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意思決定における不作為バイアスの影響

 意思決定では、何かを行うか、行わないかの判断をしなければならない場面が数多くあります。そんな時は、功利的基準や規範的基準など様々な基準で判断していくことになります。しかし、人は無意識のうちにリスクを避けよう、特に、自分の責任リスクを軽減しようとしてしまうことがあります。そのような場面で、時として影響を与えるのが「不作為バイアス」です。

 そこで、今回はこの不作為バイアスについて書いてみたいと思います。

  ドラマの中や非常にポジティブな人は、何かをしないで後悔するよりも、何かをして後悔する方が良いと言います。しかし、多くの人はその一歩を踏み出すためには、非常に大きな勇気を必要とします。これは、決して勇気がない、ネガティブであるということではありません。人間の基本的な心理作用によるものなのです。それが、前述の不作為バイアスです。

 

 例えば、街中で困っている外国人がいたとします。しかし、よほど英語に自信のある人以外の多くの人は手を差し伸べることに躊躇します。これはまさに不作為バイアスの影響によるものです。これは、声をかけたとしても相手の言っていることが理解できなかったらどうしよう、上手く説明できなかったらどうしようと考えてしまう結果です。仮に相手が日本人であったとしても、声をかける人よりはかけない人の方が多くなります。これも、役に立たなかったらどうしようと考え方結果です。そして、自分以外の誰かが助けてくれるだろうという考えのもとに立ち去るのです。

 すなわち、声をかけて上手く行かなかった時のことを優先して、何もしないという選択をしてしまうことが不作為バイアスです。

 

 また、こんな調査結果もあります。野球の球審の誤判定に関するものです。カウントがツーストライク(ボールは0~2)の場合において微妙なコースのストライクをボールと誤審する割合は、ストライクが0~1(ボールは0~2)のケースに比べて2倍以上になります。また、逆にスリーボール(ストライクは0~1)の場合において微妙なコースのボールをストライクと誤審する割合もボールが0~2(ストライクは0~1)のケースに比べて2倍以上になります。すなわち、自分の判定によって試合の流れに大きな影響を与えることを無意識のうちに割けているということが見えてきます。もちろん、表層意識の中では正しい判定をしようと考えていることは言うまでもありません。しかし、間違いなく、不作為バイアスの影響を受けていると言えるでしょう。

 

 不作為バイアスは、別名、損害行動の忌諱、現状維持選択などとも言われます。すなわち、意図的に何かを行うことによる損害可能性よりも、何もしないことによる損害をより好むという人間の心理作用です。従って、決断ができない、決断を避けるということもこの不作為バイアスによるものですから、それほど卑下するようなものでもありません。大事なことは、そういった心理的作用があるということを理解して、必要以上にその影響を受けないようにするということです。

 

 無謀なチャレンジは愚かですが、チャレンジをしなければ進歩はありません。

 

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