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交渉におけるコンフリクト(衝突)の意味と解決法

 様々な交渉においては、一発ですぐに合意というようなケースはほとんどなく、通常は何らかのコンフリクト(衝突、競合状態)が発生します。そして、一般的には協議という形で、このコンフリクトの調整に多大な労力を割くことになります。そのため、交渉におけるコンフリクトは発生しない方が良いというのが多くの方の認識です。しかし、コンフリクトと上手く対峙することで見えてくることもあります。

  そこで、今回は交渉におけるコンフリクトについて書いてみたいみたいと思います。

  まず、コンフリクトとは何かについて整理しておくと、当然みなさんご存知のように語源は英語の「Conflict」です。その意味は、研究者の新英和中辞典によれば、

1a(武力による,比較的長期にわたる)戦い,争い,闘争,戦闘

 b(主義・主張上の)争い,争議; 論争,口論

2(思想・利害などの)衝突; 対立,矛盾

3【心理】 葛藤(かつとう)

と書かれています。

 交渉におけるコンフリクトはこの中では、1bや2が該当します。すなわち、互いの考えの違い、要求の違いによって生じる衝突、対立、論争ということになります。交渉においてコンフリクトが付きまとうのは、どうしても利益の相反性が存在するためであると言え、互いが自身の利益を最大化したいと考えることに由来します。

 

 したがって、コンフリクトはどんな時に起きるかというと、互いの利益が相反するとき、そして、双方が相手に自分の考えを認めさせようとするとき、または、何らかの誤解、誤認が存在するときに発生します。従って、稀なケースではありますが双方の要求が最初から一致しているときや力関係が明らかに異なるときはコンフリクトは起きません。逆に、要求が多かったり、複雑であったりするとたくさんのコンフリクトが発生することになります。

 

 そして、コンフリクトが厄介な原因の一つは、明確なゴールが見えないことが多いということです。入札などのように競合する要素が明確でその優劣を決めるルールも明確な競争(コンペティション)の場合には、何らかの形で決着がつきます。しかし、多くの交渉においてはこれらの要素が不明確であったり、流動的であったりするために、水掛け論になることや、感情的な作用も働いて、ゴールがいつまでたっても見えない状況が往々にして発生します。特に感情的な作用が状況をより複雑にしていると言えます。ゆえに、交渉におけるコンフリクトは厄介なのです。

 

 しかし、一方でコンフリクトによる正の作用もあります。それは、コンフリクトが発生することによって、初めてその交渉における課題や問題が顕在化され、可視化されるということです。お互いに内に秘めて、腹の探り合いをしているうちは、交渉の要素や対象が何かという根本的な部分が靄に包まれた状態と言えます。そのような状態では、いつまでたっても交渉は進展しません。しかし、それらが表に出て来て、コンフリクトとして発生すると目に見える形になり、文字通りの交渉をスタートすることができます。これが、交渉におけるコンフリクトの効果です。

 

 日本人は国民性、文化として要求をダイレクトにぶつけることを得意とはしていない面もありますが、交渉とは互いの要求をぶつけ合って調整するための場です。テーブルに全て乗せてしまった方が早く話が進むこともあります。

 

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