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評価の3視点(戦略、アイデアの予測の方法)

 戦略策定、計画策定、アイデアの評価など、何かをするというときには、予測、未来を想像するということが必要不可欠になります。しかし、未来のことは当然ながら誰にもわかりません。楽観的な予測、悲観的な予測など性格が影響することもしばしばですが、いずれの場合もどういう立ち位置、軸足で予測を行うかということがポイントになります。

 そこで、今回はこの未来予測、すなわち、評価、判断を行うときの視点を3視点に分けて書いてみたいと思います。

  一つ目の評価視点、判断視点は、「夢想家の視点」(ドリーム視点)です。このように書くと、単なる楽観的視点、考え方と思われた方もいるかと思いますが、決してそういう意味ではありません。楽観視点とは、一切の根拠なく、考えもなく、上手くいくと思い込んでいるだけの状態です。こんな状態は、単なる博打でしかありません。ここでいう夢想家の視点とは、仮説が成立した時、考えているストーリーが全て上手くいったときにたどり着ける最高のゴールを予想するというものです。いわゆる、ハッピーストーリーの想定であり、ベンチャーの人たちは「アップサイド」と表現することもあります。

 

 この視点は、少なくとも有限の実現可能性を前提として、どこまでリターンを期待できるのかということを考えます。これによって、どこまでのリターンを期待できるということから、最大リスクとしてどこまで許容することができるのか、また、どこまでリソースの投資をすることができるのかを考えることができます。少なくとも、それ以上のリスクテイクや投資は適切ではないということです。

 

 確実にできる範囲、安全サイドばかりを選択していては、勝つこと、成長する機会は得られません。一定のリスクを取ることも時には必要です。そんな時に文字通りアップサイドの限界を知ることが必要以上のリスクを冒さないためには必要となります。ただし、重要なことは最初に述べた単なる楽観思考との区別です。すなわち、実現の仮説、ストーリーがあるということが必須条件と言えます。

 

 二つ目の視点は、「批評家の視点」(反対視点)です。この視点では、全てに疑いを持ち、本当に実現できるのかということを考えます。言うなれば、夢想家の視点の対極にある視点と言え、その意味で、同じくベンチャーの人たちの言葉を借りれば、「ダウンサイド」と表現することができます。夢想家の視点でアップサイドを夢見ることも成長には必要ですが、どこまでは確実に実現できるということを冷静沈着、クールに評価、判断することも同時に必要です。夢ばかりを追いかけていては、リスク過多になってしまい、安定的成長の基盤が揺るぎかねません。

 

 この視点で対象を評価、判断することによって、確実に得られるリターンを予想することができます。それによって、他の投資案件とのバランスを取る事が出来ます。リスクを取る事も必要ですが、リスクばかり取っていくことが正解ではありません。この視点で重要なことは、判断基準とすることに不確定な要素を可能な限り入れないということです。不確定要素が増えるにしたがって、批評家の視点から離れてしまうことになります。できる限り、客観的で確実な情報に基づいて評価することがポイントと言えます。

 

 三つ目の視点は、「実務家の視点」(現実的視点)です。言うなれば、ミドルサイドと表現できるでしょう。この視点は、前述の二つの視点の中間的なバランス視点であり、最も一般的な評価視点と言えます。バランス視点だからと言ってこれが一番良いというわけではなく、帯に短し襷に長しという言葉もある通り、どちらともつかずで中途半端な判断になってしまう懸念があります。したがって、そのような中途半端な状態にならないように意識することがポイントであると言えます。

 

 実際の評価、判断では、これら3つの視点の一つを選ぶのではなく、三つ全ての視点で考えることが適当であると言えます。その上で、どのリスクをどこまで取るのかということをリソース投資と共に判断していくことになります。そして、実行段階においては当然のことながら、アップサイドに近づけるようにしていきます。

 

 今回は、戦略、計画、アイデアの評価、判断について書きました。現実には、どんなに考えても未来が分かるようになるわけではないので、予想の範囲を超えないのですが、重要なことはその中でいかにして確度を上げていくかということです。そして、同時にいかにしてリスクヘッジしていくかということであり、そのためのオプションを増やすという観点でも、今回紹介したような様々な視点で考えることが重要となります。

 

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