JRLテックログ

JRLテックログ

ジャパン・リサーチ・ラボが提供する技術コンサルティング、人材育成、戦略策定、セミナー等の様々なコンテンツに関する情報を提供するブログです

稟議書、提案を通すためのポイント・コツ(決済書類の書き方)

 稟議書や起案書を代表として、企業には様々な承認や決裁を得るための書類があります。皆さんも何度となくその作成には苦労された経験があると思います。中には毎回必ず1度は否決される、一発で通ることはまずない、などということはよく耳にします。いったい通る書類と通らない書類の間にはどんな違いがあるのでしょうか。

 今回は、稟議書、起案書、提案書といった決裁書類のポイントについて書いてみたいと思います。

  まず、何より重要なことが「内容」であることは言うまでもありません。何はさておき、提案、起案の内容自体に実現性が無い、論理的でない、客観的根拠に欠けるなどの根本的問題があれば、それ以外にどんな努力をしても決裁が通るはずもありません。従って、まずは中身が適切であるということが大前提になります。このとき重要なことは、決済とは判断であることから、判断材料として必要な情報がきちんと含まれているかということです。これが無ければ、決裁者は当然のことながら判断することができません。相手(決裁者)が欲しい情報は何か、ということを想像しなければなりません。その上で、Yesと言いたくなる、言わざるを得ない情報を盛り込んでいくことになります。

 

 では具体的に、内容的に問題がある、不足があるために、再検討を求められる、承認されないというケースについて考えてみたいと思います。書かれていないといけない、説明されていないといけない内容とは何か。

 

 まず書かれいないといけないのは、その提案の「目的」です。何のためにそれを実行するのか、承認するのかということです。または、言い方を変えると、どこに向かっているのかというゴールとも言えます。これが明確に示されていないと、読んでいる方はそもそもこの提案をなんのために審議しているのか分かりません。そして、どこに向かおうとしているのかが分かりませんから、判断のしようもありません。

 

 次に必須なのは、「リターン」です。企業として何かをやる、投資をするということは、何かが実現される、何かが得られるということが必要不可欠です。にもかかわらず、どういうリターン、結果が得られるのかということが明確に示されていないとOKは到底出せません。もちろん、単にリターンだけを書いたのでは絵に描いた餅ですから、当然ながらそのリターンが得られると期待できる根拠も同時に説明されていないといけないことは言うまでもありません。

 

 そして、リターンと共に重要なものとして、「リスク」があります。未来は不確定で誰にもわかりません。そして、どんなトライにも必ずリスクは伴います。にもかかわらず、リスクが説明されていないと提案自体の信頼性に疑問を呈するということになってしまいます。決裁では得られるリターンとそこに関わるリスクを天秤にかけて判断します。従って、必ずリスクに関する説明を行い、きちんとそのリスクも加味した上で提案を行っていることを示さなければなりません。

 

 内容、目的を吟味して明確にし、リターンとリスクのバランスを判断したうえで、最終的な決断を出す前に重要となるのが、「費用」です。いくら良い提案でローリスク、ハイリターンが期待できても、投資が大きすぎれば小さくともリスクがある限りはGoの判断は簡単にはできません。また、当然ながらリターンと投資の費用対効果の判断も必要です。従って、実施に要する投資、費用についての説明は必要不可欠です。もちろん、その数字は綿密なプロセスに基づいた信頼性のあるものでなければならないことは言うまでもありません。

  

 そして、最後にもう一つ上げるとすれば、「根回し」です。根回しというとどうしてもネガティブでズルいイメージが付きまといますが、もう少し言い方を変えれば「事前確認」、「事前説明」と言えます。やはり、一度否決されると再提出のハードルは上がります。また、いくら十分に吟味されて作り込まれた書類であっても、いきなり回議書類だけ回ってきても理解できないことも少なくありません。従って、事前に関係者の意見を聞いておくということは重要です。

 

 もちろん、これらの内容そのもの以外にも、書類としての体裁がきちんと整っていること、誤字脱字が無いことなど基本的なことは言うまでもありません。

 

 稟議や提案の決裁は、出す方も審議する方も多大な労力が必要となります。効率的に審議が進むような準備が重要です。

 

 技術コンサルティング、人材育成はジャパン・リサーチ・ラボにお任せください。ご相談はこちらへ。

analysis.ikaduchi.com