JRLテックログ

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ジャパン・リサーチ・ラボが提供する技術コンサルティング、人材育成、戦略策定、セミナー等の様々なコンテンツに関する情報を提供するブログです

通勤圏を希望と言いつつ

 あるクライアントのコンサルティングの中で中途採用のお手伝いをすることになりました。採用活動の背景は、現在の課長層に物足りなさがあり、即戦力としてはもちろん、課長層に刺激を与える、新たな血を入れて現場を活性化するというような目的でした。したがって、ほしい人材は管理職、または、その候補ということになります。

 

 上記のような背景を持っての募集ですので、応募される方は基本的に中堅、または、現在管理職の方が中心になります。ただ、この層はどこの会社も中途採用として狙っているので、よい人材に巡り合うことが難しいということも珍しくありません。そんな中でも、何とか面接をしようかという応募が出てきました。

 

 コンサルティングとしては、書類選考、面接そのものの直接的なお手伝いはもちろん、それを通じて書類の見方(どこをどんなふうに読めば良いかなど)や面接の方法(どんな質問をすればよいかなど)等についてもご指導させていただきました。面接では、クライアント先企業の人事部や配属予定部署の一人のような立ち位置で実際に面接に立ち会います。

 

 さすがに、中堅以上になってくると、事前に書類選考をしているということもありますが、受け答えはそつなくという感じで、内面に深く入り込んで、本性を引き出すというのも一苦労です。管理能力などの実務的な面やパーソナリティーなどを確認する質問が中心になりますが、この年代になってくると家族もおられることがほとんどなので、ある程度プライベートなことも確認します。例えば、引っ越しや転勤に関することなどです。

 

 ある応募者の面接で「ん?」という受け答えがあったので、ここではそれを紹介したいと思います。面接のやり取りの中で当然応募理由、転職を決意した理由を聞くわけですが、その理由と一つとして通勤に関するものがありました。現在は東京勤務で通勤時間が2時間以上かかっておりより近い通勤圏を希望しているとのことでした。そして、そのクライアントの募集部署のある事業所が実家に近いので、転職を機に両親のことも考えて実家に戻ることを考えているとのことでした。

 

 こういった希望自体は珍しいことではなく、もちろん、否定されるものでもありません。ただ、そのクライアントの該当部署は東京分室もあり、異動や場合によっては初期配属が東京勤務になる可能性がありました。重要なことですので面接でその可能性について伝えたところ、二の足を踏みたくなるやり取りとなりました。応募者の回答は、「そのような指示があれば当然受けます」というものでした。面接での答えとしては、当然といえば当然で、教科書的な回答であり、クライアントの人事部長、採用予定部署の部長も満足気でした。しかし、私の印象は違っていました。転職の理由として挙げていること(通勤圏希望)が、根底から否定されかねないのに受けるということが不思議でした。現在東京勤務が不満であることが転職理由の一つなのですから、また同じ状況になる可能性があるのに受け入れることが理解できませんでした。ちなみに、現職の仕事内容や処遇等には大きな不満はない、仕事も面白いと感じていると肯定的な回答をしています。私には、これらのやり取りが矛盾に感じ取れました。

 

 面接終了後にクライアントと上記のようなことも踏まえて打ち合わせをしました。クライアントの担当者(両部長)は言われてみてなるほどという感じでした。結局はそのことがネックになるだろう、またしばらくしたら辞められてしまうかもしれない、または、現職への気持ちが偽りである可能性が高いということ大きな懸念事項となりました。

 

 こんな風に、面接をしているとやり取りの中で矛盾が生まれることが多々あります。募集要件との矛盾、上記のような回答間の矛盾など様々です。面接とは本当に難しく、短い時間の間に相手の本質を見極めなければならないのです。しかし、残念ながらほとんどすべての企業で採用担当者に対する書類選考や面接など採用に関する教育は全くと言って良いほど行われていません。これでは、採用プロセス自体が形式的なもの、俗人的で感覚的なものになってしまいます。

 採用は会社の未来を決める非常に重要なものです。もっと、リソースを割くべきです。

 

 新卒、中途、採用でお困りの方は、ぜひジャパン・リサーチ・ラボにご相談ください。ご相談はこちらへ。

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もうワンショット実験していいですか?

 サラリーマン時代の部下の一人にいつまでたっても実験が続く人がいました。口癖は「もうワンショット実験していいですか」でした。要するに、実験はしたけど上手く行かず、実験条件を少し変えてもう少し検討したいということです。これだけ聞くと、一見すると頑張り屋さんのように思えるのですが、実体はそうではありませんでした。

 

 確かに彼は実験に対する体力も持久力もあって、へこたれない精神力も持っていましたので、その点は褒められます。しかし、ほぼ毎回のように前述のような口癖が出てくるのは、さて、どうでしょうか。開発や実験が1回で上手く行かないことはそう珍しいことではないので、やり直しや延長というのは、それ自体が責められるものではありません。

 

