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交渉でフォーカスすべきこと

 交渉で目指すべき理想は、言うまでもなく、双方の希望がかなったwin-winな合意、すなわち、「賢明な合意」と呼ばれている状態です(詳しくは別項にて)。しかし、皆さんご承知のように、現実は理想の通りに行かないことがほとんどです。従って、ポジティブな表現をすればお互いの歩み寄り、 ネガティブに表現すれば妥協をしていくことになります。いずれにしても、そのような状況で重要なことは何を優先するか、すなわち、どこにフォーカスするかということです。

 そこで今回は、交渉においてフォーカスすべきことについて書いてみたいと思います。

  まず、最も気に留めておくべき重要なこと、フォーカスすべきことは、合意することよりも、合意の内容にフォーカスするということです。合意することばかりを考えてしまうと、どうしても焦りなどが出てしまって、妥協の産物になってしまったり、逆に決裂になってしまうこともあります。双方が譲歩できる範囲を出し合ってZOPA(可能妥結範囲:Zone Of Possible Agreement)を意識した議論が必要となります。合意しないという結論が両者にとって最善の選択であるということもあり得ます。

 

 また、合意の内容を考える時には、どうしても損得や勝ち負け(自分の主張が通りかどうか)で物事を考えることになってしまいます。しかし、自分たちだけが得をするような、相手は損をするような内容では合意に至らないことは誰でも理解できます。従って、ここで重要となるのは決して妥協ではなく、優先順位に基づくバランスということになります。両者の優先順位が真正面からコンフリクト(衝突)することも稀にはありますが、ほとんどの場合は優先する対象が異なります。したがって、優先順位をきちんと整理することで、妥結点を見出すことができます。

 

 もう一つは、正論のワナに陥らないということです。一般的には、交渉の中では理路整然と、客観的に正論で議論すべきと考えられています。確かに、正しい提案、論理的、倫理的な提案というのは重要であり、少なくとも感情で判断したり、主張したりすることは避けるべきです。しかし、交渉という場においては一見正論に見えるものが必ずしもベストのものであるとは限りません。物事は全て多面性を持っています。認知バイアス(思い込み、先入観)のために物事を一側面からしか見られていないことに気付かいことは簡単に起こります。特に、正しい、最適だと思い込んでしまうと、それ以外の選択肢は全て排除するか、考えることすら放棄してしまいます。こういったことが、「正論のワナ」と呼ばれています。より良い最適な選択をするためには、時にはAでもBでも第3の案を考えることも必要です。正論のワナに陥られないように注意することが重要です。

 

 まずは、これらのことを意識の中において、フォーカスして交渉を進めることが大きなポイントとなります。

 

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