JRLテックログ

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考える時間を作る

 皆さんは開発業務の中でどれぐらいの割合で実験をして、どれぐらいの割合でデスクにいるでしょうか。中には9割以上、ほとんど実験室で実験している、報告会の前だけデスクでまとめているという方もいるかしれません。また、管理職の中には机に座っているようでは仕事をしていない、というような感覚の人も少なからずいます。しかし、果たして本当にそうなのでしょうか。

 

 開発というものは、仮説に基づいて構想し、それを検証することの繰り返しであると言えます。そして、実験とは仮説を検証するための手段でしかありません。従って、極論すれば実験を全くしなくても仮説が検証できればそれで良いのです。もっと言えば、そのようにできれば究極的に効率的で、理想的であるとも言えます。

 

 実験は、ある種の中毒性のようなものがあり、実験していれば、何か行動をしていれば仕事をしているような気分になります。しかし、本当にそうでしょうか。中には、もう少し、もう少しと実験条件をチマチマと変えながら実験を繰り返す人もいます。何も考えずに見ると、諦めずにやり切ろうと一生懸命やっていると捉えることもできますが決してそんなことはありません。最初に十分に考えていればそんなことにならないはずですから、無駄に時間を浪費しているだけです。

 

 では、なぜそのような状況になってしまうのでしょうか。最も大きな理由の一つは、仮説を十分に考えられていない、または、仮説が無い状態で実験を始めているので、当初の実験条件に論理的根拠が無いことです。最初にきちんと仮説を立てて考えておくことができていれば、実験の網は徐々に広げるのではなく、本来のように網を狭めていくような内容になっているはずです。

 

 このような状況を生む原因は、考える時間が全く足りていないからです。前述の通り、少なからず机に向かっている時間が長くなればなるほど仕事をしていないという風潮が特に開発の現場には見られます。そのため、多くの人がそのように思われたくないという意識も働いて、とりあえず手を動かす、実験をするというようなことをしてしまっています。このようになると、実験のための実験が蔓延り、実験がいつまでたっても終わらないデスマーチが流れ始めるのです。

 

 できるだけ実験の量を少なくすることができれば、それだけ早く結果を得て結論を導くことができます。そうすれば、成果も早く、確実に得ることができ、もし駄目なケースでもその決断を早くすることができます。少なくとも実験をしている間は開発は大局的には停滞状態です。一刻も早くその停滞状態を抜け出すことが最も必要なことなのです。

 

 如何にして作業量を少なくできるか、そのためには考えることが必要であり、動いている、作業だけが全てではありません。もちろん、だからと言って考えてばかりではいけません。理想は実験が無くても検証できるとは言いましたが、そのような理想的な状況はそうそう起こりません。従って、ほぼ必ず実験が必要になります。また、世の中には事前には予想できないこと、考えても分からないことはたくさんあります。考えるための情報を得るために行動(実験)をするということも必要なケースはたくさんあります。

 要するに、考えることと行動すること、実験することは同等であるということを認識することが必要であり、両者のバランスが重要なのです。

 

 考えることと行動のバランス、論理的な考え方を修得したい、効率的な開発を進めたい方はジャパン・リサーチ・ラボにご相談ください。ご相談はこちらへ。

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