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交渉のコツ・ポイント(交渉の前にするべきこと)

 交渉はいったん始まってしまうと、どんどん状況が進んでいきます。そのため、その場でその都度ゆっくりと検討する、考え直すと言ったことが難しくなります。したがって、リアルタイムに結論を下す、判断をするといったことが要求されます。しかし、何の準備もなしにリアルタイムに正しい判断を下していくということは、相当量の経験を積んでいないと極めて困難と言えます。一方で経験はそんなに簡単に都合よく詰めるものではありません。現実の中でこのギャップを埋める一つの方法が、交渉の前に行う準備であると言えます。

 そこで、今回は交渉を始める前にやっておくべきことを書いてみたいと思います。

  一つ目は、代替案の準備です。交渉とは必ずしも合意に至るわけではなく、場合によってはやむを得ず決裂という結果もあり得ます。そのようなときに慌てなくても良いように、交渉を始める前に複数の代替案を用意しておくことが重要です。この代替案には大きく二つのものがあり、一つは決裂した時にどうするのかという意味での代替案であり、これにはオプション(BATNA)を考えておくことが必要です。もう一つは、決裂まではいかない様々な状況を想定して準備しておく代替案です。例えば、相手の要求に対するカウンターなどです。

 要するに、あらかじめ様々な状況を想定して、それに対する対応案を準備しておくということになります。

 

 二つ目は、妥協点と合意の優先度を明確にしておくことです。決裂もやむなしとして交渉に臨むのか、何よりも合意を優先するのかということです。そして、合意を最優先とするのであれば、どこまで妥協することができるのかということも最初に決めておくべきです。ただし、だからと言って合意を優先するばかりに妥協に妥協を重ねて、結果として損害を被るということもあるので、合意に執着するのことは正しい判断ではありません。そのためにも、どこまでは譲ることができる、これは絶対譲れないことや譲れること(できれば手に入れたい条件)を明確に整理しておくということが必要になります。先に上げたBATNAもこの考え方の一つです。

 

 三つ目は、相手の考えや行動を予想することです。相手がどう考えているのか、交渉がどういう流れになるかということを全く想定しないで適切な準備をすることは不可能です。相手が何を望んでいるのか、何を要求してくるのか、そして、どういう結論を考えているのかということを予め予想して、それらに対するカウンターを用意しておくことで、慌てることなく、交渉を有利にすることができます。もちろん、他人の考えを100%予想することは不可能です。しかし、自分ならと置き換えて予想することや、前述のBATNAを考えるなどで準備することは可能です。

 

 四つ目は、優先順位です。交渉とは双方の要求のぶつけ合いであり、調整ですから、必ずしも自分の要求が全て通るとは限らないというか、そんなことはほとんどありません。また、相手の要求の全てを飲むことも、拒否することも現実的ではありません。従って、交渉項目の中での自分の優先度を考えておくこと、そして、相手の優先度を予想していくおくことが重要です。そうすることで、必要に応じてバーターの交渉を行い、自分の優先度の高い項目を通すという戦略も練ることが可能となります。

 

 五つ目は、共通妥協点(バーゲニングポイント)の検討です。交渉においては、一方が妥協するのではなく、双方が歩み寄るということも重要です。その歩み寄れる範囲を想定しておくことで合意をスムーズに進めることが可能となります。

 

 交渉は始まってしまえば、アンコトローラブルなことが増えます。従って、事前の準備が極めて重要となります。

 

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