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有益な議論をするための対話のルール

 その場を楽しむためだけの単なる井戸端会議であれば簡単にできますが、何かを生み出す創造的会話、すなわち、有益な議論をすることは容易ではありません。しかし、商品開発や技術開発のための研究開発を進めたり、業務を行っていく上では、議論や対話は必要不可欠です。

 そこで今回は、有益な議論をするための対話の方法、ルールについて書いてみた井と思います。

  一つ目のルールは、性急な結論をせず探索することです。特に、会議や仕事上の対話である議論などでは、最終的には結論を導くために行います。そのため、どうしても意識が結論を得るということに集中してしまいがちです。しかし、何かを結論するためには、必要となる様々な情報を吟味して、あらゆる可能性について検討することが重要となります。性急に結論を出そうとすればするほど、無意識のうちに相手の意見を打ち負かして、自分の意見を通そうすることが起こります。そのような状況になると、意見の衝突から感情衝突へと変化して、不毛な時間が過ぎ去ることになります。したがって、有益な議論をするためには、性急に結論を得ようとせずに、十分に議論を重ねて、最適な結論を探索することが重要です。

 

 二つ目のルールは、使う言葉の一つ一つを大事にすることです。ほんの些細な不要な言葉遣いが相手の気分を害して、思いもかけずに感情論に発展することもあります。また、曖昧な言葉遣いは、誤解を招くことにもつながります。深く考えない言葉選び、いい加減な言葉選びは、そのまま議論のレベルへと直結しています。すなわち、言葉を慎重に選ぶということは、議論そのもの、対話そのものを慎重に行うということになります。

 言葉は言霊という言葉のとおり、一つ一つの言葉に魂を込めて、言葉を選ぶことが重要です。

 

 三つ目のルールは、認知バイアスを意識するということです。認知バイアスとは、一般的には先入観や思い込みなどと言われることもあります。人はよほど強く意識していないと、この認知バイアスの影響を受けてしまいます。議論においても同じです。相手に対して日常抱いている印象を恒久不変のものと思い込んで、個別の議論の場にまでその印象を持ちこんでしまいます。例えば、何度かその相手の意見が間違っているという経験していると、今回も、と思い込んで、無意識のうちに相手の発言を疑い、良く吟味せずに否定的な発言するという経験をしたことがある人もいるはずです。

 相手自身、相手の意見に対して認知バイアスを持ち込まず、冷静、客観的に内容を吟味して解釈することが重要です。

 

 四つ目のルールは、多面的な視点を持って議論するということです。仮に最初は役に立たない、間違っていると感じたとしても、他の可能性はないか、違う解釈はできないかと考えることで、様々な可能性が生まれます。そして、これは相手に意見に対してだけでなく、自分の考え対しても同じです。何かを思いついたとしても、さらにほかの可能性や解釈ができないかと考えることでより深い発言をすることができます。このように、前述の認知バイアスも含めて、相手の発言や自分の考えに対して様々な可能性を検討していくことで、議論は多種多様な可能を持つことができます。そうすることで、結論の可能性が広がり、より有益な議論を進めることができます。

 

 そして、上記四つに共通することとして、対立を恐れないことも重要です。議論をするということは、本質的に異なる見解をぶつけ合って、より良い結論を得るために行うものです。したがって、ある意味では対立こそ議論の本質であるともえます。言い方を変えれば、対立が起きないということは同じ考え方であるということですから、そもそも議論をする意味が無いとも言えます。重要なことは上記三つのルールをを意識して、有意義な対立をするということです。

 

 何よりも重要なことは、議論とは創造的活動であるということを認識することです。

 

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