人には、努力するための原動力であるモチベーションが備わっています。そして、誰かの役に立ちたい、自分は必要とされていると感じたいという欲求も持っています。だから、「頑張る」という行動ができると言えます。しかし、一方で人は「できることなら楽をしたい」という感情も持っています。
そんなときに影響を与えるのが、今回書く「社会的手抜き」です。
社会的手抜き、リンゲルマン効果とも呼ばれています。
人は自分一人しかいないときには、やらざるを得ない、やらなければ終わらないという状況も手伝って、サボることが出来ません。それどころか、できるだけ早く終わらせたい、楽な状態になりたいという願いから、より効率的に進める努力をします。
しかし、一方でこれが多人数になると状況は大きく変わります。
それが、社会的手抜き、リンゲルマン効果です。
すなわち、同じゴールに向かっている人がたくさんいるわけですから、自分がやらなくても、自分が少しぐらいサボっても誰かが頑張ってくれるだろう、誰かがやってくれるだろうと考えます。その結果、作業効率という観点では、人数が増えてもそれに比例してスピードが上がらなず、逆に効率が落ちていってしまう現象を、社会的手抜き、リンゲルマン効果と呼びます。
ただし、これが全てにあてはまるわけではありません。例えば、プロと呼ばれる人たち、一流と呼ばれる人たちには当てはまりません。それは、彼らが自分の仕事、役割にプライドを持っているからです。逆に誰かがやらないなら、その分は自分がやるという意識すら持ちます。
では、どうすれば社会手抜きを防ぐことが出来るでしょうか。
実はここまでの文章の中に極めて重要なキーワードがすでに出てきています。それは、「役割」です。複数人で一つのゴールに向かった何かを行う場合には、誰が何をやるのかという役割を明確にすることが最も効果的です。役割分担をする、すなわち、その部分についての完了責任を明確にすることで手抜きをできなくします。役割分担を明確にすることで、他の誰かがやってくれるという状況を無くしてしまうということです。
理解しておかなければならないことは、「誰かがやるは誰もやらない」、と言うと事です。
ただし、この役割分担においてポイントとなるのは、納得性、公平性です。自らにアサインされた役割に納得ができないと感じられるとき、負担が不公平で感じられるときは、その役割自体を受け入れることを拒否します。そのような状況では社会的手抜きどころか、そもそもやらないという事態を招いてしまいます。
したがって、複数人数で何かを成し遂げようとするときのポイントは、
「納得性のある役割分担を明確に行う」
ということです。