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優先順位の付け方のむずかしさと考え方

 「二兎追う者は一兎をも得ず」ということわざがありますが、業務上はもちろん、日常生活においても、我々は日々何らかの選択に迫られながら日常生活を送っています。そんな選択にも大きく二つの種類があります。一つは二者択一で、一方を取って他方を捨てるという選択です。もう一つは、どちらを優先するかという優先順位の問題に悩まされるパターンです。

 今回は、後者の優先順位の考え方について書いてみたいと思います。

  優先順位を付ける場合に、絶対に必要となるのが尺度、基準です。世の中のほとんどのことは表裏一体であり、かつ、多面的な側面を持っています。ある人にとっては重要であっても、他の人にとってはどうでも良いことはいくらでもあります。例えば、モノの好み、人の好みなどはその最たる例として挙げられるでしょう。また、何かを買うときに、ある人は価格が最優先であり、何よりも安いことが重要であると考えている一方で、別の人は価格よりも自分の好みとしてのデザインや機能性などを優先して選択します。ブランドなどがその例として挙げられます。このように、尺度や基準は優先順位を考える上では絶対に必要なのですが、これを決めることが難しいということになります。

 

 判断基準の設定を複雑化させている要因にはもう一つあり、状況によっても変わるということです。同じ人であったとしても、置かれている状況によっては判断が変わることは珍しいことではありません。例えば、普段は美食を極めているような人でも、空腹の極みや餓死するかどうかというような状況では、味よりも食べることを当然ながら優先します。

 

 このように、必ずしも客観的、論理的に一つの基準に定めることができないことが優先順を付ける、考えるときのむずかしさであると言えます。

 

 これらを踏まえた上で、優先順位の付け方、考え方として様々な方法が検討されています。その中でもっとも有名なものは、「重要度」と「緊急度」で判断するフレームワークです。

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 しかし、ここで一つの問題があります。緊急度については比較的わかりやすい尺であると言えますが、重要度についてはどうでしょうか。重要度と尺度は基準としてはあまりにも意味が広すぎると言えます。緊急度については通常時間軸について考えます。しかし、重要度についてはまさに前述の議論と同様にさまざまな解釈ができてしまいます。このマトリクスを考えた人は汎用性というところまで考慮していたのかもしれませんが、実際に使用するに当たっては解釈の多様性が生まれてしまい使いにくい面は否定できません。

 そこで、一つ提案したいのは、重要度ではなく、例えば「影響度」など、より具体的な基準に変更することです。もちろん、影響度を同じ分類で異なる言葉である「効果度」と置き換えても良いでしょう。複数ある課題の優先順位を決めたいときには影響度が適するでしょうし、解決策の選択をするときには効果度が適すると言えます。

 

 また、このようなフレームワークで図式化することも優先順位を考える上ではとても効果的です。課題にしても、解決策にしても、その他のものにしても一旦すべてをテーブルに挙げて、一覧視することで全体像を把握することは、優先順位を考える上では必要不可欠です。

 そして、例えばこのフレームにしても一回で終わるのではなく、複数の軸で作成したり、同じ領域に入る対象だけで別のフレームに展開して見たりと様々な解析の方法があります。

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 このようなフレームワーク等を使用しても、どうしても優先順位が付けにくいこともあります。どれが優先かという視点ではどれも大事に見えてきます。また、対象の数が多いとそれだけでも判断が困難になってきます。そのようなときに、検討すべきは「劣後順位」を考えることです。劣後順位とは、優先順位の逆で、いらないものから選んでいくというような考え方です。少なくともこれは今回は要らないだろうというものを選ぶのです。

 このように、物事は順方向と逆方向で考えると意外と整理しやすくなります。

 

 この他にも優先順位の考え方にはいくつかありますが、今回はここで一旦終わりにしたいと思います。また、優先順位を付けた後の計画化や実行についても改めて別の機会に書いてみたと思います。

 

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