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説得のためのステップ(説得の方法)

 仕事の上ではもちろん、日常生活においても相手を説得して納得してもらわなければならない場面はいくつもあります。特に、ビジネスの世界では日々何らかの交渉、依頼が行われており、誰もが説得の必要性に直面しています。しかし、そんな時に自分の意見をゴリ押ししたり、一切歩み寄りをしなければ合意に至ることは困難です。また、同時に理屈だけでは納得できないのも人間です。

 そこで、今回は説得のプロセスについて書いてみたいと思います。

 説得において重要なことは、まず自分の望んでいることは何か、どのような状態になりたいのかということを認識すると同時に、相手の立場、主張を理解することです。すなわち、スタート地点と目指すゴールを明確にしなければなりません。これらが不明確な状態で説得を続けても、話はかみ合わず、不必要なコンフリクトや混乱を招くことになります。そして、議論はかみ合わず平行線をたどり、結局は決裂してしまうことになります。自分に立場や主張があるのと同様に、相手にも立場や主張はあります。まずそれらを理解した上でなければ、交渉は進みません。

 

 また、信用を確立しようと努力することも重要です。これは、こちらの主張や言いたいことを聞くという状況に相手を置くために必要なことです。例えば、見た目や態度、口調などです。いきなりけんか腰で、半ば脅すような口調で話していては相手は当然のことながら拒絶的対応をするでしょう。そこまではいかなくても、その話題に相応しい服装や態度でなければ、相手は警戒します。例えば、ごく簡単なお願いをするだけなのに、非常に畏まった服装や態度で臨めば、逆に丁寧過ぎて相手は裏に何かあるのではないかと疑うこともあります。もちろん、嘘をつかないなどは当然のことです。

 

 そして、実際の話題に関しては、一方の主張や立場だけで考えるのではなく、双方の主張や立場の共通点、利害の一致点を探すことが重要です。一方が押し通そうとすればそれだけでコンフリクト(衝突)が悪化していきます。ZOPA(Zone of Possible Agreement:合意可能領域)を探す努力をすることが必要です。互いの主張が100%衝突しているケースは極めて稀であり、主張が一部一致していることは往々にしてあります。また、目指すゴールはほぼ同じで、そのプロセスに違いが存在しているということもあります。こういった場合には、必ずZOPAが存在します。

 

 ZOPAを意識することと同時に必要なことは、バランスです。一方が過度に利益を得る結論は、他方は当然のことながら拒絶します。両者の利害のバランスを取ることも説得においては重要なポイントとなります。妥協という意味ではなく、主張の中にも絶対譲れないこともあれば、出来れば通したいレベルの主張もあるはずです。そういったものを総合的に判断してバランスを取ることも必要です。

 

 最後にもう一つ上げるとすれば、理屈だけで考えるのではなく、感情的側面を無視しないということです。人間は感情の生き物でもあります。頭では、理屈ではわかっていても振り上げた拳の落としどころが無くて後に引けないということも大いにあります。そういったことも含めて、感情的なリンクを形成することも説得においては必要となります。

 

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