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劣化分析の方法

 未来永劫変化しないものはなく、どんなものであっても時間の経過とともに劣化が起こります。劣化には様々なパターンがありますが、そのほとんどは化学構造が変化するものであると言えます。そして、特に有機物においては、化学構造の劣化の大多数は酸化劣化に帰着することができます。無機物の場合には、腐食劣化も数多くあり、塩素を代表とするハロゲンに腐食などが代表的なものといえます。劣化には様々なモードがあり、その原因を究明することが非常に難しい課題の一つであると言えます。

 今回、この劣化の解析を行うための劣化分析について書いてみたいと思います。

  例えば、有機物を例にした場合、酸化劣化のような化学構造の変化をターゲットとする場合には、赤外分光法(FTIR)や有機組成分析であるGC-MSLC-MSなどが最有力の分析手法となります。この中で、FTIRは測定も簡便で官能基を中心とした様々な化学構造に関する情報を詳細に得ることができます。ただし、FTIRでは酸化成分等の化学構造の変化は知ることはできますが、酸素そのものの増減などの元素自体に関する情報は得ることができません。その場合にはX線光電子分光法(XPS)などの元素情報を得られる分析手法を併用する必要があります。XPSは表面分析法の代表としてあげられる手法であり、劣化、特に主な劣化モードである参加劣化が多くの場合表面から進行することから、劣化分析とは相性の良い手法であると言えます。

 しかし、始めから酸化劣化であると決め付けて化学構造に偏った進め方をしてしまうと、高次構造変化や組成変化などの他のモードであった場合にはほとんど情報を得られないという結果になってしまいます。したがって、先入観を持って決めつけずに、あらゆる可能性を対象に検討を行うことが重要となります。

 

 劣化とは、ある意味ではその環境に置いて再安定状態となる構造に対象物が変化していくこととも言えるので、得てして劣化モードは異なっていても最終構造は非常に類似したものになることが少なからずあります。例えば、有機物の場合、光劣化であっても、熱劣化であっても最終的にはカルボニル系化合物が形成されることが多くみられます。

 

 したがって、結果だけを見て安易に判断すると間違った結論を導いてしまう可能性があります。また、結果だけで判断しようとすると、劣化プロセスが分からないということもしばしばです。そのため、前述のように劣化のメカニズムを解明し、その対策を考える場合には、安易に結論を導くのではなく、あらゆる可能性を念頭に置いた十分な検討が必要であると言えます。例えば、モデル劣化化合物の評価を行ったり、劣化過程を評価したりするなどの予備的情報を得る事を検討することが重要になります。どうしても、コストや時間の関係から現物だけで結論を導き出したくなりますが、間違った結論を導いてしまっては何の意味もありません。

 

 だからこそ、劣化解析などの複雑な評価を行う場合には、分析はもちろんのこと、材料やプロセス、さらには、劣化という状態変化そのものについても豊富な知識を持った人間が関わる必要があると言えます。

 

 より詳しくは、

analysis.ikaduchi.com

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