JRLテックログ

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ジャパン・リサーチ・ラボが提供する技術コンサルティング、人材育成、戦略策定、セミナー等の様々なコンテンツに関する情報を提供するブログです

部下、社員の悪口を言う上司、経営者

 様々な企業に顧問やコンサルタントとして訪問して、ご指導をさせて頂いておりますが、ほとんど場合、応対されるのは管理職以上の方、場合によっては役員の方や経営者の方というのも珍しくありません。その中では色々な話をさせて頂くのですが、ほぼ必ず部下や従業員の方に関することが話題に上がります。そこで、少なからず出会うのが、悪口や陰口のような発言です。

 

 普通の人であれば、何かしらの欠点はあるのが通常ですので、部下や従業員に対して何かを言うとことはおかしなことではありません。ただ、ここで問題なのは、間違いの指摘や不足点の指導といった前向きの発言ではなく、人間性を否定するような、いわゆる貶(けな)す発言です。例えば、「あいつはいつも仕事がトロい」、「覚えが悪い」といったようなものです。

 

 これらももっと前向きに指導の機会と捉えていれば言い方も変わるはずです。

・彼は〇〇に拘り過ぎるので、もう少し△△の方に意識を向けてくれると仕事の効率が上がる。

・彼は、メモを取らないので記憶に残らず、何度も同じことを繰り返すので、メモを取るように指導してみよう。

などです。

 

 人の欠点を見つけて、悪口を言うのは簡単です。しかし、それでは何の変化も起きません。部下や従業員の育成は上司、管理職の最重要ミッションの一つです。うわべに出てくる欠点や足りない部分を見つけ出して、そこを駄目だと言うだけで終わっては成長はありません。その根源となっている原因にまで思いを巡らせて、どうすればそれを改善できるか、その問題点を解消できるかを考えるのが育成です。

 

 また、こういうケースでもう一つ問題なのが、そういった短絡的思考プロセスや批判的な思考は意図せずとも日常の中で随所に出て来てしまうということです。人は自分に対する批判的な目には敏感なものです。そんな状態になってしまっては、信頼関係を築くことなどできません。組織としてのシナジーを生みだすためには、こういった短絡思考、批判思考は捨てるべきです。

 

 とは言え、実践するのは難しいという面があるのも事実です。指導育成でお困りの方は、ジャパン・リサーチ・ラボにご相談ください。ご相談はこちらへ。

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フェーズごとの必要な人材の変化(人材多様性が必要な理由)

 人材には様々な種類があり、意外と面白い名前が付いています。「星型人材」、「T字型人材」、「櫛型人材」などです。星型人材は、何かしらとがった部分を持っている人材、T字型人材は浅いが広い知識や経験と一つの深い専門分野を持っている人材、そして、櫛型人材とはT字型人材の進化形で複数の深い専門分野を持っている人材です。

 

 コンサルティングをしていると、これら様々な人材の中でどの人材が一番良い人材か、というような質問を受けることがあります。非常に難しい質問なのですが、結論から言うとどの人材も完璧ではなく、一長一短があります。例えば、星形で表現されるとがった人材は、尖り方に偏りや過剰な面があると、組織の中で浮いてしまう、または、組織を壊してしまうという問題があります。また、櫛型人材は一見完璧そうではありますが、ある意味何でもできるので、何にでも首を突っ込んで中途半端に終わってしまうということがあります。いわゆる、器用貧乏、何でもできるは何もできない、という状態です。

 

 このように、人材というのは難しく、最初のどの人材が一番良いですか、という質問に敢えて答えるなら、「ケースバイケース」、すなわち、フェーズ(置かれている状況)ごとに最適な人材、必要な人材は異なるということになります。

 

 例えば、ベンチャーの立ち上げのようなアーリーステージでは知識や経験も必要ですが、何が何でもやり遂げるというパワーとバイタリティーを持った人材が必要です。いわゆる、起業家、アントレプレナーと呼ばれる人達のような人材です。これに対して、少しフェーズが変わってステージがミドルを超えてくると、今度は組織として動ける人材が必要になってきます。

 

 また、ベンチャーに限らず、社会が変化しているときや、会社が変わろうとしているとき、何かブレークスルーを起こそうとしているときには、星型人材のような尖った人材が必要になります。そういう人材に壁を突破してもらうのです。そして、壁を突破した後や拡大、拡張、展開といったことを推し進める時には櫛型人材が必要になります。また、何かに事業を成長させたいようなときには、その事業と専門性が合うT字型人材がマッチします。

