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成長やモチベーションを左右する二つの知能観

 皆さんは「知能観」という言葉をご存知でしょうか。知能や知性に関する考え方の一つなのですが、人間の知能とはどういったものかということを定義しています。実は、この知能観というものが人の成長やモチベーションなど日常と大きなかかわりを持っています。

 そこで、今回は知能観について書いてみたいと思います。

  「知能観」というよりは、ひょっとすると英語表現の「Theories of Intelligence」の方が分かりやすいかもしれません。日本語にすれば、「知能の理論」となるでしょうか。すなわち、知能観とは、まさに知能とは何かを定義することであるということになります。このような考え方について最も有名な学者は、名付け親でもあるキャロル・S・ドウェックです。

 

 彼は、その定義の中で知能観には大きく二つの種類があるとしています。

  • 固定的知能観 “Entity Theories of Intelligence”
  • 暗黙の知能観 “Implicit Theories of Intelligence”

の二つです。なお、暗黙の知能観については、拡張的知能観と言われることもあります。

 

 固定的知能観は、知能の量はあらかじめ決まっていて、学習や経験は知能の器を埋める作業でしかないという考え方です。これに対して、暗黙の知能観(拡張的知能観)では、知能の量は無限であり、学習や経験によって増えていき、無限に成長できるという考え方です。

 

 果たしてどちらが正しいのかという議論の結論は極めて困難です。なぜなら、固定的知能観であったとしても、その決まった量を量ったり予め知ったりすることは不可能であることから、一見無限に知能が増えていく暗黙の知能観のように見えてもそうではないかもしれないからです。どうように、暗黙の知能観のように見えても、実は想像した以上にあらかじめ決まった知能の量が多かっただけかもしれません。

 

 ただ、言えることの一つには、固定的知能観であった場合には、人の成長には限界がある、知能が満タンになってしまったら新たな問題には対応できないということになってしまいます。そして、そのような状態になったらそれ以上の努力は無意味であるという結論になります。果たしてそうなのでしょうか。

 

 一方で、暗黙の知能観(拡張的知能観)であれば、人の成長に限界は無く、困難は新たな成長の機会となります。したがって、あらゆる努力は意味のあるものということができます。モチベーションという考え方をした時も、暗黙の知能観であれば成長の機会としてモチベーションの源の一つに成り得ますが、固定的知能観で考えてしまえばモチベーションを打ち消すことになります。

 

 「あきらめた時が終わりであり、失敗が決まるときである」とよく言われる通り、真実はどうかは別にして、少なくとも気持ちの中では暗黙の知能観(拡張的知能観)と考えるべきだということは間違いないでしょう。

 

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