JRLテックログ

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サポートセンターのレベル低下(ケース1)

 コンサルティングや研修として様々な依頼を頂くのですが、その中には技術とは離れたものも数多くあります。例えば、顧客満足度向上、顧客対応力向上に関するものがあります。サービス業の方々だけでなく、メーカーの営業の方を対象としたものや、いわゆるサポートセンターに対するものあります。

  現在サポートセンター業務が少なからずアウトソーシングされており、場合によっては海外に移行していることは周知の通りです。もちろん、アウトソーシングや海外移行自体は否定されるものではありません。ただ、問題発生の懸念を孕んでいることは間違いありません。ここでは、実際の問題発生事例を紹介してみます。

 

 一つ目は海外移行に関するの問題の発生です。この事例では、受付担当者は当然ながら日本語を理解し、話せるという条件をパスして採用されて、当該メーカーのサポート担当なっていました。しかし、そこで起きた問題とはお客様が状況を説明しているにもかかわらず十分に理解できず、また、説明も片言に近いたどたどしい日本語だったために、「日本語の分かる担当者はいないのか」とお客様を怒らせてしまったことでした。確かに、その担当者やアウトソース先の数人にヒアリングしたところ、会話としては理解してようでしたが、日本語が得意ですと言えるレベルではありませんでした。一般のお客様は日本のメーカーのサポートダイヤルに電話すれば日本人が対応するものと思い込んでいることは少なくありません。そこで、言葉の問題で説明が通じないと感じさせてしまっては、火に油を注ぐ結果になってしまいます。

 アウトソース先の選定や教育が極めて重要であるというを示す代表的な例です。

 

 また、ある海外パソコンメーカー(世界でもトップメーカーの一つで、日本国内でも多数販売され、通販を中心にしながら電気店の店頭、自社ショップも持っています)の事例です。このメーカーではemail、チャット、電話と複数の相談窓口を用意してCS向上に努めているとのことでした。しかし、そこに落とし穴がありました。

 そのケースでは、お客様は電話がなかなか繋がらなかったのでチャットによるサポートを利用していました。すでにこの時点でお客様の中では電話がつながらないことへのイライラの種が生まれていたことは想像に難くありません。チャットでは、あるオプションに関してそのメーカーHPの記載に矛盾がある(ページAとBで使用可能なオプション部品の規格が異なっていた)というところから始まりました。この時点ですでに問題です。お客様にとって最も身近で信頼できると認識されている情報源であるHPの記載にすでに矛盾があるのですから、お客様の不信感にバイアスがかかってしまいます。

 チャットの回答は、調べた結果、理由は不明ながらページBの記載が間違っているとのことでした。実はページAは使用可能部品の規格を説明するページであり、ページBはそのPC用の部品を販売するページでした。ここでも販売ページの内容が間違っており、使えない部品を販売しているのは大きな問題です。結局お客様は、当該部品を購入したい場合はどうすれば良いかと質問されたので、担当部署の電話番号をお伝えしたとのことでした。

 で、お客様その教えられた電話番号に連絡されたところで問題が発生しました。まず、チャットのやり取りの情報が全く共有されていなかったのです。チャットは当然記録されており、ユーザー番号と紐づけされているので、電話した時点で伝えたユーザー番号で参照可能なはずでした。ところが電話の担当者は全くチャットのことは理解していない応対をしました。

 そして、説明の中で再度問題が起きました。電話担当者の説明では、ページA、B共に間違いは無く、どちらの規格でも使用可能というの回答でした。最初のチャットの説明とは全く矛盾するものです。当然、お客様の不信感と怒りは膨れ上がります。さらに、ここで担当者の日本語が怪しかったというのもお客様の不信感、不満に拍車をかけたことは容易に想像できます。結局は、このお客様はもう一度チャットにコンタクトして、いったいどちらが正しいのかということ、事の顛末に対する怒りを表明されて初めて問題が発覚しました。

 要するに情報共有が不十分であり、かつ、担当者による知識レベルが一定ではなかったということです。お客様にとっては、担当者のレベルの違いによる、いわゆるアタリハズレなど受け入れられるものではありません。ましてや、担当者によって相反する説明をされたのではいったい何を信じてよいのか分からなくなってしまい、それが怒りに変わるのは当然です。そして、内部の問題としてもう一つ、お客様からの再度の連絡が無かったらこの問題の存在自体が分からなかったという社内報告体制、情報確認体制の不備がありました。

 

 このような問題は、日常茶飯事としてあちこちのサポートセンターで起きています。サポートセンターは第2の営業部門であり、評価の場でもあります。CS向上、サポート体制の向上をお考えの方は是非ジャパン・リサーチ・ラボにご相談ください。

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