 

 このように、一つの企業であっても、その企業のライフサイクルのフェーズ、置かれている状況、環境によって必要な人材、マッチする人材は異なります。理想的にはその都度必要な人材を手に入れて入れ替えられればというところですが、現実にはそんなことはできません。だからこそ、人材の多様性、いわゆる、ダイバーシティーが重要となってくるのです。同じような人材ばかり集まると、一見まとまりがあって、組織としての統率がやりやすいのですが、本質的には変化に対応できない凝り固まった組織にしかなりません。それでは、起業は成長はおろか、生き残ることすらできません。

 

 人材採用、育成においては、今どんな人材が必要なのか、足りないのか、将来どんな人材が必要となるのかということを総合的、俯瞰的に判断して、考えていく必要があります。安直な人材戦略を取ってしまうと後でその何倍も苦労することになります。

 

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企業のキャッチスローガン

 CSRの一環という意味も含めて、様々なキャッチフレーズ、スローガンを決めて公表している企業がたくさんあります。例えば、

 inspire the next(日立HPより)

 the power of dreams(ホンダHPより)

 inovation by chemistry東レHPより)

 

 また、皆さんの会社でもこれらのような半永年的なものだけでなく、年度ごとに目標やスローガンを決めて、廊下などにポスターとして貼り出したりしているのではないでしょうか。例えば、「挨拶をしよう」といったものもあれば、「誠実」という所もありました。

 

 どれも共通しているのは、実現したいこと、実行したいことです。ここでちょっと(かなり)ひねくれた見方をして、これらを裏返すとどれも今現在において実現できていないことであると言えます。すでに十分できていればわざわざスローガンにする必要はないでしょう。

 

 キャッチフレーズやスローガンは天井知らずと言いますか、未来と言いますか、際限は無いような内容なのでそういうものということで分かりやすいと思います。一方で毎年決めるような、もっと身近な今年の目標のようなものはちょっと性格が違ってきます。

 

 実は、「誠実」というスローガンはあるクライアントを訪問した時に正門のところに貼ってあったポスターに書かれていたものです。当然、社内のいたるところ貼られています。最初に見た時は特に何も感じなかったのですが、担当の方とお話をするうちに、「このポスターどう感じますか?」と聞かれて私は怪訝な顔をしてしまいました。その方曰く、どういうことかというと、実はこのスローガンは今年で3年目なんです、ということでした。すなわち、3年かかっても自分たちでも誠実になれたと思えないのですから情けないです、と仰いました。言われてみてなるほどと思いました。こんな見方もあるんだなと。

 もちろん、より高みを目指して継続しているということもあるでしょう。しかし、こんな見方もあるということです。目標やスローガンは、的を射ていれば大きな効果を発揮しますが、一歩間違うと大怪我をするかも知れません。皆さんも会社でも安易に決めることの内容にされるのが良いかと。

 

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今日の格言(行動指針)

「KPI(Key Performance Indicator:行動指標)を明確にせよ」

 

 例えば、〇〇の最適値を明らかにするなど、何をするのかということ、行動指針を明確に判別できるような指標を決めることが目的達成には必要不可欠である。

 

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セミナー案内(表面・界面の考え方と分析、実践応用 11/29)

下記セミナーを開催します。

 お申込みは、HPのお問い合わせボタンよりお願いします。

 

【タイトル】

 表面・界面の考え方と分析の基礎と実践応用

【概要】

 表面、界面はあらゆる技術や製品の基盤となるものであり、現在扱われる材料やプロセス、技術、商品で表面や界面が関与していない者は無いと言っても過言ではない。これは言い方を変えると、現代は表面、界面に支配されているということになる。これほど重要なものであることから、分析手法一つにしても多種多様なものが開発され、利用されている。しかし、一方で表面や、特に界面はまだ未解明な部分も多く、その本当の姿を明らかにして利用することは容易ではない。
 本講では、表面、界面の基礎から、分析評価を中心にして、その姿を明らかにして利用するためのアプローチについて、技術的テクニック、コツやノウハウから、考え方、アプローチに方法まで応用アプリケーションの事例を交えて解説する。

【開催日】

 2017年11月29日10:30~16:30

【会場】

 江東区産業会館

【主な対象】

 様々な分野の若手から中堅、管理者まで、R&D、技術部門を中心とした技術系人材

【受講料】

  49,980円(税込/テキスト、昼食付)

