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管理職の役割とは何か(経営と現場を繋ぐフィルターであれ)

 企業内において管理職が重要であることは言うまでもありません。そのため、管理職には様々な役割があり、多くの書籍などでも解説されています。しかし一方で、現場、特に下位層の声として管理職不要論や管理者の役割を理解していない、果たしていないといったことが多く聞かれるのも事実です。この背景には様々な理由が考えられますが、いずれにしても、企業にとっては死活問題にも匹敵する状態であることは紛れもない事実です。

 そこで、今回は改めて管理職の役割について特に、経営層と現場を繋ぐという役割に焦点を当てて書いてみたいと思います。

  まずここでいう管理職とは、いわゆる中間管理職であり、現場に最も近い課長層を主な対象として想定しています。この層は、現場に対して直接的に指示を出すということからも、前述の通りまさに経営と現場を繋ぐということが最も期待される役割であると言えます。一方で、部長層になると立場的には経営と現場を繋ぐというよりは、経営に近い立ち位置での役割が期待されます。

 

 しかし、繋ぐと言っても単純にリンクするだけでは管理職としての役割を果たしているとは言えません。例えば、部長やトップマネジメントからの指示を言われるがままに伝えていては存在価値は全くありません。これは、いわゆる伝書鳩状態です。このような状態では、部下の一般職の人たちからすれば、この人は何のためにいるのだろうかと感じ、これで自分たちよりも給料が高いということに疑問を抱くのも当然のことと言えるでしょう。

 

 また、繋ぐという中の伝えるという意味においては、上から下へという方向だけではなく、下から上という方向も当然のことながらあります。しかし、ここでも上から下への時と同様に、下からの要望や不満などをそのまま伝えていては管理職としての存在価値はありません。

 

 ここで重要となるのが、「フィルター」としての役割です。上位層はどうしても現場の真の状況というものは理解が困難な面があることは否定できません。また、同様に現場層には経営的視点で物事を考え、判断することは困難であると言えます。したがって、両者の間にどうしても乖離が生まれることになります。それが、最終的には不満という形で顕在化してきます。

 

 そこで必要となるのが、中間に存在するフィルターです。フィルター機能によって、そこを通過する情報を取捨選択すると同時に、変形させて翻訳することで、それぞれの立場で理解できるようにしなければなりません。時には、自らが悪役を買って出ないといけないかもしれません。しかし、そうしたフィルターの役割をする人が間に立たなければ乖離が埋まらないのです。

 

 課長、部長と役職が上がるにつれて理解できるのですが、企業組織の中では、課長層を境にして視点、視座が大きく変化します。それによって、判断基準や考え方の大変革が求められます。言い方を変えると、そこを境にして組織の中での役割や考え方が大きく異なるということになります。したがって、前述のようなフィルターが必要になってくるのです。

 

 会社の舵取りは、経営層であるトップマネジメントや部長層が担います。しかし、舵取りだけでは進むことはできません。進む原動力、エンジンは当然のことながら現場です。そして、その原動力を実際に制御しているのが課長層の管理職です。舵取りが判断を誤れば遭難しますが、エンジンが最高のパフォーマンスを発揮できなければレースに勝つことはできません。フィルターが上手く機能しなくなれば、当然のことながらエンジンは目詰まりしてその性能を発揮しません。

 

 管理職と呼べる人材を育成すること、そして、自らがその役割を理解して果たすことが企業にとっては必要不可欠です。もちろん、管理職の役割は今回書いたフィルターだけではありません。それらについては、また別の機会に書いていきたいと思います。

 

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