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交渉のコツ・ポイント(本当の当事者、ステークホルダー)

 交渉においては、当然のことながら当事者同士がそれぞれの思惑をぶつけ合うことになります。当然ながらそのぶつけ合いは出席者同士で行われます。しかし、ここで注意しなければならないのは、必ずしもその交渉の場に関係する当事者やステークホルダー(利害関係者)などの関係者が全員参加しているとは限らないということです。場合によっては、最重要人物、最終決裁者は参加していないということも珍しくありません。

 交渉では直接的に目や耳に入ってくるものが全てではありません。そこで、今回は交渉におけるステークホルダーということについて書いてみたいと思います。

  例えば、一生懸命価格交渉や仕様の交渉を行い、やっとのことで合意に辿り着いたと思ったら、「では最終決断は持ち帰って判断します」と言われてしまったことが一度や二度はあるはずです。また、合意したと思っていたら、後日連絡があって、「決裁者のOKが得られなかったので再交渉」といったことを言われた経験がある方も少なくないと思います。

 

 これらは、全て交渉の関係者である当事者やステークホルダー、重要担当者が交渉の場にいないことが原因です。彼らがその場にいなければいくら交渉を重ねたところで、机上の空論を行っているのと同じことです。しかし、現実には最終決裁者であることが多い重役が交渉の場に直接参加していることは稀であると言えます。もちろん多忙のためスケジュールが合わず出席できないということもありますが、その場に居てしまうと、その場で結論を出さなければならなくなるため、敢えて出席しないということは珍しくありません。

 

 従って、交渉においては関係者が全員テーブルについているのかということを確認することが極めて重要となります。特に、決裁者、最終決断者がいるか、いないかは非常に重要です。彼らの判断如何、また、彼らへの情報の伝わり方次第では結論は簡単に覆ってしまう可能性があります。すなわち、キーマンとなる関係者が誰なのか、そして、その人が参加しているかを知っていなければなりません。もし参加していなければ、参加や直接交渉を要求することや、2段階の交渉を意識して進める、すなわち、手の内をすべて明かさないというようなことも必要となってきます。

 

 交渉においては、参加者が誰なのか、利害関係者であるステークホルダーが誰なのか、決裁者等の重要人物は誰なのかを確認することが極めて重要です。

 

 しかし、前述の通り、現実にはそれらが分かったとしても、必ずしも出席を要求できるか、要求したとしても出席を得られるかは分かりません。ではどうすれば良いでしょうか。

 

 例えば、最も基本的なことは結論事項を全て文書として残す、すなわち、議事録をきちんと残すということです。この時注意すべきことは、自分たちだけで議事録を作成しないということです。できればその場で重要な結論事項は双方が確認してサインするなども必要でしょう。それ以外の部分についても、一方が作成した議事録を他方が確認して、双方が同じものを議事録として受諾するという手順を踏むことが望まれます。

 

 ただ、そうやって残したとしても、一旦は決まったが、社内調整、決裁が得られず、結論が覆されることもあるでしょう。しかしそんな場合でも、議事録をエビデンスとして拒否することもできるでしょうし、仮にある程度譲歩するにしても、情報下という事実は明確に残るため、その後の交渉の武器にすることができます。

 

 交渉とは互いの主張のぶつけ合いと調整であり、何らかの結論を出すものです。従って、どうしてもステークホルダー、決裁者というものが存在します。日本的商習慣も手伝って、紆余曲折が発生することは少なくありませんが、ここで述べたようなことを認識して交渉を進めるだけでも状況は変えられます。大局を見て、交渉を進めることが重要です。

 

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