人事評価における落とし穴として、ハロー効果や中心化傾向などについて別稿でも解説していますが、これら以外にも陥りがちな落とし穴がいくつもあります。今回はその中から逆算化傾向について書いてみたいと思います。
「逆算化傾向」とは、
最終的な評価が先に意識されてしまい。その結論に至るプロセスが無視されてしまう
ような状態を言います。すなわち、結果在りきで、その理由付けとしての評価プロセスが後付けで決められてしまうようなケースです。
例えば、平均的なB評価などを付けるという結論だけが先に決まってしまい、実際の業務の評価が正確に行われないようなケースです。また、レッテル化やハロー効果などによる影響が副次的に影響してしまうことも多々あります。この場合も先入観などによって最終評価が先に意識されてしまい、それに合わせるように個別的評価が行われます。
では、このような逆算化傾向を抑制するためにはどのような対策を意識すれば良いでしょうか。当然のことながら、きちんと定められた評価プロセスに則って個別的な業務評価を行い、最後に最終的な評価を行うことが必要です。
ただ、どうしても最終評価がイメージされてしまうこともあるでしょう。また、きちんと個別的評価に則って最終評価をしているつもりになっているだけということもあり得ます。そのような状況を避けるためには、最終評価をした後になぜそのような結論になったのかということを客観的に説明できるかどうかを自問自答することが効果的です。その時に、後付けの理由になっていないかに注意します。
人事評価はモチベーションに影響することはもちろん、人材育成という観点でも重要なものです。客観的に正確な判断をすることが大切です。