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交渉におけるオプション(選択肢)の用意

 交渉では様々なポイントがあることをこのブログでも何度も書いてきましたが、全ての状況を事前に予想することは困難です。したがって、往々にして予想外、想定外のことが起きてしまいます。そんなとき、可能な限り適切な対応をして、交渉をより有利に進めていくためには、より多くの様々なオプション、選択肢を用意しておくことがポイントとなります。

 そこで、今回は交渉におけるオプション(選択肢)の考え方について書いてみたいと思います。

  交渉は言うまでもなく相手がいるわけですから、自分の都合だけで進むわけではありません。従って、どのような状況になるかを完全にコントロールすることは困難です。刻々と変化する状況に合わせて、その都度、その場で適切な判断や提案が出来れば良いですが、現実には容易ではありません。全く思いもよらなかった発言が相手からあった場合などは、一瞬思考が停止するような事態もあり得ます。そんな時に、得てして相手に主導権を握られる、流れが変わってしまうという事態が起きてしまいます。

 

 そこで、重要となるのがあらかじめ用意されたオプションです。すなわち、〇〇という状況になった時にはどうするということを、予め様々状況を想定して用意しておくということです。もちろん、それでも前述のように生き物のように変化する状況をすべて想定することは困難です。しかし、それでも近い状況や代替案といったものを複数持っていれば、何らかの対応をすることが可能となります。少なくとも、何も対応できなくて相手の言いなりになるというようなことは避けられます。

 

 このようなオプションには様々なものがありますが、例えば、BATNAもその一つです。交渉における大きな選択の場面の中でも、双方の主張が競合したまま調整が困難であり、最終合意に暗雲が立ち込めることは最も多いケースの一つであると言えます。しかし、最終的に合意に至らなかった、決裂した時にどうするというオプションであるBATNAを準備しておくことでそのような状況に対応することができます。これが用意できていれば、安心して要求を出して交渉を進めることができます。しかし、合意ありきで、合意できない状況を全く想定しない場合には、交渉が上手く進まなくなると焦りが生まれ、不本意な譲歩をしてしまうことになります。

 

 ただ、BATNAのようなオプションは多くの方が容易に想定することができますが、交渉の状況は様々ですから、予め状況を想定することは簡単ではありません。状況を予想するためには、自分の考えだけでなく、相手の思考や戦略も予想しなければなりません。例えば、事前の情報収集はもちろん、相手の立場に立ってみて何を望んでいるか、相手の要求の奥に潜む望んでいる利益を想像することも必要です。

 

 また、予想するだけでなく、自分の望む条件の許容範囲についても明確に定めておく必要があります。これが定まっていないと、オプションを考える時に、想定した状況に合わせてどのような対応するかということが決まりません。そして、何よりも必要以上の譲歩や強硬姿勢につながって、考えているような交渉が進められないという事態を招きかねません。これは譲れる、これは譲れないということが明確であれば、交渉の中での取引もスムーズに、優位に行うことができます。

 

 予め様々な状況に合わせたオプションが用意できていれば、交渉の中でどのような状況になったとしても冷静に適切な対応することができます。多くの交渉では、要求事項だけが考えられて、ほとんどオプションの用意はされていません。全てはその場の対応ということがほとんどです。より良い結果を得るためにも、交渉はオプションの用意も含めた準備が大切です。

 

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