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交渉のコツ・ポイント(BATNAを考える)

 取引はもちろん、会議など様々な場面ではお互いの思惑が交錯して、一筋縄では合意に至ることはできません。そんな時に必要になるのが交渉です。しかし、お互いが主張し合って綱を引きあうだけでは交渉は進みません。そんな交渉の場面における綱引き合い、すなわち、駆け引き中で重要となるキーワードがタイトルのBATNAです。

 そこで、今回は交渉における駆け引きを収束に導き、より良い合意に至るためのBATNAについて書いてみたいと思います。

  BATNAとは「Best Alternative to Negotiated Agreementの略であり、日本語では「最も望ましい代替案」や「不調時対策案」などと訳されています。要するに、第3の選択肢ということです。交渉や駆け引きでは当然のことながら双方が互いの希望を主張していくことになります。そうなると、どうしても思考は0-100、Yes-Noといった、一種の勝負、勝ち負けで判断してしまいがちです。しかし、全てのケースで互いの主張以外に選択肢が無いということはありません。多くの場合、少しの主張の変更を互いが行うことで、第3の選択肢が生まれてきます。

 

 交渉において最も避けるべきことは決裂です。交渉が決裂するということは、双方ともに何も得られらない、何の進展もないということであり、ゼロの結果です。しかし、どうしても0-100の勝ち負けで交渉を考えてしまうと、決裂という最も避けるべき結論に至ることになります。 

 一方で、決裂を避けたい、何とか形式だけでも合意という結末を得たいと考えることも多々見られます。ゼロよりはマシという考え方です。しかし、その結論は必ずしも意味のあるものとは限りません。一般的に、このような場合には何らかの妥協が生まれます。すなわち、あまりにも交渉をまとめることに注力してしまい、気が付くと不本意な結果ということが起こって知った状態です。このような状態では、互いに妥協の産物を生み出すだけで、本来の目的を達成できません。

 

 そこで、必要となるのがBATNA、即ち、第3の選択肢です。互いに、一旦それぞれの主張は収めて、交渉をまとめるということを考えた時に、何かしらの取り付く島は無いかを考えるのです。このように書くと、一種の妥協ではないかと感じた方もいるかもしれません。確かに、最初の理想と考え方事とは異なる結論になっているかもしれません。しかし、大きな違いは超えてはいけない一線を越えていないということです。

 

 妥協では譲れない線、譲ってはいけない線を越えてしまうことがしばしばです。しかし、BATNAではこの一戦は守りつつ、妥協ではなく「譲れる」領域を探します。すなわち、BATNAを考える時には、ぜったいに譲れない境界線をはっきりと意識すること、そして、何が最も重要なのかを意識することが重要です。

 

 また、互いに譲れるところを譲る以外にも、BATNAでは交渉の議論を重ねる中で、当初はたがいに気付いていなかったwin-winな完全な第3の選択肢を見つけることも含まれます。したがって、最初の案に固執するのではなく、フラットな視点で、さらに良い案はないかということを考え続けることもBATNAでは重要となってきます。

 また、BATNAだけでなく、ZOPA(可能妥結範囲:詳細は、別項参照)を考えることも有効です。ZOPAでは、BATNAのように主張の外に答えを求めるのではなく、互いの主張の中の重なる部分を見つけ出す、言うなれば主張の中に答えを見つけるという考え方です。交渉では、BATNAとZOPAの両面を意識することが極めて有効と言えます。

 

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