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自衛隊に学ぶ判断・決断の方法と考え方(正早安楽)

 自衛隊をはじめとした軍隊においては、一瞬の判断の迷いが正に命取りになってしまいます。そして、彼らの戦う戦場では、刻々と状況が変化していきます。かれらは、そんな状況の中で千変万化の戦場で一瞬一瞬の判断を迫られています。日常生活においても、命に関わることは少ないとしても、日々の中で判断や決断に迫られることは数多くあります。

 そこで、今回は自衛隊などの軍隊の中で培われた判断、決断の方法と考え方として存在する「早安」について書いてみたいと思います。

  「正早安楽」の一つ目である「正」の意味するところは、正しい判断をするということです。そんなことは当たり前ではないかと感じられた方が多いのではないかと思います。しかし、ここで言っているのは、間違いを犯すな、ということです。もっと別の言い方をすれば、ベストアンサーを求めている間に判断や決断が遅れるのであれば、それは間違っているということです。すなわち、ベストアンサーよりも間違わないことが優先されるということです。戦場においては、間違い=死に直結、ということになります。しかし、ベストアンサーではなくても、判断を間違わずに生き残りさえすればチャンスを得る可能性を残せます。日常においても同じことです。例えば、交渉において間違いを犯せば決裂という何も得られない最悪の結末を迎えます。しかし、理想とは異なったとしても間違ってさえいなければ得るものが生まれます。

 したがって、判断や決断に迷った時には、まず、間違いか間違いでないかを考えることが重要であるということです。

 

 二つ目の「早」は、別稿でも書いていますが、早さは力であるということとリンクしています。戦場はもちろん、日常においても状況は刻一刻と変化していきます。例えば、において、こんな商品が求められているからといって、むやみに時間をかけてしまえば、競合が先に市場を取ってしまうかもしれないことはもちろん、社会トレンドやニーズ自体が変化してしまうこともあります。時間をかけることにメリットや意味があるのであればそれも一つの判断ですが、多くの場合、悩みや迷いの原因を完全に取り除くことは困難です。であれば、いたずらに時間を消費しているだけであるということになってしまいます。

 したがって、判断や決断において早さを追求することが重要となります。そして、そのために、速く出来ない要因を改善することを考えることが必要となります。

 

 三つ目の「安」は、費用対効果、すなわち、コスト視点を持って判断、決断するということです。戦場において、生命とコスト(費用)を天秤にかけるのかと思われた方もいるかもしれません。しかし、ここでいうコストとは単純な金銭的意味の費用だけではありません。必要となる労力はもちろん、リスクという視点も含まれています。すなわち、実行に多大なリスクを伴うにもかかわらず、期待される効果がそれに見合わないような判断や決断はするべきではないということです。言い換えるなら、ハイリスク・ローリターンになるなということです。

 したがって、費用対効果だけでなく、「リスク対効果」も含めてインプットとアウトプットのバランスを考えなければならないということです。

 

 そして、最後の「楽」は、もっと楽に、そして、もっと楽しく出来ないということを判断、決断のプロセス要素として考えるべきであるということです。どんなに論理的に、客観的に考えられた結論であったとしても、それを実行するのは人間です。通常人は、より楽な方、より楽しい方を選びたいと考えるものです。そこを理性でコントロールするのですが、やはり、ショットカット思考やルール逸脱といったことが起こりえます。これらの背景にあるのは、苦しい、楽しくないことをやらなければならないことが挙げられます。したがって、最初から楽に感じられる、楽しく感じられれば問題は起こりません。

 したがって、判断、決断においては人の感情という要素も考慮する必要があるということです。

 

 正早安楽だけで全ての判断や決断がスムーズに全て解決するわけではありませんが、少なくともこれらのことは理解、認識しておく必要があることは間違いありません。より「適切な判断」をするための参考にしてください。

 

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