JRLテックログ

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ダメ出しが管理職の仕事ではない(管理者の役割)

 管理職には様々な役割があることは誰もが認識しており、このブログでもその役割について何度となく書いています。しかし、残念なことにすべての管理者が正しくその役割を認識しているわけではありません。そのような状況ですから、当然のことながらその役割を正しく果たせていない管理職が多いのも現実です。中には、その役割が果たせていないどころか、間違った管理職の振る舞いをしているケースが散見されます。

 そこで、今回はそんな間違った管理職の振る舞い、勘違いについて書いてみたいと思います。

 勘違いによる間違った管理職の振る舞いの代表は、ダメ出しをすること、間違いを指摘することが自分の役割であると考えているケースです。言うなれば、「アラ探し」が仕事であると思っているため、ダメ出しをしなければならないとさえ思っているケースが少なくないということです。確かに間違いがあればそれを指摘すること、そして、その間違いを正すように指示することは役割の一つではあります。しかし、そこで終わってしまってはただのアラ探しでしかありません。

 

 例えば、部下から報告書が提出されたとき、「これではダメだから書き直すように」という指示を出すだけであれば、これは単なるアラ探しです。「てにをは」レベルの間違いであれば、当然読み直すことで間違いを見つけて修正することもできるでしょう。しかし、もっと本質的なことになってくると、これでは部下の立場からすれば、どこが間違っているのかも分からず、当然のことながらどこをどう直せばよいのか考えることができません。

 また、部下から何かの提案をされたときに、「この提案では許可できない」とだけ言うのも同様です。何がダメで許可できないのかわからないことはもちろん、上司が何を望んでいるのか、どうすれば良いのかという方向性すら見えてこないということもあります。

 

 では、どうするのが正しい管理職の姿なのか。簡単なことです。「どこがなぜ違うのか」、「どうして欲しいのか」、そして、「アドバイス」、すなわち、適切な助言をすることです。どこが間違っているのか、どうして欲しいのかなど、ダメというその先を伝えることが重要なのです。先の例では言えば、どこがどう間違っているのか、どこがなぜダメなのか、何が正解なのかといったことを伝えるということです。

 

 もちろん、教育的な視点で自分で間違いを探させることが必要なこともあるでしょう。しかし、その場合にはそのレベルに達しているという前提が必要です。何もわかっていない新入社員に書類の間違いを自分で探せと言ってもどこから考えて良いか分かりません。

 

 アラ探しばかりしていると様々な弊害が生じるようになってしまいます。例えば、ダメ出し、粗探しが自分の役割だと勘違いしている管理職は、必ず毎回どんな書類や提案等に対して一発OKを出しません。部下にしてみれば、どれだけ一生懸命完成度を上げても何かしら重箱の隅を突かれて、ダメ出しのためのダメ出しのようなことをされればどんどんモチベーションも下がります。そして、最終的にはどうせダメ出しをされるののならと、不十分な状態で提出するようになったり、締め切り間際に提出するようになったりします。こうなってしまえば、上司と部下の信頼関係にも悪影響が出てくることは容易に想像できます。

 

 もちろん、ダメなものはダメとして指摘することは必要です。ただ、そこにはより完成度を上げる必要があることはもちろん、育成という観点が必要であることを忘れてはいけません。それらこそが本来の管理職の役割と言えます。

 

 成果を出すことはもちろん、人材育成をすることができる管理職を育てたいという方は、ジャパン・リサーチ・ラボにお任せください。ご相談はこちらへ。

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