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意思決定における心の会計(意思決定プロセスと考え方・方法)

 何らかの判断や意思決定は、仕事上だけでなく日常的に誰もが行っていることだと思います。仕事の中では、会議、打ち合わせから業務の優先順位など様々な場面があげられます。それらの意思決定では、何らかの基準が意識的か、無意識的かは別にして必ず存在します。また、その基準は同じ命題に対して必ず同じというわけではなく、その時の状況に応じて様々な判断基準で処理されています。そうやって決まる意思決定は時には会社の将来や人生をも左右します。

 このように、重要であり、かつ、複雑な意思決定について今回は書いてみたいと思います。

  代表的な判断の基準の一つは、功利的基準です。これは、いわゆる損得勘定による判断であり、どの決断が最も利得を大きくするかという基準で選択します。この利得は時には自分自身のこと、時には会社や社会の利得など様々です。しかし、このとき大きなポイントになるのは、どの利得を優先するか、様々な利得が存在する中でどのようにウェート配分をするかということです。それによって判断は大きく変わります。従って、功利的基準においては、利得間の優先順位と利得の算定プロセスが重要であると言えます。

 

また、別の判断基準としては、規範的基準があります。これは、ルール、常識などによって、どの決断が最も正しいか、善であるかということを基準に選択します。しかし、この基準も万人共通ではなく、属する組織、国家、信奉する宗教など様々な要因で変化します。ルールは必ず誰かが、もしくは、いずれかの組織が決めるものであり、多くの場合決定者の基準でルールが決められるという点は忘れてはいけないでしょう。

 

 この他にもいくつかのパターンがありますが、いずれも基本は論理的に考えて判断を下しています。

 

 しかし、実際の意思決定においては明らかに論理的に矛盾する判断が行われることがあります。功利的基準で言えば、または、論理的に考えれば明らかに損をする選択をする、規範的基準であれば明らかなルール違反を犯してしまうようなケースです。

 

 例えば、公営ギャンブルである競馬やパチンコは必ず胴元である主催者が勝てるように設定されています。胴元の利益までを差し引いた残りを客が分けるのですからトータル的には必ず損になります。また、宝くじも確率的な期待値は購入金額を下回りますが、多くの人が購入します。規範的基準で言えば、優先駐車場所に混んでいるからと言って平気で車ととめているのを目にしたことがあるはずです。また、路上喫煙禁止なのに歩きたばこをしている人もいます。

 

 では、なぜこのような状況が起きるのでしょうか。それは、「心の会計」が意思決定に対して影響を与えているからです。心の会計とは、論理的な判断基準、すなわち、実価値だけではなく、心理的価値を加えて判断することです。人は、感情の生き物と言われる通り、論理的基準だけですべてを説明することは極めて困難なのです。

 

 先の例で言えば、競馬の予想が当たって勝てた時、宝くじが当った時の喜び、うれしさという心理的価値が上乗せされることによって実価値による判断を上まわってしまうために、確率的見地では負けているにもかかわらず勝負してしまうのです。また、ルール違反、常識に反していると分かってはいながら、自分が得をしたい、楽をしたいという気持ちに負けてしまい破ってしまうのです。

 

 業務においても、会社全体の利益を考えれば、すなわち、全体最適という観点に立てば到底選択することのない決定がされることがあります。これは、例えば、全体の利益よりも自分個人の利益を優先するという心の会計が影響した結果です。心の会計はいわば目先の利益にとらわれた結果ということもできます。データ改ざん問題もこの心の会計によって、目先の利益にとらわれることで、それによって得られるよりもはるかに大きな損失のリスクを負うことを無視してしまった結果です。

 

 心理的会計の影響の怖いところは、本人が気づかない内に判断を左右していることがあるということです。決してすべてを論理的に判断するのが正しいというわけではありませんが、心理的会計の影響を認識した上で最終決断を下すことが重要です。

 

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