どんな会社にも何らかの評価が行われていると思います。しかし、ご承知のように人が人を評価するというのは簡単なことではありません。それこそ、合う合わない、好き嫌いなどといったことも影響してきます。もちろん、評価基準とか、評価方法などシステム上の難しさもあります。しかし、それ以前に人が行うがゆえに理解しておくべきことがあります。
今回は、そんな中で人事評価の落とし穴について書いてみたいと思います。
人の判断とはどうしても無意識の影響を受けています。一番端的なのは、認知バイアスとも呼ばれる先入観や思い込みの影響です。人事評価も同様にそういったものの影響を受けます。そのため、細かなルールや基準などが設定されるわけですが、残念ながらそれらを運用するのは採取的には人ですから、人の意識の影響をゼロにすることは困難と言わざるを得ません。先入観や思い込みと言った影響因子には様々なものがありますが、ここでは人事評価で頻繁に起こる影響要因について解説したいと思います。
その影響要因とは、「中心化傾向」と呼ばれるものであり、「中心化効果」とも言われることがあります。鰻屋さんでは大抵の場合、鰻重には松竹梅といったランクがあります。鰻屋さんだけでなく、他のお店でもこういったランク分けは多くみられます。こんな時、皆さんはどれを選びますか?やはり統計的にも一番多く選ばれるのは、竹、すなわち、真ん中の選択肢です。
すなわち、評価や選択において、一般にその尺度上の中央に判断、評価がひきつけられる傾向を中心化傾向と呼びます。そのため、優秀な上位層は過小評価になり、逆に階層は過大評価になるという問題が発生します。このようになる原因としては、
- 評価に自信が無い
- 対象の反応が気になる
- 時間が無い
- 評価ができない
- 評価システムの不備
などが挙げられます。特に、和を尊び、争いを避ける傾向にある日本人に多いと言われています。
また、良く似たものとして、。「厳格化」、「寛大化」などと呼ばれるものがあります。前者は、全体の評価が厳しくなって平均点が下がる影響を与え、後者は逆に全体の評価が甘くなって平均点が上がる影響を与えます。いずれも、中心化傾向と同様に正しい評価ではなくなってしまいます。例えば、前者の厳格化は完璧主義者や、仕事ができる優秀な人が陥りやすい傾向にあります。逆に後者の寛大化は、周りの目を気にする人などが陥りやすい傾向があります。
このような傾向に陥ってしまうと正しい評価ができないことから、
- 評価を含めた人事システムの崩壊
- 成長阻害
- 人材活用の阻害
- 優秀な人材の離職
- 長期的な経営への影響
などが懸念事項として挙げられます。
では、どんな対策が考えられるでしょうか。例えば、
- 評価者の教育
- 評価基準、手順の明確化
- コミュニケーションの向上
- 奇数段階の偶数段階化
- 目標設定の見直し
などが考えられます。
人材育成も事業成長も現場の運営にかかっており、その中でも評価は最も重要なものの一つです。まずは、現状の問題点の洗い出しから人事評価制度の見直しを考えていきましょう。
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