皆さんご承知の通り、採用活動を行っていない企業は存在しません。だからこそ、採用活動は企業の生命線の一つであるとも言われます。しかし、なぜ採用活動は必要不可欠なのでしょうか。そんなことは言われるまでも当たり前のことだと思われた方も多いでしょう。でも、本当に理解、認識していると言えるでしょうか。
今回は敢えて、常識であると思われがちな採用活動の理由について考え直してみたいと思います。
「なぜ御社は採用活動をしているのですか」
と問われれば、大部分の方は、
「人が必要だから」
「辞めた人の補充」
など答えることが多いのではないでしょうか。
または、
「定期採用」
という答えもあるかもしれません。
これらの理由は、もちろん間違っているわけではありません。ただ、いずれも個別的な状況に合わせた、より直接的な理由、言うなれば、表層的な理由であると言えます。
人が必要、補充といった理由は、別の言い方をすれば、不足という「課題」を解決するためのものであると言えます。そして、その内実には、現時点の不足という課題の解決と将来予測される不足への対応という2種類があります。実は、この区分は極めて重要です。現時点の課題解決という場合には、当然のことながら即戦力が必要となります。したがって、新卒では間に合わないかもしれず、中途採用も視野に入れることが適切と言えます。一方で、これから起きるであろう将来の課題解決という場合には、育てる時間がありますから、新卒からより理想に近い人材育てることを想定することも可能です。
また、これらの顕在化した、または、潜在的な明示的課題解決という理由だけでなく、組織の活性化といったより能動的な理由から採用を行うこともあります。企業においては、共通のビジョンに向かってベクトルを揃えるということも必要ですが、イノベーションを起こすためには異なる風を取り入れる必要があります。その方法の代表が新しいを採用するということになります。
採用の理由を深く掘り進むと、このようにさまざまな背景があり、それを元にして不足という顕在化状態などの課題が表面化してきます。重要は事は、表面化した課題だけを見ていては、どのような人材が必要かということが分からないということです。その課題が生み出された背景を理解してこそ、必要な人材が明らかとなって、採用活動へとつながっていきます。
なぜ採用するのかという理由は、採用の目的とリンクしており、そこから、採用条件、プロセスが構築されます。表面的な課題でとどまるのではなく、より深く考えて採用活動を行うことが必要です。