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相手に合わせた説得の方法(タイプ別説得戦略)

 日常生活や業務の中では相手の同意、納得を得て、協力関係を構築したいとき、しなければならないときが数多くあります。しかし、残念ながら相手を納得させる、万能の説得方法というものは存在しません。なぜなら、人には様々なタイプがあり、それらのタイプに合わせたプロセスで説得しなければ納得は得られないからです。

 そこで、今回は説得という観点での様々なタイプの分類と、それらの各タイプに合わせた説得の方法、戦略について書いてみたいと思います。

  一つ目のタイプは、「カリスマ型」です。このタイプは、説得する側の魅力度、すなわち、カリスマ性や提案の魅力度で納得するタイプです。もっとわかりやすい言葉言えば、自分にとってどんなメリットが期待できるかを計って判断しているとも言えます。もちろん、損得勘定だけではなく、人間性やビジョンなどの思想に対する魅力度も大きな要因となります。

 このようなタイプを説得するときには、メリットを明確にすることも一つの方法となるでしょう。しかし、最も重要なことはうわべの損得ではなく、基盤となる思想はもちろん、自信、信念といった内面も重要な要素となります。そして、自身の不安は相手の不安へと伝播しますから、そこから生まれる空気感(一種のオーラ)や堂々とした雰囲気も安心感として影響を与えます。また、会話力もこれらを引き立てるものとして作用します。キャラ、キャラクターともいわれる個性もカリスマ性を生む要素の一つであり、その根底には周りに流されない信念が関係しています。また、根底としてという意味では、成し遂げたい明確な目標を持っていることも必要であり、それは信念とリンクしています。

 

 二つの目のタイプは、「論理型」です。このタイプはなによりも文字通り論理性、客観性をもっと重要視します。従って、根拠のない想像や予測が含まれると拒絶反応を示します。

 このようなタイプを説得するときに最も重要となるのは、客観的事実、理論と言えます。すなわち、どれだけのデータや事実といったEvidenceを示せるかということが基盤となります。そして、それらを使った理論構築による論理展開が説得のプロセスの主役となります。したがって、このタイプに対しては、感情的側面は逆効果になることが多いと言えます。しかし、一方で自らの感情的判断を理論によって押しとどめることもできるので、十分なEvidenceと理論が展開できれば説得しやすいとも言えます。

 

 三つ目のタイプは、「懐疑主義」タイプです。このタイプは、全てに対して一旦は疑ってかかるという特徴を持っています。例えば、行政白書などを元にしたデータであると言っても、そのデータをそのまま伝えているだろうか、そもそもその白書は正しいのだろうかというようなことすら考えてしまいます。したがって、単なるデータだけではなかなか説得は進まないことが多いと言えます。

 このようなタイプを説得するときには、数値などのデータだけを示すのではなく、当人が確認できることが重要となります。したがって、数値を示すのであればその数値の出所へのトレースが必要となります。また、データだけでなく、そこから生じた事実、結果へのトレースという意味で、実例や具体例を用いた説明が有効なことが期待できます。そして、もう一つ注意すべきことは必要な時間を十分にかけるということです。これは、このタイプは急かされている=誤魔化そうとしていると判断することが多いためです。何よりも、必要あれば本人が確認できる状況を作り出すことが重要です。

 

 四つ目のタイプは、「追随者型」です。このタイプは、リスクを極端なぐらいに嫌う傾向があります。したがって、自ら先頭に立って判断することは避けたいと考えるので、前例や権威者に文字通り追随しようとします。そのため、いくら客観的なデータや論理を展開しても不確定要素があれば判断を避けたいと考えます。しかし、誰かが判断を下した場合には、容易にそれに追随することがあるのもこのタイプの特徴です。

 このようなタイプを説得するときには、何よりも前例が大きなドライビングフォースとなります。過去に上手くいったという実績や前例を示すことで比較的容易に説得できことが多いと言えます。また、伝統や場合によっては、平均、標準といった要素によっても説得を進めることが可能です。さらには、しかるべき立場の人、すなわち、権威者の後ろ盾があれば、かなりの確率で同意を得ることができるでしょう。

 

 五つ目のタイプは、「コントローラー型」です。このタイプは、不確実性や曖昧さを極端に嫌います。そして、何よりも自分で全てをコントロールしたい、判断したいという強い傾向を持っています。したがって、誰かが言っていた、誰かがやった、どこかから持ってきたということは何らの説得材料にもなりません。プロセス全てを掌握し、自らが分析して判断しなければ納得できないタイプです。

 このようなタイプを説得するには、何よりも時間が必要です、前述のようにすべてのプロセスに自らが関与したいと考えるので、料理を出されただけでは決して手を付けようとすらしません。材料の入手から調理まで、自らがもう一度確認使用しますから、どうしても時間が必要になってしまいます。しかし、そのステップを通らなければ飲み込めないがこのタイプですから、時間をかけて一緒に進めるという覚悟が必要となります。

 

 人は千差万別ですから、もちろんここに上げた以外にも様々なタイプがあります。いずれにしても、相手のタイプ、パーソナリティーに合わせた説得の方法をとる必要があることは間違いありません。敵を知れば百戦危うからずという言葉もあります。いつも同じことをするのはなくではなく、絶えず最善の方法を考え、選択することが重要です。

 

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