【プログラム】

1.表面に支配される現代社
  1-1 膜・界面、そして、現代技術を支配する表面
  1-2 表面・界面で発生する代表的事象
2.表面とは
  2-1 表面(薄膜)とは?
  2-2 表面の要素
  2-3 表面における現象
3.界面とは
  3-1 界面における現象
  3-2 多層膜による界面形成 
  3-3 薄膜化による界面の変化 
4.表面・界面を支配するもの 
  4-1 界面形成 
  4-2 界面を形成する力
  4-3 表面・界面形成を支配するもの
  4-4 界面形成因子と評価法
  4-5 表面を支配するには
5.表面分析成功のキーポイント 
  5-1 表面分析の心構え
  5-2 サンプルの取り扱い
6.問題解決アプローチ
  6-1 問題解決のアプローチ
  6-2 視る
  6-3 剥離状態の解析
  6-4 代表的要因別アプローチ
  6-5 化学構造を知る
  6-6 複合要因の分離
  6-7 加速試験
  6-8 位置、サイズ、量
7.樹脂/金属の接着
  7-1 金属/樹脂の接着パターン
  7-2 金属基材の前処理
  7-3 接着不良要因
8.シランカップリング処理
  8-1 代表的な処理方法
  8-2 処理条件
  8-3 条件と構造の多様性の例
  8-4 基材表面の解析
  8-5 反応概論
  8-6 加水分解と自己縮合
  8-7 視るべきポイント
  8-8 解析の難しさと障害(シランカップリング反応のキー)
  8-9 シランカップリング反応の解析
  8-10 基材表面の解析法
9.代表的表面分析手法
  9-1 表面分析の分類 
   ・表面分析に用いる主な手法と選び方 
   ・表面・微小部の代表的分析手法
  9-2 X線光電子分光法(XPS
   ・元素同定
   ・化学状態の同定
   ・角度変化測定による深さ方向分析
   ・ハイブリッド分析
   ・チャージアップへの工夫
   ・界面で正体不明のピークシフト
   ・ちょっと便利なサイトやソフト
  9-3 オージェ電子分光法
  9-4 EPMA
  9-5 フーリエ変換赤外分光法
   ・測定法
   ・周辺環境の影響
   ・主な吸収帯
   ・指紋領域の利用
   ・カルボニル基の判別
   ・系統分析
   ・帰属の考え方
   ・全反射法(ATR法)
  9-6 TOF-SIMS
  9-7 形態を知る
   ・形態観察と物性分析法
   ・SEM(走査型電子顕微鏡)、TEM(透過型電子顕微鏡
  9-8 走査型プローブ顕微鏡(SPM)
10.界面分析
  10-1 界面評価の重要性と課題
   ・界面の分類
   ・界面における課題
   ・従来法と問題点
   ・精密斜め切削法
11.解析の実例
   ・UV照射による化学構造の評価
   ・化学修飾法を用いた表面官能基イメージング
   ・ポリイミドの表面処理層の深さ方向分析
   ・PI/Cu/Si界面の解析
   ・UV表面処理による構造変化の深さ方向解析
12.仮説思考による研究開発と問題解決
13.まとめ
14.質疑

すでに起きている未来(予想できる未来)

 中期経営計画、事業戦略策定から、新商品開発のためのマーケット予想など、企業活動を行っていく中では様々な形で「未来予想」が必要となってきます。そして、様々な未来予想のための手法や考え方が世の中にはあります。ただ、当然ながらいずれも完璧なものではなく、それは未来とは何が起こるか分からないものだからだと言えます。そこで、多くの場合、それらの様々な手法と共に、自分たち独自の経験や知恵、考え方を取り入れながら最も確からしいと思える未来を採用することが行われています。

 

 しかし、当たり前のことですが、未来予想は当たることもあれば外れることもあります。未来予想の基盤とした情報自体が間違っていた、情報自体は合っていたがその解釈が間違っていた、はたまた、考え方が間違っていたということもあるでしょう。また、全くの想定外の事態、社会情勢の変化が起きてしまったということもあります。例えば、大きな災害や紛争などがその代表となります。このように、未来予想には必ずリスクが伴います。

 

 ところが、間違いなくまだ起きてはいないのに、ほぼそうなることが確定的に予想できる未来もあります。それこそがタイトルにある「すでに起きている未来」、「予想できる未来」なのです。もちろん、全てが分かるわけではなく、ある程度限定的ではあります。しかし、それでも一部であっても未来が高い確度で予想出来れば大きな武器となります。

 

