何かを達成したいとき、何かをやりたいとき、多くの場合にはそれらは一つではありません。しかし、時間を代表とするリソースは限られています。そんな時には、どうしても優先順を決めることになりますが、ここで間違ってしまうとリソースを無駄にするだけでなく、大きなダメージを負うこともあります。
そこで、今回は優先順位を考えるときのポイントのと一つについて書いてみたいと思います。
優先順位を考えるときに律速要因の代表である時間について、経済学者として有名なドラッカーは次にように言っています。
「成果をあげる者は、時間が制約要因であることを知っている。あらゆるプロセスにおいて、成果の限界を規定するものは、もっとも欠乏した資源である。それが時間である。時間は、借りたり、雇ったり、買ったりすることはできない。その供給は硬直的である。需要が大きくとも、供給は増加しない。価格もない。限界効用曲線もない。簡単に消滅する。蓄積もできない。永久に過ぎ去り、決して戻らない。したがって、時間は常に不足する。時間は他のもので代替できない。」
ドラッカー『プロフェッショナルの条件』より
そう、時間は万人に平等ではありますが、十分ではありません。
そして、時間(労力)だけを要素として優先順位を考えることは必ずしも最適な答えを導いてはくれません。
優先順位を決めることが難しいのは、やりたいこと、達成したいことが複数あるからであり、それらがある意味ではコンフリクトしている、すなわち、競合しているからと言えます。特に、複数人で優先順位を決めるときにはそれぞれの価値観や思惑が関わってくることから、優先順位を決めることはより難しくなります。理由は簡単で、人によって価値観や思惑が異なるからです。
自分一人で優先順位を決めるとき、複数人で優先順位を決めるときも、
- リスクとリターンのバランスを取る
- 譲れること、譲れないことを切り分ける
といった基本的な考え方があります。
当然のことながら、ノーリスク、ハイリターンなものを優先して実行するということになるのは容易に理解できるはずです。ただ、現実にはそのようなものはなく、何らかのリスクは存在することが通常です。そして、譲れる、譲れないも心理的側面も入ってくることから、明確に切り分けることは現実には困難なことがほとんどです。
ただ、そうはいっても、それでは何も決まらないので、何らかの形で「調整」を行って、優先順位の基準を決めます。もちろん、この優先順位の決め方が重要なことは言うまでもありませんが、前述のような基本的なことはありますが、黄金パターンというものは残念ながらありません。
そんな時に、優先順位の基準を決めた後に、「納得感」について検証することが実はとても重要になります。確かに理屈の上ではある基準が設定されたとしても、心理的な納得感が十分でなければ問題の火種として残ることになります。特に、複数人で優先順位を決めた時には、大きな問題となることがしばしばです。そして、この納得感は実行におけるモチベーションにも大きな影響を与えます。すなわち、これは出来栄えに影響するということであるとも言えます。
優先順位を決めるときには、「納得感」も重要な基準設定のポイントして考えることも必要です。