故松下幸之助氏はたくさんの格言を残されています。その中に、「任せて任さず」という言葉があります。意味は皆さんもご存じの通り、「任せてはいるが、放り出したのではない」、「絶えず気にかけ、責任は負う」というものです。彼の口癖の一つに、「やってみなはれ」というものがありますが、これもこの「任せて任さず」の考え方が基盤になってこそだと思います。
しかし、現実に目をやるとなかなかこの言葉の通りにはなっていません。どうしても心配になって口や手を出してしまう、そもそも心配で任せることができないといったことは多くの方が経験しているのではないでしょうか。また、酷いケースでは任せるだけ任せて放置して、失敗したら部下の責任にする上司というのも見受けられます。
果たして、このような状況で人は育つでしょうか。
他人に何かを任せるというのは簡単なことではありません。当然ながら、任せられる状態にまで教育、育成していることが前提条件になります。その上で、指導しながら行う場合に比べてより密にフォローしていく必要があります。従って、当然のことながら自分で行うよりも手間も時間もかかることも珍しくありません。なので、ついつい口や手を出してしまうという気持ちも分からないこともないのですが、それをしてしまっては元の木阿弥です。
一人で考えて、工夫して、行動して、時には失敗もして、そうやってこそ人は成長していきます。見守ること、失敗の後始末をすること、そうやって部下を育てることは上司の重要な役割の一つです。口や手を出したい気持ちをグッとこらえて、見守ってあげてください。
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