 では、どんな未来は予想できる未来なのでしょうか。最も分かりやすい例は、人口構成の変化です。人口ピラミッドは概ねそのままの形で時間軸上に動いていきますから、現在30代の人たちの人口が30年後には60代を構成すると考えることができます。もちろん、厳密には年代ごとの平均余命や死亡率などを勘案する必要等はありますが、大きな傾向として予測可能です。このように、30年後の未来は間違いなくまだ起きていませんが、人口構成という点においては現時点で30年後を予測可能であると言えます。

 このような人口構成の予測の考え方は、マーケットの変化と直結していることはもちろん、経営戦略とも密接に関係しています。すなわち、毎年の定年退職、10年後の退職者数は容易に予測できます(昨今の人材の流動化が進んだ状況ではもう少し複雑にはなっていますが)。極端なパターンとしては、新入社員が入社した時点で退職までの流れを読むことができます。これらの退職予測情報は、人材戦略はもちろん、技術継承という観点でも重要になってきます。例えば、2007年問題が取りざたされましたが、この問題は彼らが入社した時点で予測可能であり、その後の採用の変遷で確定的に予測できたことです。従って、慌てふためくような問題では本来なかったはずなのです。にもかかわらず、すでに起きている未来、予測可能な未来を無視したがために苦労して痛手を被ることになったのです。

 

 この他にも様々なものが予測可能な未来としてあります。重要なことは、未来のヒント、すでに起きている未来の断片を見つけ出すこと、見逃さないことです。「すでに起きている未来」という観点を持って、現在を見つめ直してみて下さい。そうすれば、未来のヒントが見えてきます。

 

 経営戦略、事業戦略、開発戦略など、未来予想でお困りの方は、是非ジャパン・リサーチ・ラボにご相談ください。ご相談はこちらから。

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何を明らかにするための実験?

 サラリーマン時代、管理職になっても実験室には時間を見つけては足を運んでいました。ただ、さすがに自分で実験をすることは立場的にも、人材育成の観点からも適切ではない面が多々あるので、もっぱら様子を見に行くという感じでした。当時の部下からすればかなり鬱陶しかったと思います。

 

 さて、そうやって行くと、意図的に世間話をすることもありますが、通常はその時にやっている開発や実験の話をします。報告会等でも色々聞いているのですが、やはり真実は現場にあると思っているので、生の声、情報を聞きたいという思いでした。なので、

 「今はどんな実験しているの?」

 「期待通りのデータは出てる?」

 「どんな結果になると予想してるの?」

 「この実験ではどんな結果が出てくるの?」

 「ところで、このデータは何に使うの?」

 「この実験で何を明らかにするの?」

といったことなどを聞いていました。

 

 どの質問もそれほど突拍子もないものではなく、実はどれも即答出来て当たり前の質問ばかりです。ところが、答えに窮する場面に度々出くわして困惑するということがありました。

 

 実はコンサルティング先のクライアントでも、コンサルティング内容によっては現場を見させていただいてこのような質問をさせて頂くことがありますが、こちらでも同様に即答できないケースが多々あります。

 

 私の感覚からすれば、即答できないことが不思議でなりません。答えられないということは何も考えていないということだと思っています。

 「今はどんな実験しているの?」 ⇒ やってることをそのまま言えば良い

 「期待通りのデータは出てる?」 ⇒ 状況をそのまま答えれば良い

 「どんな結果になると予想してるの?」 ⇒ 実験は予想を確かめるためのもの

 「この実験ではどんな結果が出てくるの?」 ⇒ 欲しい結果があるから実験する

 「ところで、このデータは何に使うの?」 ⇒ 実験の目的そのもの

 「この実験で何を明らかにするの?」 ⇒ これも実験の目的

 

 即答出来て当たり前ですよね。

 

 実験は単なる手段でしかありません。目的と仮説があって、何かを確かめたい、仮説を検証したいという手段として実験をするのです。開発には必ず仮説があり、実験とは仮説を検証するための手段です。従って、極論すれば実験せずとも仮説が検証できれば実験は不要です。

 しかし、開発の目的も仮説はもちろん、実験の目的、仮説も何も意識していないのです。だから、質問に答えられないのです。そんな実験に果たして意味はあるでしょうか。

 

 一度、振り返ってこの質問に答えられるかご自身で考えてみて下さい。また、現場に足を運んでこんな質問をしてみて下さい。

 

 実験量ばかり多い、その割には結果が出ない、成果が出ない。開発でお困りの時はジャパン・リサーチ・ラボにご相談ください。ご相談はこちらへ。

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