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創造するとは何か(「新しい」を生み出すことの本質)

 企業が成長するため、事業を継続するためには絶えず新しいモノを生み出す、すなわち、「創造」が必要不可欠です。しかし、これだけモノが溢れ、あらゆることが実現していると言えるような世の中で新しいモノを生み出すことは本当に可能なのかという不安があるのも事実です。新しいことを思いついたつもりでも、どこかで誰かがすでにやっていたという経験をされた方は多いでしょうk。

 そんな状況を踏まえて、本当の意味での想像とは何か、ということについて今回は書いてみたいと思います。

  まず、「創造」の定義について、辞書を調べてみると、

  「それまでなかったものを初めてつくり出すこと。

と書かれています(三省堂大辞林より)。

 

 この言葉通りに理解すると、前述の通りあらゆるモノが溢れている現代において、創造を実現することは極めて困難なように思えてきます。しかし、この定義の中でいささか定性的な部分があります。「初めて」、「つくりだすこと」については明確に定義できます。一方で、「それまでなかった」の部分については、いくつかの解釈をすることができます。

 

 例えば、エジソンの電球やベルの電話機などの発明は、明らかにそれまでは無かったものが「創造」されたと言えるでしょう。一方で、現代に目を向けると、新製品と呼ばれるものは日々生み出されています。これらについては、創造という観点ではどう考えられるでしょうか。例えば、車で新しい車種が完成したとしましょう。車という観点ではすでに多くものが存在していますから、創造とは言えないような気がします。しかし、その車種はそれまではなかったものです。また、最近発売された電気自動車や開発中の自動運転無人カーが実現した時はどうでしょうか。

 この辺りに「創造」というものの定義の本質が隠れているように思えてきました。

 

 まだあまりものが無かった過去においては、確かに文字通りの「モノ」が創造の対象であったと言えるでしょう。そのため、前述のような定義であっても解釈の齟齬は生まれませんでした。しかし、現代ようにものがあふれる時代、進歩が著しい時代においては過去の定義では間に合わない状況になっていると言えます。従って、現代においては新しい創造の基準が必要になっているのです。

 

 その基準こそが、「価値」視点です。

 

 すなわち、目に見えるモノという視点だけで創造性を判断するのではなく、それが生み出す価値という視点で創造性を判断することが必要となっています。例えば、前述の車の例で言えば、電気自動車や自動運転カーは車というモノ視点では想像とは言えないかもしれませんが、エコロジーや便利さという視点での価値で見れば、それまでになかった価値を生み出していると言えます。今必要とされている創造性とは正にこのようなものを言います。

 

 では、価値視点での想像を実現するためには、どうすれば良いでしょうか。

 

 最も重要なことは、「新たな視点の発見」です。先の例では言えば、エコや利便性というそれまでになかった新たな視点が起点となって、電気自動車や自動運転カーという発想が生まれ、実現されてきています。言うなれば、モノの創造ではなく、「視点の創造」による「価値の創造」ということになります。新たな視点が、創造の本体である新たな価値を決め、生み出します。そのためには、思い込みなどの先入観、固定観念を捨てて、ゼロベース思考、多面複眼視点で事象を観察して、考察する必要があります。例えば、先の車の例では言えば、車とはガソリンで動くもの、エンジンが必要なもの、人が運転するものという固定観念を持っていては生まれない価値でした。

 

 具体的に新たな視点でそれまでになかった価値を創造するプロセスとは、どういった手順、方法が考えられるでしょうか。「柔軟な発想で考える」と言ってしまえば、そこまでになるのですが、残念ながらこれでは具体的行動に移ることが難しいでしょう。

 

 いま最も必要される基本的価値創造のプロセスは、「統合」、すなわち、「新たな結び付き」を生み出すことです。要するに、組み合わせによる創造ということができます。先の車の例では言えば、それまでにあった車という基本技術(発想)に、同様に存在していた電気駆動、蓄電などの関連技術、そして、基板となるエコ発想を組み合わせることで電気自動車という新たな価値を生み出すもの想像されています。このように、基板となるものや個々の要素は既にあったものであっても、それらが組み合わされて相乗効果を生み出すことで想像が実現されます。

 

 また、「変換」というプロセスも現代的創造を実現する上では重要なものと言えます。統合、組み合わせではなく、それ自体に手を加える、すなわち、改良も立派な想像であると言って良いでしょう。この他には、「ルールの変更」、「対象の変更」なども新たな価値を生み出す源泉となります。

 

 モノであっても、価値であっても創造することは容易なことではありません。しかし、創造無くして成長はありません。諦めることなく、考え続ける、努力し続けることも必要です。

 

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