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OJTはなぜうまくいかないか

 教育訓練の基本として、「OJT」という言葉はほぼすべての人が耳にしたことがあるかと思います。多くの認識では、実務を実際にしながら仕事を教えていく、覚えていく方法というイメージではないでしょうか。確かに、間違ってはいません。教育育成の現場実務では実際にそのようにしているかと思います。

 

 しかし、ここに大いなる誤解があります。現場で実際にというのは、言うなれば体で覚えるということです。そして、そのやり方はというと、先輩がやるのを見て、やり方を聞いて、それを実際にやってみて、やりながら覚えるというプロセスになっているはずです。確かに、実際にやってみないと説明だけではわからない、身に付かないということは否定されません。しかし、現実を見ると、見て覚えろ、体で覚えろというような、前時代的考え方が横行しており、客観的にその教育風景を見ると金魚のフン状態と言えます。

 

 例えば、先輩がやっているのを後ろから見ている。ろくに説明もしてもらえずに、「じゃ、一回やってみて」といってやらされる。これでは、理解も、修得もままなりません。

 

 人は理解するときに既存の知識や経験と照らし合わせながら行います。しかし、現在に行われているほとんどのOJTはほとんど説明はなく、いきなり見せられて、やらされて、になってしまっているのです。説明が全くと言って良いほど無いので、ポイントが分からず、自分で考えるための予備知識も与えられないのですから、理解できるはずもありません。

 OJTが機能しない大きな理由の一つはまさにここで、大部分のOJTで実務に入る前の説明が全くもって不足しているのです。理解するための説明、修得するための説明が事前にないと訳が分からないまま、機械的に作業として覚えるだけになるので対応力が身につかないのです。

 

 そして、もう一つの大きな問題は、育成計画が無い、別の言い方をすると、どういう状態をどのように目指しているのか、どのような状態がゴールなのかということが共有されないまま一方的にOJTが進んでいくということです。自分はいったい何を学ぶのか、どんなゴールをどのようにして目指すのかということが分からないままでは何も頭に入ってこないことはもちろん、大きなストレス要因にもなります。すなわち、どれぐらい頑張らないといけないのか分からないのでペース配分も心づもりもできないのです。

 

 そして、OJT後のフォローがほとんどないということも問題です。教育を受けて、自分だけで進めるようなると、そこで初めて分かること、分からないこと、認識できることが出てきます。実はその段階こそ飛躍的に成長するタイミングなのですが、そのタイミングでのフォローが全くと言って良いほど無いので、OJTと言いながら、結局は独学、独習状態に陥ってしまうのです。

 

 また、教える側の教育も不足していると言えます。一般的にOJTの教育者は管理職等の育成者としての教育を受けた人ではなく、実務担当者や入社数年のチュータークラスの人がなります。彼らは、育成や教育に関することはまだ学んでいないので、正しい教育、育成ができないという問題があります。なので、教え方が分からない、だから、「とりあえず見て」、「とりあえずやってみて」になってしまうのです。

 

 本来OJTとはとても素晴らしいシステムなのです。しかし、それが正しく理解されておらず、運営されていないことが大きな問題なのです。ただしい、OJTを導入していきましょう。

 

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