 しかし、彼の場合は違っていました。それは、単純に考え、思考が浅かったのです。話を聞くと、良く考えれば最初から予想できるような実験範囲の拡張や変更、やり直しで、なぜ、最初にもっと考えて実験を組まないのか、というようなものばかりでした。本人は精力的に実験をやっているつもりでも、実際には思考が浅いために起きた時間の浪費状態に陥っていたのです。

 

 このようなケースは皆さんも経験されたことがあるのではないでしょうか。実験量ばかり多くて、残業も多い部下、しかし、結果はいつまでたっても出てこないというようなケースです。もっと最初から論理的に深く考えることで避けられることが多くあります。そして、なによりもこういうケースでは仮説が全くないことがほとんどです。実験とは、仮説を検証するための手段でしかありません。極論すれば、実験しなくても仮説が検証できればそれでOKであり、ある意味理想形です。

 

 このような人たちは実験さえしていれば仕事をしている気分になっていることが多いものです。しかし、それは大きな間違いで結果や成果を出すことが仕事であり、その他は手段でしかありません。従って、手段は簡便、容易で、低コスト、短時間がベストです。なので、前述のように極論すれば実験は無いに越したことがないということになるのです。

 

 このパターンのもう一つの特徴は、深く考えずにデータを積み上げていくので、結局データに埋もれてしまって、使っていない、活用しきれていないデータが山のようにたまっていきます。そうやって、時間も含めたリソースを浪費しつつ、いつまでたっても結果が出てこないという状況に陥ります。

 

 このタイプ、このような状況に対しては、それに合わせた指導や教育が必要となります。安易に指摘しても本人たちは一生懸命に必要なことをやっているつもり、とても頑張っているつもりでいますから、自分を否定された様な気分になってしまい、反感を持つこともあります。そこで、例えば、実験の計画段階でそれまで以上に関わるようにするなどです。

 

 実験量ばかり多く、リソースを浪費しているのにいつまで経っても結果が出せないという蟻地獄にはまっている方は、ジャパン・リサーチ・ラボにご相談ください。ご相談はこちらへ。

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自分を卑下しない

 コンサルティング先、顧問先に訪問して、若手や中堅、管理職の方とディスカッション等をしながらご指導させて頂くのですが、それらの方には様々な経歴の方がおられます。新卒採用された方もいれば、今のご時世ですから転職組の方もそれなりにおられます。また、会社内の人事異動で今の担当になって間もない方もいれば、ずっと同じ担当で専門性を高めておられる方など色々です。

 

 そんな皆さんとディスカッションをしていると、時々見受けられるのが必要以上に自分を卑下してしまう方です。一番多いのは学歴に関することです。例えば、自分は有名国公立や私立の卒業ではないというケースです。しかし、いったいどれだけ東大や京大卒などいわゆる旧帝大系の有名国公立の卒業生がいると思っているのでしょうか。そして、本気で卒業した大学で能力が決まると思っているのでしょうか。

 また、自分は大卒ではなく、高専卒だから、専門学校卒業だからとか、学部卒だからという人もいます。確かに、大学と専門学校では学び方や学んだことは違うでしょう。しかし、専門学校に行っている人が全て大学に行く能力が無かった人ばかりであれば、能力の優劣はあるかもしれませんが、決してそんなことは無いはずです。何かしらの思いや志があって、専門学校を選んだはずです。

 

 本当に能力が無い、劣っている、不足しているのであれば、会社は採用もしないでしょうし、今の担当に配属していないはずです。今の立場にいるということは、会社や周囲からその能力があると認められているからに他なりません。にもかかわらず、自分で勝手に自分を卑下して、その能力を発揮しなければ本当にそういうレベルの人間になってしまいます。そんなことが繰り返されると、結局は負の連鎖に入ってしまい、「やっぱり有名大学院卒じゃないと駄目だよね」ということになっていってしまうのです。

 

 ただ、中には「彼は高専卒だから」、「大卒じゃないから」というレッテル張りをして、実際に口にするケースがあります。これはもってのほかで、ましてやそれが管理職であった場合には、思ったりするだけでも大間違いで、その人こそ管理職の素養が無いと自分を卑下すべきと言えます。経歴も配属や評価の参考情報にはなりますが、あくまでも参考であり、実際の判断においては客観的な事実、成果に基づかなければなりません。それができなければ、評価システム、組織が成立しなくなります。そうやって、現場のモチベーションが低下して、ますます成果が出なくなる。さらに、成果が出ないので良い人材が得られなくなり、組織としての負の連鎖が始まるのです。

 

 もっと、自分の能力を信じで、それを最大限に発揮する努力して下さい。そして、人を評価する立場の人は、さらにもっと勉強して、努力しなければなりません。

 

 人材活用、組織マネジメントでお困りの方は、ジャパン・リサーチ・ラボにご相談ください。ご相談はこちらへ。

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何がモチベーションを産み、育てるか

 コンサルティングで様々な企業に伺っていると、最近の若手や中堅、時には管理職の方に至るまで、モチベーションが低いという相談を受けます。このようにおっしゃる方の多くは、まだ高度成長期の光が日本に当たっていて、イケイケドンドンで半導体、電機、自動車産業などが成長して、日本経済そのものに元気があった時代を経験されている方、または、そういった方の影響を強く受けておられる方です。

