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創造的で有益な議論をする方法(集団思考の落とし穴)

 日々多くの場面で会議に代表される議論が行われていることと思います。当然のことながら、会議などの議論は複数人、すなわち、集団で行われ、集団知シナジーを活用することで一人で得ることができない創造的な結論を得られるという利点を持っています。しかし、集団活動には長所ばかりでなく、注意しなければならない短所もあります。

 そこで、今回はそれら集団活動の短所の中から、集団思考の落とし穴について書いてみたいと思います。

  一つ目の集団思考の落とし穴は、「社会的手抜き」と呼ばれるものです。これは、一言でいうならば、自分だけであれば手抜きをしても問題ないだろうと考えることです。何か意見を思いついたとしても自分が言わなくても誰かが言い出すろうと考えることなどです。多人数がいるので、自分だけが考えること、行動(発言)することをしなくても、全体としては問題ないだろうと考えるのは大きな間違いです。それでは、その場にいる、意味が無くなってしまいます。必ず、自分だけ、その人だけにしか考えられないこと、できないことがあるはずです。その場にいる自分の時間を無駄にしないためにも、積極的に議論に参加することが重要です。

 

 二つ目の集団思考の落とし穴は、「感情的対立」です。議論とは当然のことながら人と人とのぶつかり合いですから、そこに感情が入り込む余地は多分にあります。しかし、感情論からは何も生まれないことは誰もが知っています。ところが、自らの感情をコントロールすることは想像以上に難しいものです。また、感情論になってしまうと当事者の気分だけでなく、他の参加者の気分、場の空気をも概してしまい。その議題だけでなく、他の議題にも悪影響を与えてしまいます。自らの意見を主張することは重要ですが、それだけに終始するのではなく、他人の意見、考えにも思いを寄せることが必要です。

 

 三つ目の集団思考の落とし穴は、「声高優位」と言われるものです。一般的な表現をすれば、声の大きな人の意見が押し通されるという状況です。ここでいう声が大きな人とは、文字通り声のボリュームが大きな人という意味だけではなく、地位の高い人、発言量の多い人なども含まれます。要するに、意見の中身ではなく、自身の持つ地位や声で場を支配してしまうような人です。このような状況になってしまうと、本質的な議論をすることは困難であり、一人の人の考えで議論が誘導されてしまいます。有益な議論を展開するためには、そういった本質ではないものに惑わされないことはもちろん、自身もそのような影響力を出さないように注意しなければなりません。

 

 四つ目の集団思考の落とし穴は、「集団同調圧力」です。この最たる例は、多数決です。一見民主的なようにも見えますが、必ずしも多数意見が正しい、最適であるという保証はどこにもありません。しかし、大多数の意見が一致した場合、議論の方向性が一定の方向に収束した場合、どうしても、それに反対する意見、他の意見は出しにくい空気が形成されます。特に、和を尊ぶ気質の日本人はこの傾向が強いと言えます。少数意見に耳を傾ける、発言しやすい場を形成する、そして、自らも数に圧倒されることなく発現することが重要です。

 

 五つ目の集団思考の落とし穴は、「平均化」です。議論においては複数人が集まることが前提となりますが、そうなると、当然のことながら意見の対立、異なる見解が集まることになります。しかし、どんな場合も一つの結論を導かなければなりません。そんな時、多くの場合は多数決が行われたり、責任者・決裁者の決断に委ねられることも少なくありません。しかし、議論をする中では、どうしても突出したように感じられる意見は淘汰され、結果として平均的で無難な結論に収束させようとする力場が生まれます。別の言い方をすると、八方丸く収めることを優先した妥協案が形成されることになります。果たして、そのようにして導かれた結論が最適解であると言えるでしょうか。この背景には、だれも結論の責任を取りたくないという意識も関係しています。どんな状況においても、論理的で客観的な視点で判断することが必要不可欠です。

 

 時間を無駄にせず、有効な結論を導く、時間を無駄にしないためにも、これらのような落とし穴に嵌まることなく、議論を進めることが望まれます。

 

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