JRLテックログ

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部下を成長させる指示の出し方(余裕のあり方)

 通常の業務の流れは、上司からの指示に基づいて部下がその仕事を行うというのが基本になっているかと思います。この流れには、昨今は様々な意見がありますが、自分自身も含めて、誰かが仕事との内容を決めて、誰か(これも自分自身を含めて)がそれを実行するという点は間違いないと言えます。ただ、その指示の出し方ひとつで、その指示を行った結果はもちろん、人の人材としての成長にも影響を与えることは理解しておく必要があります。

 そこで、今回は指示の出し方の一側面について書いてみたいと思います。

  指示の出し方にも大きく二つの種類があります。一つはやり方も含めて事細かに支持を出すやり方であり、もう一つは方向性やゴールだけを支持して、そのやり方(プロセス)は基本的に任せるというやり方であり、ミッション指示とも言われます。一般的には後者の方が望ましいというような言われ方をすることが多いかと思います。しかし、必ずしも前者は否定されるものではありません。新入社員などを含めて、全くやったことが無い指示を方法も言われずに実行するのは容易ではありません。後者の支持者は、それでもそれを自分で考えることに意味があるという考え方です。もちろん、そういった面もありますが、やはり説明の必要ケースというのは必ず存在します。重要なことはその程度ということになります。

 

 新入社員だから、不慣れだからと事細かに説明してばかりいては、相手は考えることを放棄し、いわゆる指示待ち型になってしまいます。私はそのような状態を「雛鳥症候群」と呼んでいます。一方で、何も説明されないと間違った判断をしてしまうという懸念が生まれます。要するに、前述の程度の問題ということになるのですが、その程度の考え方の一つの指標として、ここでは「余裕」という言葉を使ってみたいと思います。

 

 ここでいう余裕は、一般的な意味としての時間的な余裕ということではなく、行動や判断における余裕、マージンという言い方ができます。もっと異なる表現を使えば、自主裁量の程度とも言えます。やり方も含めてすべてを説明するということは、この余裕を全く与えないということになります。一方で、ミッション指示では方法やプロセスといった部分の大きな余裕を与える指示の出し方です。ここはこうして欲しい、しかし、その他の部分は自分で考え工夫してほしいという境界を決めること余裕を定義します。

 

 この余裕は、文字通り気持ちの余裕にもつながります。時間設定も含めてすべてを支持されてしまうとがんじがらめの状態になって、まったく余裕が無く、精神的にも肉体的にも追い詰められていきます。そのような追い詰められた状態では人は十分に成長することはできません。追い詰められた状態になったから何かができた、成長できたというよな言い方をされることもありますが、それは間違っています。これらは、本来的にできたこと、実力を発揮しただけでしかありません。成長とは、本来的にでいなかったことができるようになることです。

 

 また、自主裁量の余地としての指示の余裕を与えられるということは、信頼されていることに他なりません。人の基本欲求の中には、「認知欲求」というものがあり、人は誰しも、他者に認められたいと考えます。それが、満足感や幸福感につながることはもちろん、モチベーションにもつながります。そして、同時にその期待に応えようとします。これが成長のドライビングフォースになっていきます。

 

 これらのことは、指示に限定したものではなく、日常のすべてのおいて、今回のべた意味での「余裕」が成長のシーズであり、養分となります。すわなち、自主裁量の余地が人を成長させるということです。

 

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