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成果が出る、意義ある議論の進め方(ファシリテーションの基本)

 「ファシリテーション」という言葉を耳にされた方も多いのではないでしょうか。ファシリテーションとは、会議や打ち合わせの場を活性化させ、発言や議論を促進したり、議論の流れを整理したり、意見・見解の一致を確認したりする行為であり、合意形成や相互理解をサポートすることと表現できます。近年多くの企業でも、ファシリテーションを実行するファシリテーター(進行役)の育成が検討されています。

 しかし、期待したような効果が得られていない、上手くファシリテートできないと言った声も多く耳にします。そこで、今回はふぁしテーションの基本について書いてみたいと思います。

  ファシリテーションファシリテーターの役割)には多くのポイントや気を付けなければならないことがありますが、代表的ポイントは4つに絞ることができ、これがそのまま基本プロセス、基本的なファシリテーションの流れにもなっています。

 

 一つ目のポイントは、場づくり、雰囲気づくりです。すなわち、議論のテーマに適したメンバー、場所の選定、話しやすい雰囲気づくりなどです。メンバー選定については、テーマに対しての最低限の知識や経験を持っていなければ、意見を述べることも、議論に参加することも困難となり、会議自体が成立しなくなります。従って、テーマに適したメンバー選定がまず第一歩となります。また、場所についても実は多くの方が考えている以上に重要です。応接室のような形式ばった部屋での議論はどうしても型にはまったものになりがちですが、話をまとめる場合には適していると言えます。これに対して、会食をしながらの議論では逆に腹を割った話がしやすい傾向にありますが、逆に発散もしやすい傾向を持っています。

 

 そして、意外と思われたかもいるかもしれませんが、雰囲気づくりも重要なポイントと言えます。日本人の特質も影響しているところがありますが、どうしても口火を切る、最初の発言というのはハードルを感じるものです。また、いきなり沸き返ったような議論が始まることはほとんどなく、多くの方は周りの様子をうかがいながら議論に参加します。しかし、それでは時間が浪費されてしまいます。できる限り早い段階で場を温めることも重要です。そういう意味では、本題に入る前からファシリテーションは始まっているということもできます。

 

 二つ目のポイントは、「会話」による関係の構築です。いつも議論を重ねている親しい間柄であれば何も懸念はありませんが、会議の時ぐらいしか話をしないような間柄の参加者も当然ながらいます。例えば、一般社員と部所長や役員などの関係や、多部署の人との間柄などです。このような場合、なに化を発言するにしても、受け入れてもらえるか、気分を害さないか、特に反対意見を言う場合などはこういった関係性が大きなハードルとなることがあります。

 こんなケースの場合には、一つ目のポイントで書いた雰囲気づくりが重要となります。いきなり、核心に迫った意見や議論を求めてもなかなか出てくるものではありません。まずは、会話によって参加者の関係構築を行うことが、その議論を活発にするポイントであると言えます。そういう意味では、いわゆるアイスブレークなども有効でしょう。

 

 三つ目のポイントは、参加者の考えを引き出す「対話」の実施です。すなわち、場づくり、会話によって行った土台を利用して、今度はテーマに沿った核心に迫った意見を求めることになります。それぞれの意見を出し合うこと、これを前述の会話に対して、「対話」と表現します。ここで言う対話とは、意見、見解などの共有を発言によって行うプロセスということになります。賛成や反対など様々議論をするためには、互いに考えを理解し合うことが必要不可欠です。そのプロセスが対話です。まずは参加者全員がそれぞれの考える発言できるように場をコントロールすること、それがファシリテーションであるとも言えます。声の大きな人、役職のある人など、本紙的なこととは無関係の属性などに場が影響を受けないようにしなければなりません。そして、この時には、誰かの発言に対する自らの見解を被せるのではなく、まずは、全員の考えを共有し合うことが最大のポイントです。参加者全員の意見ができる前に議論が始まると、偏った議論になることはもちろん、場合によって他者の不理解によって議論が噛み合わないこともあります。従って、まずは聞くこと、一般的には傾聴とも言われますが、他社の意見、発言に耳を傾けるフェーズを作ることが重要です。ただし、時には質問や合意をしながら、その意見に込められた意味を掘り下げていくことも必要です。

 

 4つ目のポイントは、これこそがファシリテーションのコアとも言うべき、「議論のコントロール」です。対話のフェーズによってテーブルの上に並べられた意見を、議論によって調理して、最終形態である結論(料理)を完成させるフェーズです。このフェーズがファシリテーションのコアであると表現したのは、どうしても会議の中心である議論の中で生じる見解の相違や意見のぶつかり合いを制御することが会議を制御することになるからです。ぶつかり合い自体は意味のあることで歓迎すべきことなのですが、放置するとどうしても感情のぶつかり合いに発展してしまいます。そこで、ファシリテーションによって場をコントロールすることになります。また、発言が特定の人に集中しない、ネガティブな方向に議論が進まないようにポジティブな方向に誘導するなどがポイントになってきます。

 

 5つ目のポイントは、議論を収束させて結論を導くことです。当たり前という風に感じられて方藻おられる方もいるかもしれませんが、振り返って頂いて、普段の会議で本当にテーマに沿った結論が毎回導きかれて、それが共有、実行されているでしょうか。多くの会議は、情報の提供だけで終わり、結論が導かれていません。そのため、毎回毎回何も決まらず、何も変わらず、時間だけが浪費されるという事態を引き起こしているのです。ここでのポイントは、テーマに沿って出された意見を論理的(ロジカル)にに整理しながら、議論を収束させて採用するアイデアを絞りこんでいきます。このフェーズでは、いわゆるフレームワークなど図解等も活用しながら、互いの頭の中で考えていることを共有していくことが必要となります。そして、何よりも参加者が納得できる結論であるということは言うまでもありません。

 

 ファシリテーション、会議のポイントについては、これら以外にたくさんありますので、また別の機会に書いてみたいと思います。

 

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