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交渉のコツ・ポイント(アンカー効果)

 交渉においては様々な駆け引きがありますが、少なくとも最初から自分のデッドライン、絶対条件を提示することは通常ではありません。例えば、価格交渉において自分が出せる予算の最大値を示すことや、逆に、最大値引き幅を示すことです。このようなことをしてしまうと、自分の手の内や弱みを露呈することになり、交渉を有利に進めにくくなるというのが理由です。

 

 そこで、問題となるのが最初の提示です。通常交渉では、最初の提示が基準となって進んでいきます。そして、この最初の提示を「アンカー」と呼びます。すなわち、交渉における基準値をそこに定める、アンカーリングするということです。

 

 そこで、今回はこの「アンカー」について書いてみたいと思います。

  アンカーの効果、影響は絶大です。従って、どのようなアンカーを出すかということは非常に難しい判断を強いられることになります。前述のように最初から譲歩限界を示すことは通常はありませんが、逆に、だからと言ってあまりにも無謀な要求を出すことも交渉決裂のリスクが発生します。例えば、ある商品の販売において、どうせ値引きを要求されるだろうという想定から、2000円で売れれば良いと思っている商品を1万円と言ったとしましょう。この時、相手の予算と提示した1万円があまりにかけ離れていると交渉の余地が無いと判断されて、そこで商談は終わってしまう懸念があります。

 

 従って、こちらの希望はもちろん、相手の限界値、思惑などを予想していく必要があります。いくらアンカーの効果は絶大だからと言って、前述のように最初から交渉の余地も無いような提案を出してしまっては、アンカーの効果は期待できません。先の例で言えば、価格交渉において通常の価格帯の10倍を超えるような提示をしてもアンカー効果は期待できず、単に「ふっかけている」だけと判断されてしまうということです。従って、前述のように、こちらの希望はもちろん、相手の限界値、思惑を想像し、また、常識という観点も踏まえながらアンカーを考えることになります。

 

 しかし、許容範囲内と言えるようなアンカーを打たれた場合、では、逆に相手のアンカーを打たれた場合や、無謀なアンカーであったとしても商談を進めたいという時はどう対処すれば良いでしょうか。そう、あなたが買い手であったような場合です。それは、「カウンターアンカー」を打つことです。例えば、1000円程度と思わる商品に対して、相手が1500円のアンカーを打ってきたとします。それに対して、500円というカウンターアンカーを打つわけです。そうすることで、交渉の場は中間の1000円を暗黙の基準として進んでいくことになります。

 

 もちろん、カウンターアンカーも、最初のアンカーと同様にあまりに突拍子もない提案ではその効果を発揮しません。例えば、先の例で言えば100円や10円などというカウンターアンカーを打って基準を下げようとしてもその効果は期待できません。場合によっては、先に書いたのと同じ理由で交渉の余地なしと判断されて早々に決裂してしまうかもしれません。アンカーもカウンターアンカーもその「さじ加減」が極めて重要となります。

 

 アンカー、カウンターアンカーという考え方は、交渉においては非常に重要なポイントとなります。交渉の準備の段階、十分に検討しなければなりません。そして、アンカー、カウンターアンカーを適切に打つためには、モノの価値、市場における価値に関する正確な情報を持っていることが重要になります。

 

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