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交渉における予備的目標(Up&Down)の決め方、考え方

 交渉を行う時には、通常実現したいこと、相手に認めさせたい要求事項が存在します。言うなれば、交渉の目標、ゴールが定められます。価格交渉であれば、売りたい(買いたい)価格が目標値となり、いかに自分の要求に近い結論に至るかが交渉の中心と言えます。しかし、多くの交渉の場面においては互いの要求は利益相反でコンフリクトが発生します。そのため、交渉をスムーズに進めるためには、単に自分の目標値を決めるだけでは不十分と言えます。

 そこで、今回は交渉における目標値、ゴールの決め方、考え方について書いてみたいと思います。

 別稿や先に述べたように、交渉においては互いに双方が自分の要求を持っています。しかし、多くの場合それらの要求は利益相反の関係にあり、コンフリクトを生じることになります。そのため、自分の希望通りに交渉が進まず、目標値を達成できないことも珍しくありません。そのため、ある時には交渉の中で目標値を下げるということも必要になります。しかし、交渉の途中では、様々な要素が複雑に関係しあっていることや、それらの調整をしながら目標値の調整をしなければなりません。そのため、十分に考えて目標値の調整することは容易なことではありません。そのため、交渉はまとまったが、気が付くと不本意な妥協の産物になってしまうということもしばしばおきます。

 

 このような、不本意な妥協をしないためには、目指す目標値以外にも予備的目標を定めることが必要です。そこで、まず決めておくべきは、Up-side目標とDown-side目標です。Up-side目標は可能ならここまでいきたいというもの、Down-side目標は逆に最低限これは確保したいというものです。願わくばという目標と、ここから先は譲れないという目標と言うこともできます。

 

 そして、これら二つの目標は交渉の幅を決めます。全く幅の無い、一点張りの交渉では合意に至ることはやはり困難となります。しかし、Up-side、Down-sideを設定しておけば、より柔軟な対応を取ることができ、交渉はスムーズに進みます。また、状況を見ながらより良い条件(Up-side)を望む戦略もとれます。逆に、Down-sideを明確にしておくことで不本意な合意で後悔する、失敗することを避けることもできます。

 

 また、このように予めアップサイド、ダウンサイドの目標を決めておくことで、交渉における交渉可能範囲(ZOPA)を考えることができます。ZOPAとは、妥協ではなく、双方の許容範囲の重なる領域です。多くの交渉においては、目標値、ゴールがピンポイントの一点ということはなく、前述のアップサイド、ダウンサイドのように一定の範囲を持っていることがほとんどです。したがって、両再度をあらかじめ決めておくことで、この範囲を明確に認識することができ、ZOPAを探すこともできるようになります。

 

 実は、交渉ではこの二つ以外にもう一つ予備的目標を定めておくことが望まれます。それは、非合意の場合を想定した非合意オプション(BATNA)です。交渉は必ずしも合意に至るわけではありません。決裂という場合もあります。そんな時に、決裂もやむなしとするのか、それとも、何としても決裂は避けようとするのか、ということはもちろん、決裂した場合にどう行動するのかということをあらかじめ決めておけば、その事態になった時に慌てなくて済みます。

 

 交渉は複雑なものです。このように、様々な事態、状態を想定して、すぐにそれらに対処できるようにしておくことが重要です。

 

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