 

 確かに、当時は全てに活力があり、働き甲斐を感じて、文字通り高いモチベーションで自分の時間を惜しんででも仕事に没頭される方がたくさんおられました。もちろん、昨今の働き方見直しの流れを考えても、その状態が良い、理想の状態というわけではない面もあります。しかし、確かに、活気や意欲、モチベーションは高かったと言えるかと思います。

 

 では、なぜモチベーションが下がっている、言い換えると、親(上司)からエサ(指示)を与えられるのを待つ雛鳥の如く、指示待ち状態になってしまったのでしょうか。一つには、間違った目標管理制度の蔓延があると言えます。間違った目標管理制度では減点主義が横行し、冒険やチャレンジをして原点をされるくらいならプラマイゼロでも良いので目立たず、現状維持という思考が生まれてきます。そして、結局評価自体も適当で、最後は調整の名の元での平均化のためきちんと評価されないという状況が生まれます。こんな状態では、モチベーションが産まれるはずも、育つはずもありません。

 モチベーションには努力が報われる環境が必須です。

 

 また、会社や社会自体に余裕がなくなって即物的な結果を求めるようになったことも原因の一つとして挙げられます。モチベーションを産む重要な要素に一つに「夢」、将来感があります。しかし、責任ばかり追及されて、即物的に結果を求められるような状況で果たして夢を持つことなどできるでしょうか。そして、夢を持てないような状況でモチベーションを保つことができるでしょうか。

 ここでも同様に、モチベーションを持って頑張ることで将来夢はかなうという形での努力が報われるという認識が重要となるのです。

 

 何かをやって失敗したら減点されて非難される、しかし、努力して頑張って成果を出してもその時には十分には評価れない、努力が報われない状況がモチベーションの芽を摘んでいるのです。もっと職場に夢の花を咲かせましょう。

 

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耳に心地よい言葉に逃げない、騙されない

 世の中には色々な言葉(単語、キーワード)があります。その中には、専門用語、略語など一度聞いただけでは意味の分からないものもあります。例えば、ベンチャーの世界ではやたらとカタカナ語やアルファベットの頭文字を取った略語が使われます。一例をあげると、「MVP」という言葉があります。これを聞いてほとんどの方は、 Most Valuable Player(最高殊勲選手)を思い浮かべると思います。しかし、ベンチャーの世界でこの単語は、Minimum Viable Product(実用最小限の製品)を指しています。意味は、最小限の実行可能な製品で、近い言葉で身近なものを上げると「プロトタイプ」があります。この他にも挙げればキリがありません。

 

 これらの単語で気を付けないといけないのは、非常に耳に心地よい、使っている方も、聞いている方も何となく意味を理解している、適切な表現になっているという風に感じてしまうということです。漠然としか理解できていない、明確なイメージが出来上がっていない、具体的でない認識状態であるにもかかわらず、きれいにまとまった耳に心地良い言葉に惑わされてしまうということです。

 

 一方で、もう一つ気を付けないといけないのは、略語等ではありませんが、一見的確に表現できていると感じてしまうものです。例えば、目標設定などで頻出する、「推進(促進)する」、「向上する」、酷い時には、「目指す」などと書かれてしまうこともあります。目標は具体的でなければなりません。具体的でなければ、達成の評価ができないからです。しかし、これらはすべて全く具体的ではありません。「促進する」などと言ってしまえば、何かを少しでもやればOKと言えばOK、「向上する」も少しでも改善が見られればOKと言えばOKということになってしまいます。

 

 言われてみればその通りだと感じて頂いた方も多いかと思いますが、一方で現実にはこのような表現が横行しています。そして、言っている方も、聞いている方も分かっている、理解しているという錯覚に陥ります。良く言えば「阿吽の呼吸」とも言えますが、世の中はそんなに甘くはなくて大抵は意図は伝わっておらず、そもそも言っている方も自分の意図が明確に認識できていない状態ということになってしまいます。

 

 是非、これを機会に耳に心地よい言葉でうわべだけまとめるのではなく、もっともっと掘り下げて、具体化していくことを心掛けて頂ければ、誤解も生まず、コミュニケーションが円滑に進めることができるでしょう。

 

 プレゼンテーション、文書作成、コミュニ―ションなど、情報表現、伝達でお困りの方はジャパン・リサーチ・ラボにご相談ください。ご相談はこちらへ。

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今日の格言(目標とゴール)

 「目標(志)の高さがゴールレベルを決める」

 

 低い目標からは低い結果しか得られません。ストレッチゴール、高みを目指してこそ、より高いレベルの結果が得られるとともに、成長にも繋がります。

 

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HPアップデートのお知らせ(LCカラムの選択・選び方)

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 液体クロマトグラフィーにおけるカラムの選び方について解説しています。是非ご覧ください。