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部下への指示の出し方(一令一動)

 みなさん「一令一動」という言葉をご存知でしょうか。実は、自衛隊の中で使われている言葉で、命令と行動は1対1の対応でなければならないという意味です。しかし、実はこの1対1の対応にはいくつかの意味があります。

 今回は、この言葉と実際の現場でのことを対応させながら考えてみたいと思います。

  なぜ、命令と行動は1対1でなければならないのか。自衛隊の存在意味などの難しい話は全て横に置けば、自衛隊の活動の場とは、戦場であり、戦場でない場合もそれに匹敵するような過酷な場であることが通常です。全てが一刻を争う状況であると言えます。状況を速やかに把握して、判断し、行動しなければ、対象はもちろん、自信の生命が危険にさらされることになります。そんな時にこの一令一動という言葉が大きな意味を持ちます。

 

 一令一動の1対1の対応の一つ目の意味は、一回の命令では一つのことだけを指示するということが挙げられます。一刻を争う状況であるから、出来るだけ効率を上げるためには一回の命令でできるだけ多くを伝える方が良いと考える方もいるかもしれません。しかし、一つには最も優先されるべきこととして、一刻も早い行動への移行が挙げられます。命令のやり取りの時間すら惜しいと言えるでしょう。特に、複数の行動を一度に伝えようとすれば、それだけ命令自体が複雑化するので、余計な説明の時間も必要となります。

 また、複数行動が命令に含まれた場合、優先順位という問題が発生します。もちろん、命令の中で優先順位を伝えるという方法もありますが、命令の内容と優先順位という二つの情報を伝える複雑さが前述のように発生します。また、優先順位の判断を現場しなければならなくなれば、当然のことながらその判断に要する分だけ行動への移行が遅れることになります。加えて、絶えず行動を要求される現場において優先順位を冷静深慮することは容易ではありません。

 

 もう一つの意味は、文字通り意味としての一令一動です。すなわち、命令と行動の意味が1対1で対応していることであり、命令を複数の意味に捉えることはできないようにしなければならないということです。受け取る側の判断、思考で命令の意味が変わっては命令の存在意義が根本的に否定されることになります。また、複数の意味に取れるということは、現場の負担がその意味を考えなければらない分だけ増えることになります。間違った意味に捉えてしまえば、生死に関わってくることになりかねません。

 

 このような観点から、自衛隊では一令一動が徹底されているのです。

 

 では、現実の日常、業務の場面ではどうでしょうか。もちろん、生死にかかわるような事態は、安全にかかわることでなければ、日常業務においてはそれほど多くないかもしれません。しかし、指示の出し方、受け取り方ひとつで企業の生死に発展することも現代では珍しくないとも言えます。例えば、品質に関わる領域です。にもかかわらず、多くの指示は漠然としたものであるのが現実です。

 「この資料作っておいて」

 「上手く話をしておいて」

など、指示の内容がほとんどないものも多くみられます。すなわち、一令一動どころか、指示命令と行動が紐付けられていないことがほとんどです。これでは、指示を受けた方もどうしたらよいかわからないのはもちろん、結果を非難されても納得できないでしょう。

 

 この機会に、一令一動の考え方を取り入れて、日常の指示の出し方を再考されてはいかがでしょうか。

 

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