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目標管理の利点・長所と課題・問題点

 企業のよってある程度の違いはあっても、目標管理制度はほとんどの企業で導入されている制度の一つであると言えます。業務管理、人事評価など様々なものと関係づけられており、人事制度の中核の一つでもあるというのが現状です。しかし、残念ながら目標管理も万能ではありません。利点・長所もあれば課題・問題点といった限界もあります。

 そこで、今回は目標管理の利点と限界について書いてみたいと思います。

 【利点・長所】

 まず挙げられる目標管理の利点は、組織の求めるものと個人が目指すのものとの整合、統合です。通常目標管理では、組織である企業側と個人との協議によって目標が設定されます。したがって、ここで両者の思いが突き合わされて、調整のうえで統合されることになります。このような場が無ければ、組織目標と個人の目標に乖離が生まれ、組織としてのシナジー効果などが阻害されることになります。

 

 ただし、多くの場合は完全に同列に両者の目標が統合されるわけではなく、基本的には組織目標がベースとなって、それに則って個人目標が設定されることになります。したがって、個人の目標はあくまでも組織目標という枠組みの中で実現されていくことになります。こういった点において、会社や経営といった組織目標の浸透という効果も目標管理制度にあります。

 

 そのような過程で組織と個人の目指すゴールの統合のもとに目標が設定されることで、個人の組織の中での役割も確認されることになります。すなわち、役割の明確化、定義という効果も目標管理プロセスの中で生まれることになります。それと同時に、プロセスを共同で進めることで、目標の設定、実行、評価という過程が可視化される納得感を生むという効果も得られます。

 

【課題・問題点(限界)】

 当然のことながら、目標管理は前述のような利点ばかりではありません。目標の設定、実行、評価という過程が可視化されるとはいうものの、可視化されればそれでよいというわけではありません。例えば、どうしても組織としての目標が優先されることから、やらされ感を伴った目標が設定されるということも起こります。しかし、企業においては組織在りきという前提を否定することは困難であることから、本来利点として存在するべき組織と個人の目標の統合が現実には困難であることが多いというのが目標管理の課題、限界であると言えます。また、可視化自体が現実には十分ではないということも問題点として挙げられるでしょう。

 

 また、どうしても評価という役割があることから、目標がノルマ化することが考えられます。ノルマ化してしまうと、本来目標とは自発的、能動的に達成を目指すものであるべきはずが、目標がやらされ仕事に変化します。これは、モチベーションやパフォーマンスの低下に繋がります。また、ノルマ化することで、意識的、無意識的両面から、目標外の項目が除外されているという傾向が生まれます。例えば、個人主義や結果主義への傾倒ということになり、組織としての思考、行動(協力する等)が弊害されることになります。さらなる問題として、できそうな目標ばかりが設定されるということが起こります。こうなってしまうと、そもそもの目標管理制度の役割が崩壊することは言うまでもありません。

 

 こういったプロセス上の課題以外に、人間の本質的な部分に関わる点として、どうしても組織目標よりも個人の思いが優先されることが起こり得ることも忘れてはいけません。組織と個人の目標がコンフリクトした時、やはり自分個人の目標を優先してしまうことは起こります。それぞれがそんな状態になったしまうと、そもそもの目標設定自体が無視されることになり、目標管理制度が崩壊することになります。

 

 

 これら以外にも、目標管理制度には難しい面があります。しかし、目標管理制度自体がダメなものというわけでもありません。問題は、その理解が乏しい点、そして、運営の問題点など様々な要因があります。教科書通りのコピー制度ではなく、自分たちに合った制度設計をすることが重要です。

 

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