新たな事業を始める時、新商品・新技術等の開発を行う時、戦略策定や計画策定が欠かすことができません。しかし、多くのケースでこれら戦略策定や計画策定で重要な要素である、ミッション、コンセプト、バリューが十分に検討されていません。なぜ、このような状況になっているのか、理由は様々かと想像されますが、少なからずあるのが、これらの意味がきちんと理解できていないためにそもそも考えることができないというケースです。
そこで、今回は基本に立ち返って、戦略策定、計画策定において考えるべきミッション、コンセプト、バリューの意味について書いてみたいと思います。
まず、「ミッション」については、役割等と訳されていることが多く、使命というような表現が使われることもあります。ひょっとすると、三つの中では最も目にすることが多いものかもしれません。例えば、企業のHPなどにも多く記載れており、有名なところでは、
「Google の使命は、世界中の情報を整理し、世界中の人々がアクセスできて使えるようにすることです。」
などがあります。
ここから共通して見えてくるものがあります。それは、
社会をどう変えたいか
誰を喜ばせたいか
ということが謳われているということです。別の言い方に変えるとすれば、
どう役に立ちたいか
とも言えます。
すなわち、自分たちの存在意義を示す方法を表現したものです。
そして、ここから戦略策定や計画策定に繋がる重要な要素が見えてきます。すなわち、自分たちのビジネスの対象です。具体的には、ドメイン、セグメント、ターゲットです。例えば、先に上げたGoogle、Appleの例では言えば、全世界を対象としていることは明白です。
従って、ミッションとは自分たちは誰とビジネスをするのかということであるとも言えます。
二つ目の「コンセプト」は、言葉の定義上は
「概念、全体を貫く基本的な考え方」
と表現されます。おそらく、3つの中では最も分かりにくいものかもしれません。なぜなら、「基本的な考え方」という部分において様々な観点が考えられるからに他なりません。
そこで、ここでは前述のミッションと関連付けて考えることにします。ミッションは、社会をどう変えたいのか、誰を喜ばせたいのかという、言わばゴールを定義しています。これに対して、ミッションはなぜそのゴールを設定するのかということを定義するものです。すなわち、
「なぜ変えたいのか」
「なぜ喜ばせたいのか」
ということになります。そして、そこから転じて、
「なぜ買うのか」
「なぜ選択するのか」
という具体的な戦略、計画の方向性を決める要素へと繋がっていきます。
そして、三つ目の「バリュー」は、文字通り「価値」ということになりますが、その中身はミッションを実現するための具体的方法に繋がるものであり、
「なぜ買ってもらえるのか」
「なぜ選択してもらえるのか」
「なぜ変えられるのか」
「なぜ喜ばせられるのか」
ということところから
「どうやって~」
ということの答えであると言えます。すなわち、
「具体的な実現するもの・こと」
となります。
これら三つは戦略、計画を策定する上においては極めて重要な要素です。この機会に、より明確に定義した上で戦略策定、計画策定を行っていただければと思います。