってしまいます。さらにこの状況進むと議論はどんどん感情論へと移行して、個人戦、批判合戦へと変わっていってしまいます。こうなると、すでに議論と呼べるような状態ではありません。

 ではどうすれば良いかと言えば、空中戦ではなく、地上戦に持ち込むことです。地上戦とは、具体的な事実と客観的な思考に基づいて議論することです。地上戦で議論するポイントは、前述の具体性、客観性はもちろん、事実に基づいて議論すること、議論のテーマを常に意識することです。

 

 三つ目の創造的な議論のポイントは、メンバーの選択です。テーマに関連した知識や経験、すなわち、議論の場に提供でいる知恵を持っている人を選ぶことです。役職や上司だから、先輩だからという理由だけで選んでも何も得ることはできません。また、人数も重要で「3人寄れば文殊の知恵」という言葉もありますが、数が多ければよいというわけではありません。仮に二人であっても有益な議論は可能です。逆に数が多ぎると、集団思考の罠に陥ってしまう懸念が生まれてきます。

 

 四つ目の創造的な議論のポイントは、対立の構図を制御することです。議論をする中では、どうしても意見の食い違いなどで対立構造が形成されてしまうことがあります。議論の空中戦と地上戦でも述べましたが、どうしても人と人の関係、感情の関係が議論の中に入ってくることはある種避けられないとも言えます。そのため、気が付くと意見の対立ではなく、感情の対立、当事者同士の対立になってしまうことがあります。そんな時は、論点をホワイトボードに書きだす、司会、ファシリテーターなどが整理して、対立のポイントが何に帰着するのかを明らかにすることが必要です。感情論に発展すると、主観と想像が支配要因となって、空中特攻戦になります。

 

 五つ目の創造的な議論のポイントは、主張の明確化です。何が言いたいのか、言いたいことの結論は何かということを明確にして、自分以外の参加者に伝え、理解してもらわなければ、有益な議論はできません。中途半端な理解や、理解できない状態に陥ると、空中戦が展開されて、最終的に感情論、当事者同士の人と人のぶつかり合いに発展していってしまいます。完結、明瞭に論点を説明することが重要です。

 

 創造的で有益な議論が出来れば、多くの企業で問題となっている無駄な会議を効率化することも可能となります。また、研究開発や現場のカイゼンにおいても同様に大きな効果が期待できます。しかし、残念ながら日本人はその国民性も手伝って、決して議論が得意な民族ではない一面を持っています。だからこそ、まだ改善や成長の余地が残っているとも言えます。今一度、議論の本質に目を向けて、議論力向上を目指すことが今必要とされています。

 

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