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返報性の原理(お礼をしたくなる気持ち)

 皆さん、借りたものは返す、というと借金の取り立てをイメージされると思いますが、今回は少し(全く?)違った状況について書いてみたいと思います。

  友人や周囲の人に何かをしてもらったらうれしいと感じるのは普通の人であれば当たり前かと思います。そして、それと同時に申し訳ないなという気持ちも感じるのではないでしょうか。さらに、こちらからも何かしないといけないと意識するのではないでしょうか。

 

 これこそが、「返報性の原理」と呼ばれるものです。

 

 そうです、お返しをしなければと思うその感情、気持ちといったものが生じることを意味しています。

 

 田舎などでは特にこの原理が強く働きます。下手をすると、お返しのお返しなどというわけのわからない状況すら生まれてしまいます。しかし、こういった状況が返報性の原理が生じる要因を現しているとも言えます。すなわち、返報性の原理とは人間の心理ではありますが、人間の社会性の現れでもあるのです。社会生活を営む上で、その関係性を維持する、平衡を保つという役割を返報性の原理は担っています。

 

 どうでしょう、いつもお願いばかりする人がいたら、最初は快く引き受けたとしてもそのうちに不快感を感じるようになるでしょう。この裏返しが、お礼をするという行為に繋がります。また、いつもお願いばかりしている、何かをしてもらってばかりいると、緩やかにではありますが、心理的な上下関係が生じてきます。これによって関係性の平衡が偏ることになってしまいます。これを避けるという心理がまた返報性の原理の背景にはあると言えます。

 

 ある意味では、社会生活を営む上での潤滑油的な役割も担っているかもしれません。

 

 ただし、必ずしもこういった良い面だけではないという性格も持っています。世の中には悪いことを考える人間は悲しいことですが必ず存在します。そういった輩がこの返報性の原理を悪用するとこんなことになります。

 ターゲットに対して最初はごくごく簡単なことをしていきます。また、可能な限りお願いは聞くようにします。そうです、いわゆる「貸し」を作っていくのです。そして、ある時ここぞというタイミングで大きなお願いをしてきます。お願いをされた方は、普段いつもお世話になっている、無理を言っているという負い目もありますから、そう簡単には無下にできません。そうやって付け込んでくるのです。これこそが、返報性の原理を悪用する典型的なパターンです。また、結構詐欺なども同じよなパターンの応用です。普段は食事をおごる、プレゼントをするといった行為を繰り返して信用を得ると同時に貸しを貯金しているのです。そして、ある時突然金銭をお願いという形で要求するのです。

 

 このような悪用は当然ながらいけませんが、関係性を損なわない範囲で上手く活用することは考えても良いかもしれません。普段から周りに協力しておくことで、いざというとき、本当に自分が困ったときに助けてもらえるかもしれません。もちろん、下心だけで動くのは感心しませんが、もしもの時の保険として。

 

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